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愛をこめてお手紙を

 チャットGPTの話が盛り上がっているところに、いきなりアナログな話題を出すが、最近はお手紙を書いたりもらったりという機会がずいぶんと減ったように思う。

 私は、便箋が好きなので気に入った便箋と封筒を見つけては買ってしまって、日本の四季に合わせた柄から、動物柄などなど、色々なものが家にずいぶんたまっている。それでも、たまに、お手紙をもらうことがあるので、その時々でハガキを使ったり、便箋を使ったりしながら手紙を書く。

 メールでのやり取りやLINEでのやり取りも手軽で素早く、すぐに話せるのが良いが、何となく送る相手のことを思い、合いそうな便箋を選び、手紙をしたためるという時間をかけた作業も悪いものではない。その過程の一つ一つが少しだけ、愛おしい時間として存在するような気がする。最近は、かわいい切手も増えたので、どの切手を選ぼうかと考えるのも楽しい。
 
 手紙をもらうときもそうだ。ポストの中に入っている手紙を見つけ、差出人を確認し、何が書いてあるのか思いを巡らせつつ、家に入る。そして、封を開けるまでの過程も、大事な時間である。
 
 ちょっとしたことに、手間をかけて時間をかける。その一つずつの所作が、自分の心を整えるのにも関わってきているような気がする。
 
 最近は、時短だったり効率が重視される時代だ。内容さえ分かればよいと、映画やyoutubeを倍速で見る人もいるという。しかし、頭ではなく心が理解するには、体に染み込むには、一定の時間と動作が必要ではないだろうか。

 その大切さを知るからこそ、最近ではマインドフルネスが人気となり、昔からある禅やヨガや茶道や華道も廃れずに受け継がれているのではないかと思う。
 
 慣用句に「腑に落ちる」という言葉があるように、頭で理解するだけではなく、自分の体を通して身に着けていくものがある。それを忘れないようにしたい。
 
 カウンセリングもまた、同じだ。心理教育のように知識として知ることによって、楽になることもあるが、頭で分かっていてもどうにもならないこと、理解しているが納得がいかないこと、そういうものがたくさんある。それでも、安心できる場所で、安心できる人と一緒に、納得できないあれやこれやと向き合い、会話し、少しずつ折り合いをつけていく。

 そういう作業なのではないか。
                (K.N) 

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