青春

青春は振り返れば輝かしいけれど、真っ只中にいるときは苦しく、早く時が過ぎることばかりを願うものだ。

朝起きるのがとにかく苦手で、毎日行かなければならない場所、やらなければならないことがあることがひたすら苦痛に感じる。
恐らく、人生を人間らしく過ごすのに向いていない体質なのだと思う。
きっとこの世の中にそんな人たくさんいるだろうし、私だって僕だってと思う人もいるだろう。
だが、そんなのどうでもよくて、「私には」苦痛なのだ。
人間はとかく他者の人生を自分と比較したがる。
他人の価値観なんてどうでもいい。お前はお前だ。私は私だ。とにかく、生きているだけで疲れる体質なのだと思う。思っている。甘えだとかいう言葉は聞かない。
 
比較的恵まれた生活をしてきた方だけれど、本当にそんなの関係なくて、自分にとって辛いと感じる経験をたくさんしてきた。
始めに記した様に、まあそれは今となればむしろ輝かしい思い出だったりする。
小学生の時、好きな男の子にチョコレートを渡したくて学校に持って行って怒られたことや、中学生の時、友達数人がこぞって好いていた男の子と内緒で付き合っていたらギャルの同級生にバレて必死で隠したこと、高校生の時…は特に思い出せないけれど、大学生の時はもうなんだか全てが辛かった気がする。
講義を受けながら泣いていた。勉強のことで、ではなくて。
 
そんなこんなですっかり立派な30歳になったが、昔の自分が思い描いていたようには生きられていない。
素敵な伴侶がいて、子供がいて、なんとなくパートしながら、あわよくば専業主婦として、家を守っていたかった。
もしくは、壮大な夢を叶えて、世間からちやほやされていたかった。
それが叶えられている人って世界中の何パーセントくらいなんだろう。そもそもそんな夢を持っている人の方が今は少ないんだろうか。

話は前後するが、苦手なこと、辛いと感じることに敏感な人生だった。
先日占いに行ったが、あなたはとても繊細な人だと言われてやっぱりかと思った。
初めて会った人に見抜かれるほど繊細なのか。それは人生しんどいはずだ。人の繊細さを笑うな。

しんどいことがあると、「生きづらい」と呟くのが癖だった。
人間関係や恋愛、家族のことで辛いことに直面するたびに、自分の不幸を呪った。
そして、そんな自分が嫌だった。

しかし、最近思うのだ。
その都度「生きづらい」と思うことは、その都度苦痛に向き合っているということではないかと。
これまた占い師の言葉になるのだが、私はどうやら運命通りの人生を歩んでいるそうだ。
流れに逆らわず、しっかりと波に乗って。
そして、今ある自分や起こった出来事はなるべくしてなったと思える星の元に生まれたらしいのだ。
なんだそれ。最強じゃないか。
そしてその言葉を聞いて思った。
そういえば私、苦痛に面したときは死ぬほど辛いと思うけど、その度に強くなるし、なんだかんだで前向けてる気がするな、と。
吉沢亮だって某CMで言っている。「人生に前向きな人って素敵です」と。ありがとう。

自分がしっかりとその「不幸」と向き合うこと。思い切り苦しむことって、もしかするととても大事なことなのかもしれない。
その「不幸」は決して長くは続かない。
続くものもあるのかもしれないけれど、多くは2〜3日もすれば落ち着く。
心の奥底でその「不幸」は渦巻いていたとしても、何となく人生を過ごすことはできる。
私はまだ、命を奪う「不幸」には出会っていない。幸いにも。

まごうことなき大人になった今でも、この世の終わりだと思う苦しみに襲われることはある。
先述した通り、日々を過ごすだけで苦痛を感じるタイプの人間ではあるが、それ以上に悲しいこと、苦しいことが起こることはもちろんある。
苦しみには慣れない。
いつだって胸が張り裂けそうな思いをし、大声で泣き、心も体も磨り減る。
大人になったのに、こんなに子供みたいに泣いて馬鹿みたいだと思う。

振り返れば今は青春。早く時よ過ぎろと思う今こそ青春。
いずれ最期を迎えて走馬灯を見る時、きっと思い出すであろう今。
繰り返し何度も思い出した過去と並んで、浮かんでくるであろう今。
全ての「不幸」を受け入れてこの体に組み込むことで、いつか、笑い飛ばすことはできなくてもせめて苦笑いで、生きてきた自分を肯定できたらいい。
そして今、未来の私にはそれがきっとできるであろうと、思えている。

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