「脱獄犯を褒める？」 vs「東大生を褒める？」―見えてきた意外な共通点とは？

私たちが一般的に尊敬や賞賛を向ける対象はどこにあるでしょうか？ 「東大を突破した学生」なら頷けますよね。では、「脱獄を成功させた犯罪者」はどうでしょうか？　一見すると、二つのケースは全くの対極にあるように見えます。しかし、一歩引いて考えてみると、ある共通点が見えてきます。それは、「困難な状況を突破する勇気」です。

注目すべきは、この勇気がどのように行使されるか、という点です。勿論、法を破る行為を褒める意図はありません。私たちが尊敬すべきは、「法と道徳の範囲内で困難を乗り越える勇気」です。逆に、その勇気が違法行為や他人の権利侵害につながるなら、それは明らかに非難されるべきです。

しかし、ここで考えてみましょう。脱獄を成功させた犯罪者が、その勇気や能力を社会に役立つ方向に導くことができたらどうでしょうか？　彼らが法律を犯す道を選ばず、その才能を合法的な形で活かす道を選んだら、社会に対する価値は計り知れないものになるでしょう。

同様に、私たち自身の行動や状況が、他人の行動にどのように影響を与えるかを考えることも大切です。自分の家が盗難被害に遭った時、その原因をすべて泥棒にあるとは限りません。セキュリティの緩さや貴重品の管理の不手際も、その一因となる可能性があります。

ここで問いたい。あなたはどちらの人物を褒めますか？ 「東大を突破した学生」？それとも「脱獄を成功させた犯罪者」？ この問いの答えは、あなた自身の頭の中にあります。私たちは、自分自身の判断を再評価するきっかけとするために、このような問いを立てるのです。

そして、私たちはすべての人が、自分の持つ才能や勇気を社会に対して良い影響を与える形で使うことを願っています。そのためにも、我々は常に自分自身の意識や行動を問い続けることが大切なのです。

その一助となれば幸いです。

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)