子どもの礼拝『ザカリアへのお告げ』(2023年12月3日)

12月3日の教会学校でお話をさせて頂きました。
アドベント最初の主日ということで、洗礼者ヨハネの誕生についての箇所を読みました。
「イエス様が直接出てこない箇所を通して、如何にイエス様を伝えるか」
「ヨハネの誕生が、現代の私たちにとってどんな意味を持つのか」
難しい問いを与えられて当日朝まで悩みましたが、何とかお話することが出来ました。


【お祈り】
神様、私たちはこれから聖書のみことばを学びます。
あなたは私たちの目には見えませんが、
聖書を通して、私たちに話しかけてくださいます。
どうか、あなたが私たちに話しかけてくださる言葉を、
みんなで聞くことが出来ますように。
イエス様のお名前によって、お祈りします。
アーメン


【おはなし】
イエス様が生まれる少し前のこと、エルサレムにザカリアという人がいました。
ザカリアは神様を敬い、神様の教えを守り、奥さんのエリザベトと仲良く暮らしていました。
神殿で神様に仕える『祭司』という仕事に就いていたザカリアさんは、ある時神殿でお香を焚きながらお祈りをしていると、目の前に天使が現れました。
驚くザカリアさんに、天使は言いました。

「天使は言った。「恐れることはない。ザカリア、あなたの願いは聞き入れられた。あなたの妻エリサベトは男の子を産む。その子をヨハネと名付けなさい。」

1章13節


ザカリアさんとエリザベトさんには子どもがいませんでした。
2人は子供が生まれるようにと神様にお祈りしましたがそれでも産まれず、気付けばおじいさんおばあさんになっていました。
そんなザカリアに天使は、2人が長年待ち望んでいた子供が生まれることを報せに来たのでした。
ではそれに対して、ザカリアさんは何と答えたでしょうか。

「何によって、わたしはそれを知ることができるのでしょうか。
わたしは老人ですし、妻も年をとっています。」

1章18節


ザカリアさんは天使の言ったことを素直に喜べませんでした。それどころか
「いやいや、いくら神様でもそれは無理でしょう、そんなに言うなら証拠を出してくださいよ」
と、神様に対してかなり失礼な発言までしてしまいます。
尤もこの時のザカリアさんの気持ちも分かるんです。
もうおじいさんになっていたザカリアは、おそらく子供のことは諦めていたし、何だったら「子供を与えてください」と祈った事すら忘れていたかもしれません。
それに、お爺さんお婆さんの年になって子供を育てるのはとても疲れます。
「生まれてくる子が大人になる前に、自分たちが死んだらどうしよう…」
そんな心配もあります。
ですからこの時ザカリアの心には、
「今までずっと聴いてくれなかったのに、今更『祈りは聞き入れられた』って言われても信じられないよ」
という気持ちと、
「今更子供育てるなんてキツいよ、信じたくないよ、嘘であってくれよ」
という気持ちもあったんじゃないかと思います。

ではそんなザカリアさんに、天使は何と言ったでしょうか。

「あなたは口が利けなくなり、この事が起こる日まで話すことができなくなる。
時が来れば実現するわたしの言葉を信じなかったからである。」

1章20節


そう言われた瞬間から、ザカリアさんは喋れなくなりました。
しかもここではハッキリと書かれていませんが、実は耳も聴こえなくなったようなんです。
子供が生まれるまでの間、大体10ヶ月ぐらいだと言われていますが、誰とも話すことが出来ず、今まで通りの仕事や生活が出来なくなって、ザカリアはとても困ったと思います。
でも同時に、この10ヶ月間はザカリアにとって大事な時間でもありました。
この時ザカリアは、もう子供を産めないと思っていたエリザベトのお腹が段々大きくなっていくのを見守りながら、それまで遠い存在だった神様、
「自分のことなんて忘れてるんじゃないか」
そう思っていた神様が、自分たち夫婦のためにとても大きな奇跡を起こそうとしておられることを実感したと思います。

そして、天使から言われたことも思い出していたと思います。
実は天使は、ザカリア夫妻に子供が生まれることだけでなく、もう一つ大事な事を伝えていました。

「彼はエリヤの霊と力で主に先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に正しい人の分別を持たせて、準備のできた民を主のために用意する。」

1章17節


当時のイスラエルは、ローマ帝国の支配に苦しむ人、そして病気になったり律法を守れなかったせいで同じユダヤ人から仲間外れにされる人が沢山居ました。
聖書には「いつかメシアが来られて、苦しむイスラエルの人々を救ってくださる」という預言が書かれていましたが、マラキという人が預言をしてから、特に奇跡らしいことも起こらないまま400年以上経っていたこともあり、
「神様は私たちを助けてくれない、私たちの祈りを聴いてくれない」
そんな暗いムードがイスラエルに広がっていました。
でも天使の言葉は、もうすぐメシアが来られること、そしてこれから生まれてくるザカリアの子供が、イスラエルの人たちがメシアを信じるようになるための準備をするという、大事な仕事を任されていることを伝えていたのです。

では最後にみんなで、ルカによる福音書1章の57節〜66節を読みましょう。

57さて、月が満ちて、エリサベトは男の子を産んだ。
58近所の人々や親類は、主がエリサベトを大いに慈しまれたと聞いて喜び合った。
59八日目に、その子に割礼を施すために来た人々は、父の名を取ってザカリアと名付けようとした。
60ところが、母は、「いいえ、名はヨハネとしなければなりません」と言った。
61しかし人々は、「あなたの親類には、そういう名の付いた人はだれもいない」と言い、
62父親に、「この子に何と名を付けたいか」と手振りで尋ねた。
63父親は字を書く板を出させて、「この子の名はヨハネ」と書いたので、人々は皆驚いた。
64すると、たちまちザカリアは口が開き、舌がほどけ、神を賛美し始めた。
65近所の人々は皆恐れを感じた。そして、このことすべてが、ユダヤの山里中で話題になった。
66聞いた人々は皆これを心に留め、「いったい、この子はどんな人になるのだろうか」と言った。この子には主の力が及んでいたのである。

1章57節〜66節


かつて天使の声を聴いた時には、神様の言葉に対して「信じられない、信じたくない」という気持ちもあったザカリアさんですが、ヨハネが生まれるまでの10ヶ月間を通して、
「神様は私たち夫婦のために、子供だけでなく救い主もプレゼントしてくださる。
神様は私たちを見捨てたんじゃない、私たちにとても素晴らしいプレゼントをくださるために、ずっと準備しておられたんだ!」
ということに気付いたのでした。

やがて子供が生まれ、名前を付ける日が来ました。
集まった親戚や近所の人たちは、父親の名前にちなんで『ザカリア』と名付けるつもりでいました。
(日本でも「襲名」と言って子供が父親の名前を受け継ぐことがありますが、当時のイスラエルでもそれと似た習慣があったようです)
でもエリザベトは、あらかじめザカリアから伝えられていた通り、『ヨハネ』と名付けると宣言しました。
でもみんなは納得しなかったのでザカリアにも手話で尋ねると、ザカリアも「この子の名はヨハネ」と、書いて答えました。
するとその瞬間、ザカリアの口が開いて再び喋れるようになりました。
その口から出てきたのは神様に対する文句ではなく、神様を賛美する言葉でありました。

【祈り】
神様、今日もあなたの御言葉を聞かせていただきました。
ありがとうございます。
神様、私たちはあなたにお祈りしても、欲しいものが与えられなかったり、
逆に欲しくないものが与えられることがあります。
でもそんな時に
「神様は私の祈りを聴いてくれない、神様は私を助けてくれない」
と思うのではなく、
「神様は私のために一番良いものを、一番良い時に与えてくださる。」
そう信じて待ち続けることができますように。
今日から始まるアドベントの期間を通して、あなたが与えてくださったイエス様というプレゼントの素晴らしさを私たちが理解して、クリスマスを迎えることが出来ますように。
イエス様のお名前によってお祈りします。
アーメン。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?