五条何某@フォロバ100は辞めました

20代後半 フリーター ヒモ 人生の探究者 エッセイスト ダイアリスト 鴎外ニスト

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最近の記事

グッド・ラック

この文をお読みになる読者は、幸いにもまだ生きておられる。我々は幸運と奇跡に感謝しなくてはならない。 「陳腐なことを言うな!」 「もう聞き飽きましたて」 「このワキガやろう!」 そんな言葉が脳内に流れてくる。 不運に巻き込まれてあなたが空しくなる事象を、確率で表したなら極めて低い。 だが数十年分の賭けを積み重ねたら?実はキワドイ確率で死を避けてきたのが示されるだろう。 意識の有無にかかわらず、我々は生死を分かつ賭け事に勝ち続けてきたのだ。 実際、死と紙一重の体験をなさってい

    • 偏屈

      天気が良く心地好い日曜日に気持ち悪くなった。 散歩していると、なんかのイベントに出会った。即席の舞台が設置されてあり、ヘソ出しの女の子達が踊っている。顔はみな晴れやかで楽しそうである。自信満々に踊っているものの、動きはまるで揃ってない。 脳が勝手にプロのMVと比べ始める。完成度が低く、中途半端なデキだと感じた。するとだんだん、ダンスが無意味な動きに思えてくる。無意味で中途半端なのに、彼女らは自信満々で楽しんでいる。そんな素人舞台を食い入りながら眺めている人らが阿呆に見えた。

      • 仲間外伝

        みな夢はある。しかし誰も金がない。真田と竹田は男性用風俗の仕事を始めた。2人はノンケだが、抵抗なく仕事ができるらしい。木村もやらないかと誘われた。金がないのは彼も同じだった。仲間の内で1番余裕がなかったかもしれない。それでも身体を売ることには抵抗がある。 木村は学生時代、ゲイという概念を嫌悪していた。ゲイじゃないと分かっていても、つい疑いの目を向けてしまう。友人と軽いスキンシップをとっただけで、クラスの女子から疑われたこともある。友人を疑いたくないし、周りに誤解されたくもな

        • 続仲間記

          4人とも皆んな変人なのだが、真田は頭1つ抜けていた。もはや狂人だった。いつもけしからんことばかり考えてる。 誰もまともな職に就いてない。みんな金がない。 ある日、真田がこんなことを言った。「電車代浮かせる方法みっけたわ」みんな期待して聞いてみるも、どうも頭の悪そうなことを言う。それでも実際何度か成功してるらしい。 木村は金欠どころかマイナスが続いている。もうあとには引けない。半信半疑でヒヤヒヤしながら、思い切って実行してみると、なんなくいけた。その後木村たちは研究を重ねて、

          仲間

          最近はインバウンドの方が多くなりました。都会の賑わいは言うまでもありませんけれども、ちょっと田舎の方へ参りましても「おや、こんなところまでおいでだ」と驚きます。 やっぱり円安が関係しているんでしょうね。我々はこれまで、アジア圏でお得な旅行をしてきました。どうやら日本も仲間入りをしたようです。日本でお金を落としてくれるのはありがたいんでしょうけれども、なんだか好き勝手荒らされているようで、ちょっと悔しさも感じております。 少子化やら、IT化やらで他国に遅れをとっていますから、こ

          呪い

          自覚のないスメハラマンを救うことはできるだろうか。 匂いのキツイ香水をつける→鼻が慣れる→香水の量がだんだん増える→近くに居合わせた鼻が死ぬる ただ死にかけた鼻も、だんだん慣れて気にならなくはなる。 誰かが言ったように、人間はどんな環境にでも慣れる生き物らしい。 ⭐️ 忘れたい体験や苦痛な記憶は、誰にでもある。五条祐介にもある。 当時高校1年生。夏の始まりである。 1時間目の体育のあと、家庭科室に行った。 中央にテーブルが8つある。2列4行。 1つに4人で座る。祐介以外

          キレられたらキレ返せ

          ことわざには歴史がある。 ことわざにも作者がいる。 味わい深いものから、いい加減なものまである。もしことわざの起源を辿れたら、意外な作者に出会うかもしれない。人生の探究者やら酔狂なおっさんやら。 日常生活において、これはことわざにありそうだなと思う出来事がたまにある。調べてみるも、意に合うものが見つかることはあまりない。 ないなら自分で作ってしまおうと閃いた。いい加減なほうの仲間に入れてもらおうと。眉唾物の中に贋作が1つ混じったところで、大した問題はあるまい。 五条祐介は下

          バスタオル

          家にある男を招いたとしよう。彼が土足で玄関を上がってきたら困る。でも常識は文化によって異なる。アメリカ人相手なら、日本文化をやさしく教えてあげれるだろう。でももし彼が日本人だったらどうだろうか。生まれも育ちも日本だったとしたら、、、。 五条祐介は今では大阪にいる。ミナミでホストに就職し、寮生活中である。2DKのマンションに3人住み、お局先輩が一部屋占領してる。エセ韓国系H先輩と祐介は相部屋になった。Hは祐介の先輩だが、たった2ヶ月しか変わらない。それに歳は祐介より3つ下とい

          理不尽

          五条祐介は最近、関西の高級焼肉店でバイトしている。ドリンクを作るのが担当だ。居酒屋のように裏で作るのではない。バーテンのように客の前で作る。姿勢や手つきに神経を使わなくはならない。正面の席に客が入ると、肉を焼く仕事加わる。忙しい日は気疲れするが、同時にやりがいも感じれる。 女店長M氏は、おかめに似ている。厚化粧で顔が白く、目は線である。M氏は仕事をテキパキこなす。普段はとても優しい。ただどんな人にも欠点はある。M氏は忙しさに比例して段々不機嫌になっていく。不幸にも、人は忙し

          格下

          うろうろしている女がいる。五条祐介はバレないように身を潜め、女を目視した。そしてこんなことを思っている。 『いやあのデブは流石に違う。太すぎる。でもそれらしい女は他にいないな。いや、まてよ。よく見るとアイツ、写真の面影はある。それにスマホを見ながらキョロキョロしている。探しているのは俺かあ。あのデブかぁ』 祐介は1人目にして、マッチングアプリの洗礼を浴びることになった。 『どうやら俺は騙されたらしい。女が送ってくる写真を信じちゃいけない、と聞いていた。それでもこんなに乖離し

          チートコード

          「勇者が魔王を倒すにはスキルがいる。そのスキルを積むための、最初の一歩はスライム退治だ。RPGの構造であり、実世界の構造でもある。童貞が六本木キャバ嬢を口説くためにはスキルがいる。そのスキルを積むための、最初の一歩は、、、」 五条祐介は電車に乗っている。そわそわと落ち着かず、貧乏ゆすりしている。彼は、これから童貞を捨てに行くところだ。精神世界を歪ませてきた色眼鏡を外す。ただ悲しくも、相手は彼女ではない。それに素人でもない。楽しみという感じはあまりなく、そわそわして落ち着かな

          嫉妬

          近年、若者の童貞率が高まっているらしい。インターネットの普及で、1人で家に籠っていても退屈しないからかもしれない。 ここにも1人、スマホに集中している男がいる。彼は最近、Youtubeで女にモテる方法の研究を始めた。 五条祐介は童貞である。高校を卒業して4年になるが、定職に就いたことはない。実家から近い農家で、軽いアルバイトはしていた。それも1年前に辞めてからは、引きこもってゲームばかりしている。近頃は、そのゲームにも飽きつつある。 彼は22年間彼女ができたことがない、と言

          脱童貞録

          2020年11月1日 五条祐介はリュック一つで新宿にいる。都会の夜の賑わいに目を奪われている。さすが首都だなと感心した。それにしても空気が不味い。 旅の始まりはあっという間である。新宿駅には新幹線と山手線とで、なんなく着いた。 たが祐介は早速迷っている。素人にとって新宿駅は迷路だ。そのうえ目的地は歌舞伎町にある。田舎者1人で歩くには訳が分からない。 担当者に連絡したら迎えに来てくれた。助けに来た男は、執事のような格好をしている。これがホストか、と祐介は初めて実物を見た

          悔恨

          さる晩秋の宵、田舎に立つ。出立の地はすでに懐かしく、土の匂いが親しい。 祖父の墓前へ参り、枯れた目で祈る。半年と少し、未だ夢で会うも話さず。 祖父はきっと、悔いて苦しんで逝った。責任は家族にある、無論俺にも。きっと天国に行ったよ、バカを言え。死に顔が安らかだね、だからなんなんだ。気休めはやめろ間違いなく苦しんでいた、なんて言わない。君らは知らなくていい。愛とは興味なのだから。 霊は信じず、死後は無である。それでも去らない悔い。

          にっくき重力

          万有引力が発見されて長い。月を背景にリンゴの落ちるのを見て悟ったというのは、作り話らしいけれども。 重力の存在を明らかにしたという点で偉大な発見だ。それまでの人類は、自分が地球に吸い寄せられてるとは思わなかった。 いや、祖先だけではない。現代科学を学んだ我々でさえ、生活の中で重力をいちいち認識することはない。 最近39℃の熱が出た。20時ごろから寒気がし、筋肉が震え出し、悪寒に変わった。 コタツに縮こまって温まったあと、ベッドまで這って行って休んだ。全身プルプル震えて

          人と知り合うということ

          霧島市ー鹿児島県の形を人の脚に譬えますと、丁度股間部に当たります。聳え立って並んでいる山、高千穂峰と韓国岳は仲良く肩を抱き合った兄弟のようです。 標高270メートルにあります、鹿児島空港の展望デッキでは、彼らの雄姿を裾野から山頂まで一望できます。 空港からさらに登ってまいりますと、霧島温泉郷に到着です。見渡しますと、あちらからもこちらからもモクモクとケムリが立ち昇っています。 湯けむりです。その量が尋常ではなく、たちまちのうちに生じては霧消する積乱雲を眺めているようです