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倒産減少の裏に潜む危機?年末に向けた金利上昇の影響を見逃すな!


「倒産が減った?そんなにうまくいっているの?」と、思わず喜びたくなるニュースが飛び込んできましたが、実はこの現象、短期的な要因が大きいのです。8月の倒産件数は前年同月比で5%減少し、29カ月ぶりに倒産件数が前年を下回りました。しかし、だからといって安心するのはまだ早いかもしれません。年末に向けて、また違う嵐が待ち受けている可能性があります。


1. 8月の倒産減少、その理由は?


8月の倒産件数は前年同月比5%減の723件となり、29カ月ぶりに倒産が前年を下回るという一見ポジティブなニュースが飛び込んできました。特に建設業や運輸業では、価格転嫁がうまく機能し、業績を下支えしたとされています。しかし、8月は夏季休暇の影響で営業日数が少ないため、倒産件数が抑えられる傾向があり、その数値には少しバイアスがかかっているかもしれません。

2. コスト上昇を乗り切れるのか?


倒産減少の背景には、原材料費や労務費の値上がりを価格に転嫁する動きが影響しています。帝国データバンクの調査によれば、7月の価格転嫁率は44.9%と、前回調査から4.3ポイントも改善。特に運輸・倉庫業では7.1ポイントの改善が見られ、34.9%の転嫁率となっています。このように企業がコスト増を取引先に転嫁できたことが倒産を抑える要因となったのは明らかです。

3. 金利上昇の影響はこれからが本番?


年末に向けて最も懸念されるのは、金利上昇による利息負担です。日本銀行が7月に政策金利を引き上げたことで、多くの金融機関が9月から貸出金利を0.15%引き上げています。もし借入金利が0.5%上昇すれば、1社あたり年平均136万円の利息負担増が予想され、特に中小企業には大きな打撃となるでしょう。つまり、年末に向けて企業の倒産リスクが再び増加する可能性が高まっています。

4. 人手不足が引き起こす倒産の現実


さらに、人手不足による倒産が目立ってきています。1月から8月までに発生した人手不足倒産は194件と、前年同期の101件を大きく上回るペースで進んでいます。特に中小企業は「人材確保が難しい」との声が多く聞かれ、人件費の高騰と相まって倒産のリスクが高まっています。これは、企業が労働力の確保とコスト増加という二重のプレッシャーにさらされている証拠です。

5. 倒産の増加を防ぐための対策


では、企業が倒産を回避するためにはどうすればよいのでしょうか?一つの対策として、価格転嫁をさらに進めることが求められます。取引先との価格交渉を継続し、コスト増を反映できる体制を整えることが重要です。また、資金繰りの改善も鍵となります。特に利息負担が増える中で、キャッシュフローを管理し、必要に応じて金融機関との交渉を行うべきです。さらに、労働力確保のためには、リモートワークやフレキシブルな働き方を取り入れ、採用の間口を広げることが効果的です。

まとめ:今後に備えた柔軟な経営が鍵


8月の倒産件数は減少しましたが、年末に向けて再び倒産が増加するリスクが高まっています。金利上昇や人手不足、物価高などのコスト圧力が企業経営を一層厳しくする中、価格転嫁や資金繰りの改善といった対策を講じることが不可欠です。企業経営者や投資家にとって、今後の動向を見逃さず、柔軟な対応が求められる局面です。

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