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努力とあきらめる潔さと

最近、87歳の方と毎月一緒にゴルフをしています。
夫がテニスで知り合った男性の方です。
その年齢までスポーツを楽しもうと努力している姿を見て考えることがあったので、今日はそのことについて書いてみます。


その方はもともと体が弱かったそうで、仕事を早めにリタイヤして都心から空気のきれいな地方都市に移住してこられたそうです。
ご自宅の横に畑を借りて家庭菜園をしたり、テニスやゴルフをして過ごされていますが、だんだんに筋力が落ちてきたり腰痛もあり、テニスは練習だけで試合は参加しなかったり、ゴルフも休まれていました。
そのゴルフを再開することになり、人数調整で私も途中からご一緒することになりました。


再開当初は18ホール回る体力がなかったそうですが、私が参加してからは最後まで回れるようになっていました。
若い頃は大会で優勝することもあったというその人。
イメージしてもその通りに体が動かないことにやるせなさを感じる、とおっしゃっていました。
それでも、毎日家の階段を往復することとゴルフの素振りをルーティンにしてから、脚力と体幹がだんだんついてきて腰痛も緩和してきたそうです。
プレイ中も自分の体の動きをチェックしながら回られていて、飛距離は伸びませんがコントロールがいいので、結構いいスコアで回られます。


その方、先日一緒に回った時、後半のコースで坂道を滑って転んでしまいました。
幸いけがはありませんでしたが、その日はそこでリタイヤされました。
やりたいことを続けられる楽しさと自分の体力の限界に向き合う日々。
日々がその連続なのでしょう。
気落ちすることなく、次の日のテニスは行けそうだ、と気持ちを切り替えていました。


病気を抱えながらも好きなことを続けるために努力をし続ける、でも無理を感じた時には潔くあきらめる姿を見ていて、私はあることを思い出しました。
以前高齢者施設に勤めていた時に、若い頃洋裁が得意だった女性が入所されました。
お子さんの服は全て作っていたというその方は、入所後、周りがどんなに勧めても、決して針を持とうとしなかったのです。
もしかしたら、以前のように上手に針仕事ができないから、そんな自分の姿に向き合いたくなかったのかな、と思いました。
人生の選択は人それぞれですね。



歳を重ねていくことは、下り坂を降りて行かざるを得ない自分と向き合うことが増えていくのでしょう。
そのこととどう向き合っていくかによって、人生の満足度は変わっていくと思います。
病気のことや体調不良のことばかりを口にするようになる高齢者の方がいますが、そういう人は、頭の中が先のことへの不安ばかりになっているのではないでしょうか。
でも多分、自分を元気にできるのは自分しかいないんじゃないかな。
誰かのおかげで元気になったとしても、そのつきあいを引き寄せるのは自分です。



私自身は、人生の終点をゴールと思える生き方をしていきたいな、と思っています。
世の中の変化はこれからますます早くなって、終末期についての考え方や制度も変わっていくかもしれません。
時代と自分の変化を見極めながら、どんな選択をしたいかを自分に問いかけながら、あきらめる選択でも、自分なりの潔さをもっていきたい。
そして、小さな楽しみとユーモアを忘れないで過ごしていきたいです。
冒頭の男性とのおつきあいから学べること、これからもたくさんありそうです。








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