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旦那の仕業

娘が14歳になった。
私14年も「お母さん」やって来れたんだ、すごいな。
娘は保育器に入るか入らないかのギリギリのちびっ子で生まれたから、ミルクを沢山飲んで早く大きくなって、娘と色んな話が出来るようになりたいなと毎日思っていた。
今は娘が生まれて退院してすぐに過ごした部屋であり旦那が倒れた部屋を自分の部屋にして、今日も推しぬいと共に起床する。
人生の始まりと終わりみたいだ。

誕生日プレゼントは何がいいかねぇ?
写真の旦那に聞いてみたけれど笑ったまま返事はない。
んー私がもらって嬉しいものってなんだ?
断然BUMPのライブのチケット!!
そう思い、チケット販売アプリを開いてみると、娘の誕生日その日に娘も私も旦那もよく知っている、推し声優さん2人のトークショーがあった。
場所も近く、これ行けたら嬉しいだろうなと思って申し込んでみたらすんなり当選して、行けることになった。

ナイス、旦那。

早速娘に伝えると、「ヤバいヤバいヤバいヤバい!!」
と特有の早口で叫んで喜んでいた。

誕生日当日、娘の食べたいものランチにしようと思い、ドリアを食べ、紅茶を飲み、りんごのソルベを食べおめでとうランチで満腹になってトークショーに向かった。
大学の学園祭のイベントだったのだが、学生さん達の楽しい雰囲気でいっぱいで、私も文化祭の準備が楽しかった事を思い出したりしていた。

他の声優さんのトークショーにも娘と行ったことがあるんだけれども。今回も声優さんを近くで見て感じたことは、
演じずに普通に話している声もすごくいいっ!!
っていうことで娘と
ほぉーー!!って終始ウットリしていた。
2人の学生時代の話も聞けて私まですごく楽しかった。
終わりの時間がきて、お2人がくじをひいて当たった席番号の人にサイン入り色紙をプレゼントのコーナーとなった。
「青春の番号だね19番の方!!19って俺らの青春時代によく聴いたバンドなんだけど若い子は知らないかな」
と言って声優さんのひとりがくじをひいた。
娘も「19?」となっていたので説明したのが、
『実は私とおとうちん(旦那)が出会うきっかけになった女の子が19(ジューク)っていうユニットの大ファンで、メンバーの326(ミツル)さんって人の絵が好きでその子も絵が上手だったんだよ。
1と9っていう数字は私の誕生日にもおとうちん(旦那)の誕生日にも含まれていたから、おとうちん(旦那)の昔使ってた銀行の暗証番号にも1と9が含まれてて結婚した時にびっくりしたんだよねー。』

19番の席のその大学の学生さんであろう若い男子が本当に嬉しそうに手を挙げたので、何だか私が当たったような気がして
(良かったねー!嬉しいよね、おめでとう!!)とパチパチ拍手をした。

次にもう一人の声優さんが番号のくじをひくと、
「これも青春の番号だ!109番の方!」
娘がまた「?」顔をしていたので、
『渋谷に109って商業施設があるじゃない?お母さんの青春時代は109で服買って厚底ブーツ、ルーズソックス、ギャルーみたいなさ??』
「手挙げて、早く!」
『??』
君が109番なんだよ!!!
『??』
見ると私の番号は109番だった。
急いで手を挙げた。
わぁー
わぁーわぁー。こんなことってあるんだ。
絶対旦那でしょ、旦那じゃなきゃこんな私にしか分からないサインでサイン入り色紙とかダジャレみたいなこと思いつかんよ。

娘は、『ヤバいヤバいヤバいヤバい!ありがとう!!ナイスおとうちん!!』と言って半泣きで喜んでいた。
19番の方が当たった時、自分が当たったかのように本当に嬉しい気持ちで喜んでいたから当たりを引き寄せたのかもしれないし、本当に旦那の仕業かもしれない。真相は分からないけれど。

亡くなったらもう一度生まれ変わるか、今生きている人の守護霊となるか選べるという話を聞いた事がある。
もしあの時旦那じゃなくて私が死んでいたとしたら、多分私は転生するには心残りが多すぎる。会社に行きたくなくなって元気のなくなった旦那とまだ自分の身支度も自分で出来ない小学生の娘が残りの人生を後悔なく楽しく生きられるように、使える念力を全部使ってサポートするだろう。

だとしたら人のためとかではなくまずは自分の『楽しい』を選び続けることがゴールに向かう正解だ。

自分だけが生きていて死ねないことに絶望したこともあるけれども、自分の人生、自分の好きに生きていいんだと思ったら嬉しくなった。
私の娘になってくれてありがとう。
あー楽しかったって思える1日1日を生きてね。

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