見出し画像

自分に合った生き方をつくる

さて、今日は『自分に合った生き方をつくる』というテーマでお話ししたいと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼ AIを等身大で捉える

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

産業革命(第二次技術革新)の主役、熱機関(蒸気機関・内燃機関など燃料を燃焼させてエネルギーを生み出す機関) は、人間のエネルギー代謝におけるミトコンドリアのような存在で、人工的にエネルギ ーを生み出す装置です。

原子炉や火力発電などのシステムも熱機関なので、電力も熱機関ありきで成立しています。
つまり産業革命以降我々を取り巻く様々な機器のあらゆる動力は、多くの人は関知もしない無数の熱機関が動くことで成り立っています。
熱機関は、どうしてここまで社会に浸透したのだろうか?

前提として、熱機関はそれ単体ではほとんどの人にとって役に立ちません。というのも多くの人にとって、熱機関という装置は、 どう使って良いものかわからない大きな金属塊でしかありません。
→一般人にとって熱機関は 、どんな機械に組み込むか、どんな用途に使うかによって 、著しく有用性が変わります。単体なら粗大ゴミですが自動車、掃除機 、耕運機 、スマホ、PC、冷蔵庫・とかだと欲しいですね!つまり、熱機関が世の中に広く普及したというのは、「熱機関を搭載した数多の便利な機械や仕組が世の中に浸透した」ということです。

AI の場合はどうでしょう?熱機関の普及と同じ流れで考えてみましょう。

AI 技術そのものは、言ってみれば剝き出しの熱機関装置と同じだと捉えることができます。 一般人からすれば、AI 単体では用途の分からない金属塊同然。AI、つまり疑似脳が普及するというのは、この擬似脳を搭載した便利で様々な仕組み、あるいは仕組みを搭載した機械が浸透するということです。
断じて、いま注目のAI(ChatGPTやBardなど)がそのまま普及するのではありません。対話型AIサービスとは 、AIを使った仕組みのプロトタイプ(模型)→筆談で対話するだけの初歩の機能。AIを活かしたサービスとは言い難いです。 熱機関で言えば、「こんなに重い物を動かせるようになりました!」と機能のデモンストレーションをしてるみたいな段階です。
ウォーレン・バフェットは「AIは原子力に似ている」と評しています。 AIが社会にもたらす影響力と扱いの難しさが原子力に似ている、というわけです。この言葉には 二つの含蓄があります。一つは「AIは人類社会にとてつもない影響を与え得る」ということ、もう一つは「AIがどれだけ大きな力があっても、道具であって、扱う人間次第で良くも悪くも使える」ということです。

■AIの近未来
イーロン・マスクらの署名活動により、今年の第4四半期までは各社とも開発を自重しているため、現バージョンのAIが使い込まれています。これにより、いままで以上に高性能なファインチュー ニングやプラグインが開発・リースされています。とは言え、現時点では熱機関で例えると「モーター(フィン)を回して風を送れるようになりました」みたいな程度のもの。AIが普及すると言うのは、AGIを搭載した便利な様々な仕組みや機械が浸透していて無意識に使っている状態のことです。

◉AIの定義
・NI(Nature Intelligence)自然知能:人間や動物などの自然が生み出した知能。
・AI(Artificial Inteligence)人工知能:大まかにいうと、NI(自然知能)をコンピューター上に再現したもの。

◉AIの種類
・NAI(Narrow Al)特化型人工知能:
特定の領域に秀でたAlを指します。特定の能力に秀でながらも、人間と同じようには振る舞えません。高度な機械学習や深層学習による特定能力の習得が可能であっても、自ら考える力を持ちません。現状は全てのAIがNAIの位置付けです。
・AGI(Artificial General Intelligence)汎用型人工知能:
人間と同様の感性や思考回路をもつAI のことを指します。楽しくて笑う、悲しくて泣くなどの感情を理解することが可能でそれを模倣するだけでなく、自分なりに思考した上で異なる行動をとることもできます。人間以上の能力を持ちながら人間の心に寄り添えるAlとされており、技術特異点(シンギュラリティ)を起こすAIと考えられています。

■ 未来のAI =AGI =人間の能力を超えた疑似脳
現時点のAIサービスであっても、的確な事業計画を立てたり、市場調査をしたり、人事評価をしたり、画像・動画・文章生成をしたりと、その性能に驚嘆 することが多々あります。しかし、いまのAI サービスはプロトタイプであると前述しました。それは、技術特異点を迎える日はAGIが発明された後に訪れると目されているからです。人間のように泣き笑い、人間以上に頭がよく、上手に書き・歌い・描く、無機生命体と言える存在が登場します。

そうなると、ほとんどの人間は用なしになります。 日本に一早くシンギュラリティを紹介した松田卓地名誉教授の言葉を借りるなら「これまで国家が必要としてきた労働者や兵士は、すべてロボットに取って代わられます。これが最近 、よく言われる技術的失業です」ということです。それはもう、 社会システムに与える影響は計り知れません。まさに 、磨製石器・熱機関につく第3の技術革新が起ころうとしています。 AI研究の世界的権威であり、シンギュラリティを著述したレイ・カーツワイル博士によればAGIは2029年には誕生するといいます。その論拠となっているのは「ナノボットにより脳のリバースエンジニアリングが可能になる」という予測です。
ナノボットとは、ナノメートルサイズの分子機械のことを指します。ウィルス程度の大きさのロボットと言うと分かりやすいですかね?
リバースエンジニアリングとは、機械を分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査することを指します。

以下は、レイ・カーツワイルによるナノボットがリバースエンジ ニアリングでシンギュラリティを起こすタイムライン予測。

【年代と出来事】
①2025年頃 → ナノボットが誕生し脳の詳細なシミュレ ーションが実現
②その後数年以内 → 脳のリバースエンジニアリングが実現
③2029年頃 → チューリングテストに合格するようなAGI が登場
④2060年頃 → ヒトニューロン(1000億 ニュ ーロン)全てのリアルタイムモニタリングが実現。その先の未来シナプスレベルでの記録や人為的に刺激を与えることを実現

チューリングテストとは「AIが人間の模倣をし、それに人間が気付かないかどうかのテスト」のことです。これに合格するAIが生まれると、AGI誕生!となるわけです。何度も言いますが、AIの本質は疑似脳です。AGI登場によってナノボット研究も進むので、リバースエンジニアリング技術もまた加速的に進化し続けます。
核融合発電や脳科学など研究・技術の進展に同じです。AIの進化が、科学や技術の進化と同意であるということです。AGIレベルの人工知能が生まれ、人間では不可能な精度や速度で研究開発が進んでいきます。そしてAI技術の研究開発もAGIが行うわけなので、指数関数的に技術が進化していきます。この状態になったら「シンギュラリティが起きた」と言ってよいでしょう。

■AIが浸透するとは?
一般人が関知しないところでAIが他の優れた技術や科学に組み込まれたり、その優れた技術や科学の研究開発をしている状態。知らぬ間に我々の身の回りがAIで溢れているという状況が 「AIが浸透した」ということになります。つまり、政治や経済のシステムに組み込まれていたり、人事評価やマーケティングや経営戦がアルゴリズム化されていたり、AIに管理される核融合発電から電力供給を受けていたり、人それぞれの性格・行動パターンに応じてAIから様々な商品やサービスを紹介されたり。そういったことが、人類社会に当たり前に溶け込んでいる状態がAI の浸透した社会となります。

■AI社会における新しい社会システム誕生の可能性
政治や経済のシステムに、AIが導入され得ます。以下は「そういう話もあるのかな?」程度に捉えて欲しいのですが…
とある情報筋によれば、すでに国連決議にAI (マザーAI的な存在?)が参画しているという話まであります。真偽のほどはともかく、こんな話が出るのも「AIに対して人間が思う有効な活用方法の1 つ」だということの裏返しなのだと思います。現代の政治経済のシステムは、社会主義と資本主義、独裁・専制と民主主義、全体主義と個人主義が、長らく「こちらが正しい」と反目し合っている状態です。
今後、もしかしたらAIを活かした新しい社会システムが生まれるかもしれないことは念頭に置いておきたいですね。
ブロックチェーン技術を用いた暗号通貨や、DAOなどのシステムはその先駆けと言えないこともありません。

◉ 蛇足~様々 な社会システム
近代社会システムの根幹には「日本含む欧米諸国などの個人の権利を認める個人主 義の社会」と「中国や中東などの人権を軽視して国家利益を中心に考える権威主義の社会」があります。権威主義は、かっては個人主義の対極にあった全体主義(ファシズム)の派生的な社会システムで、民衆の不満を緩和すべく形式上の選挙を行うなどのエ夫があります。
欧米諸国は「個人が資産を持てて努力次第で貧富が変動する資本主義経済」で、その対極に「社会全体で富を分け 合うため貧富の差が生まれづらい(実情はともかく)とされる社会主義(妥協版共産主義)経済」があります。
欧米諸国は「民主主義の政治」で、その対極は「王などの身分をもつ個人による支配の専制政治」です。社会主義国家に多い独裁政治(一党独裁など)は 、2つの中間で、専制政治と言えなくもないし、民主政治の手法の一つであるとも言えます。

歴史学者(サピエンス全史著者)のユヴァル・ノア・ハラリは、シンギュラリティにより人間は、条件(必要な費用を払える) さえ満たせば死ななくなり、超知能と融合した「神=ホモデウス」になると予想しています。そして世界はヒューマニズム=人間中心主義から、 データイズム=アルゴリズム(計算手順・処理手順)中心主義へと移行するといいます。※神の件は意味不明

レイ・カーツワイルは、シンギュラリティについて「人間の思考をその生物としての制約から解放する。これは本質的にはスピリチュアルな事業」だと述べています。話半分としても、人類や社会システムに相当な変化が起きていくことでしょう。
ただし、AIはどれだけ凄くても優秀でも、人間にとって道具です。ウォーレン・バフェットが言うように、使い方次第、 つまり使う人次第で良くも悪くも作用します。だからAI倫理や規制などガイドラインの策定に、血眼になるのも分かりますね。 とは言え、個人レベルで考えるだけなら、あくまで便利に使って人生を楽しくする道具として捉えるのがいいでしょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼人間について

ここから先は

14,659字
この記事のみ ¥ 10,000

よろしければサポートお願いします!より良い作品を作れるようにクリエイター費に回させていただきます!