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ひとり時間 ひとり旅

「誰かのために整えること、一人でいること」は、イイねを押したくなるくらい同意だ。私にとっても、三茶庵でのひとり時間は心地よい。みことの仲間がいると分かっていて、会いに行くのもとても楽しい。そういう意味でもサードプレイスかなと思う。私の場合、三茶庵ではひとりで仕事をする時間が多くて、その次が勉強時間で、なかなかのんびりすることに時間を使えてないなーと思うのだけど。
 
そんな三茶庵でのひとり時間の話から、ひとり旅の話にしてみよう。つい先日、とある学会に参加するために広島県福山市を訪れた。東京から3時間以上をかけて福山を訪れ、そのまま日帰りももったいないので、一泊して翌日ひとり観光に出かけることにした。ひとりで観光をするのは人生で2回目で、何の因果か1回目も、出発点はこの福山駅だった。不思議なご縁である。
 
それはさておき、福山駅からバスに乗って、鞆の浦へ。鞆の浦は崖の上のポニョ(2008スタジオジブリ)のロケ地として有名な港町である。朝9時前に到着して、まずは日東第一景勝として名高い、福禅寺対潮楼を目指す。平日は9時から開くらしいのだが、部屋は開けてるので入っていいと言われ開園15分前に一番乗りした。対潮楼一人占めで美しい景色を眺める。そこに、同じくひとり旅の紳士がやって来て、それぞれ好きに景色を楽しんだ後、福禅寺を管理しておられる方と3人で世間話をしてから寺を後にした。その後も、お店の人や、同じくひとり旅の人達との会話を繰り返しながら旅は進んで行った。パリから来ていた男性は名刺をくれて、パリに来たら案内するから連絡してとまで言ってくださったし、昼食に入ったうどん屋さんでは、ご主人が鞆の浦で生まれ育ったこと、料理の修行に京都に行かれたことなどを聞いた。私がひとりじゃなかったら、こういう出会いはなかっただろうなあ、と思う。家族旅行中に、他の家族と話したり友達になったりすることは、まずない。ひとりで旅をしているからこそ、色々な人と出会い、ひとりじゃなくなっていくのは不思議なことだ。
 
帰宅してから旅の話を夫にしたら、「大人になってから知らない人といきなり喋ることなんてある?」と聞かれたが、あるよ、ある。話しかけられることは少ないけど、話しかけたらだいたい返ってくるものである。ひとり旅で友達をつくりたい人は、まずは話しかける、をやってみてほしい。ちなみに、旅人同士の会話は大体アイコンタクトから始まる。目があって、にこっとする、お互いにひとり旅だなと認識して、なんとなく話しかけても大丈夫そうな雰囲気を感じとる。それから、話しかける。
 
そして、そのときできる繋がりは、「今、ここ」のものでなんの拘束力もない。私は私であって、自分のタイミングで進むことも留まることも出来る。じゃあ、私はこっちに行くので、と行って向きを変えればそこで終われる関係だし、帰ったら連絡しますね、と連絡先を交換してもいい。全くの自由だ。旅を棲家とする、というのは、そういう川の流れのような関係の中に棲まうということなのかも知れないなあ、などと思う。今回の旅で、住所不定で全国津々浦々旅をしながら暮らしている方にも出会ったっけ。
 
日常の人間関係に息苦しさを感じたり、行き詰まってしまったら、ひとり旅もいいものである。
 
                           (M.C)

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