後悔したお買い物
昨年の春から断捨離をして、服の好みがガラッと変わった。これにより迷走したのが2020〜2021年シーズンのこと。ファッションが大好きでこだわりだって強いはずなのに、自らの信条に反するような買い物の仕方をした。その後悔を、備忘録として書き記しておく。全体的に愚痴っぽくなっており約4000字にも上ったため、根気強い人にだけ読んでいただきたい。なお、ところどころに自分の行動に対する怒りが溢れているが、読者が同じことをしていたとしても全くの無問題だと捉えてほしいということは念のため強調しておく。
1.背景
元よりわたしは、服が好きすぎて文字通り服に埋もれる生活をしていた。都内ワンルームでの一人暮らしで、200着もの服を所持していたのだ。2020年春、新型コロナウイルスの流行による自粛生活や在宅勤務の推進に伴って断捨離欲が高まり、探し物の発掘をトリガーとして100着以上の服を一気に処分した。
この断捨離を機に、服の趣味が変化した。それまではCanCamや美人百花などといったいわゆるフェミニン系、きゃぴきゃぴ花柄ふんわりワンピース❤︎のようなものばかりを着ていたが、自身の持って生まれた顔立ちやこれからのなりたい方向性とはミスマッチだということに気づいたのだ。クール、モードなどをキーワードにして服を集めたいと考えるようになった。胸のしたまであったスーパーロングヘアをばっさりと切り、ずっと抵抗感を持っていたパンツスタイルにも挑戦しようと決心した。
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2.ここ一年での迷走
おととし受けたパーソナルカラー・骨格・顔タイプ診断の結果を参考にしながら、この一年は無地のものを中心に購入していった。きゃぴきゃぴフェミニン時代はApuweiser-riche、Rirandture、LAISSE PASSEあたりの王道華やかOL系ブランドばかりだったクローゼットの中身は、FRAY.I.D、FURFUR、SNIDELといったカジュアル路線のブランドに切り替わっていった。いわゆるプチプラブランド(プチプラの定義がよくわからないが、ここではワンピースが定価で1万円を切るものをプチプラと呼ぶことにする)を賢く取り入れよう、という新たな取り組みも始めた。
別にこれらのブランドを貶すつもりは全くない。ただ、私にはマッチしきらなかったようだった。プチプラ服に至っては質の悪さが気になって仕方がなかったため、もう二度と低価格だからという理由で服を購入するつもりはない。
さて、具体的なミスマッチポイントは主に三点。
・お手入れの大変な素材が多い
・サイズが大きい
・接客のテンションについていけない
以下、それぞれについて詳細に述べる。
2−1.お手入れの大変な素材が多い
先に挙げたブランドで好みのデザインのものは、綿素材のアイテムが多かった。きゃぴきゃぴフェミニン時代は綿素材のアイテムなんて無縁だったので失念していたが、私は綿素材を扱うのが非常に苦手だった。大前提としてできるだけクリーニングに出さずホームケアで乗り切りたい私にとっては苦痛でしかなかった。シワを伸ばすためにスチームアイロンをかけるのは面倒だし、コロコロクリーナーをしても小さな埃はしつこいし、お手入れするのが億劫になるのは久々のことだった。手洗いもブラッシングも厭わない私だが、正直なところ綿製品の服のお手入れは気が進まなかった。結局、ワンシーズンで多くの服を手放すことになった。
2−2.サイズが大きい
ワンピースばかりを集めていた時にはそこまで気にしていなかったが、私は身長が低い。今年の健康診断では縮んですらいた。その私が、小柄な人向けでも何でもないブランドで服を揃えても、着られている感が拭えなかった。もちろん、身長が低くてもオーバーサイズで可愛く着こなすことができる人はたくさんいる。しかしながら私の顔立ちではそうはいかない。パンツの裾が余ると脚の短さに涙を流しながらお直しに出す羽目になった。また、きゃぴきゃぴフェミニン時代は長袖を着用する際はだいたい袖口がキュッと締まったデザインを選んでいたので気にする必要もなかったが、系統を変えると袖も変わる。悲しいかな、だらしなく布が余っているだけの人になった。
2−3.接客のテンションについていけない
大学時代から主に服はルミネで購入していたが、最近はルミネでの元気な接客に疲れるようになってきた。似合うか否かは鏡を見れば自分で判断できるし、かわいいですよね!という同意で安心感を得るほど自分のセンスに自信がないわけでもない。中途半端に自我が強くなってしまって、無言で試着だけさせてくれよ、と本気で考える。大学生の頃はスタッフさんとの会話まで含めてショッピングを楽しんでいたが、いまの私にそんな体力はない。セール期間なんて特に人が多すぎて地獄だからと避けるようになった。ONE LUMINEのアプリでマイルを貯めて喜んでいた過去が信じられないくらい、私の心はルミネから離れ百貨店へと移行しつつある。
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3.ここ一年での快挙
快挙、と言うと大袈裟だが、我ながら良かったと思えるのは主に三点。
・無地のアイテムに絞った
・小物のチョイスが上達した
・お手入れに力を入れ始めた
これらについても詳細に述べる。
3−1.無地のアイテムに絞った
以前は花柄ばかり集めていたが、この1年間は無地のもののみを購入した。とはいえ味気ない無難なものだけを選んだかというとそうではない。レース、シースルー、アシンメトリー等、無地という制約の中でいかに遊び心のあるものを選ぶのかに注力した。元々顔立ちからして柄物が似合いづらいのはわかっているし、若さで押し切れる年齢でもなくなったという事情が背景にある。そんな中でもコンサバティブなアイテムで妥協しようとしないこの姿勢はとても誇りに思う。
3−2.小物のチョイスが上達した
バッグ、シューズ、アクセサリーも服の断捨離と同時に進めたのでかなりの割合で入れ替わった。そして服とは異なり、これら小物に関しては後悔した買い物がひとつもない。通勤電車で押しつぶされる心配が無くなったからこそ、本当に好きなものだけを集めることができたのかもしれない。なりたい方向性とマッチするものを少数精鋭で揃えた今の小物類を、とても気に入っている。
3−3.お手入れに力を入れ始めた
日々のお手入れで使用する製品を揃え、時間をとってケアする習慣がついた。手洗い用の専用洗剤、シューズ向け/バッグ向けのレザーケアグッズ、洋服用の馬毛ブラシは新調した。今までもお手入れをしていなかったわけではないが、汚れ落としや防水が中心だった。特にレザーケアに関しては、革製品のエイジングを楽しみ育てていきたいという思いが芽生えた。今流行りのサステナブル製品を購入するよりも、大量購入大量消費の習慣を見直すやり方の方が、私には合っていると気づいた。
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4.2021AWからのマイルール
以上の失敗/成功を元にして、改めてマイルールを整理する。
4−1.服を購入する際のマイルール
①素材を確認する
2−1への対策。併せて洗濯表示の確認、実店舗でのショッピングの際には手触りの確認も行う。
②膝丈のワンピースに絞る
2−2への対策。私の身長と体格には、結局身体に程よくフィットするワンピースが最も似合う。スティーブ・ジョブズがイッセイミヤケのオーダーニットをいつも着ていたのは有名な話だが、あれは服に悩まないためだけでなく自分に似合うものしか着ないという意図もあったのではないかと推測している。私もその考え方を導入したい。
③ 黒無地のアイテムに絞る
3−1の継続。日本人は黒を無難な色だと思い込む習性があるようだが、プロに言わせると実際に黒を着こなせている人は非常に少ないらしい。一方で私は強めの黒がかなり似合うと太鼓判を押されたので、自信を持って黒を着用する。幸いカラーメイクに抵抗はないので、色で遊びたくなったらアイシャドウで取り入れる。
4−2.小物を購入する際のマイルール
①バッグは年に一個に止める
3−3で述べた通り、お手入れの習慣がついてきたため、そろそろ由緒あるブランドのバッグを持っても良い頃だと思い始めた。レザーのバッグを育てながら長く使っていきたい。
②ピアスはシンプルかつ大振りなものとする
学生時代に購入したシンプルで上品なピアスが似合わなくなってきた。恐らくだが年齢を重ねて肌のハリや輝きが失われたことによって、似合うものと似合わないものとの差が大きく開くようになったのだと思う。それなりに主張の強い顔面に負けないような、大振りな地金のピアスを揃えていく。店舗で試着をする際にハイジュエリーに目が奪われることはあるかもしれないが、ハイジュエリーよりもファッションジュエリーの方が似合うのだという事実は念頭に置いておきたい。
③防寒には大判ストールを用いる
夏にカーディガンを着用しない、春秋に薄手のコートを購入しない、という方針を貫くために、大判ストールを導入しようと計画している。黒のワンピースと合うものならなんでも良いが、素材にはもちろんこだわる。
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5.マイブーム
最近はインポートブランドに夢中になっている。すでにアパレル製品を購入したもののうち代表的なところだと、Calvin Clein、TED BAKER、RINASCIMENTあたりを非常に気に入った。人生で最も太っている私の現在の体型ですら魅力的に見せてくれるし、素材も良い。日本では流通量が多くなく、もし日本から撤退するとなったらどうしよう…という不安はあるものの、それ以外は何のストレスも感じない。今後は他のインポートブランドにも目を向けながら、快適なショッピングライフを送ることとする。
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あとがき
ファッションの方針を変えたことによって多くの時間とお金と自信を失った。しかし同時に、多くの教訓も得た。ばっさり切った髪の毛もまた伸ばし始めた。今後の私であれば価格の安さにも目新しさにも惑わされることなく、しっかりと自らが真に欲しいものと向き合って賢い買い物ができることだろう。そう信じたい。
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