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外食産業の人材不足をロボットやITで解決!!

この記事は、2022年3月31日に北海道のIT情報発見!発掘!マガジンのmikketa!!に掲載されたものです。

日本全体で、外食市場規模は約18兆5338億円(一社日本フードサービス協会 2021年12月)と言われています。北海道にも数多くの飲食店があり、私たちの食生活を楽しませてくれています。

一方で、どこの業界でも叫ばれている人手不足は、外食産業でも同じです。新型コロナウィルスによる蔓延防止措置などにより、営業時間の制限が発生。また、来客数そのものも大幅に減り、人材を雇い続けることが難しくなった飲食店も多いのではないでしょうか。

今後、以前のように外食に再び気兼ねなく出られる日がきた際、「人手不足で営業が回らない」ということが無いように、どのようなことを進めれば人手不足を埋めることができるのでしょうか。人手不足を補うべく、配膳ロボットや、スマホで頼めるオーダーシステムについて、話を伺ってきたのでご紹介します!

ネコ型配膳ロボットBellaBot

札幌市白石区に本社を構える、大東ホールディングス株式会社ではPudu社の配膳ロボットであるBellaBotの販売代理店として、道内の飲食店への導入を進めています。

元々はガソリンスタンドとして、石油販売を行う会社だった同社がなぜ、配膳ロボットの販売代理店をすることになったのでしょうか?大東ホールディングスの子会社でロボットの初期導入、保守メンテナンスを請け負う株式会社大東バリューイノベーション代表取締役社長の吉田 敬一さんに話を伺いました。

吉田社長「本体である大東ホールディングスが石油販売を行うだけではなく、さまざまな事業を展開しているのですが、その中でホテル経営も行っています。また飲食店様との取引もある中で、人材不足などの課題感を体感したり話を聞くことも多くあり、配膳ロボットの販売代理店を進めようという話が出てきたんです」

BellaBotの特徴は、”猫型”のロボットであるところです。(某国民的アニメを思い出しますね)実際に動いている動画をごらんください。

配膳ロボットといえば、サーっとトレーに乗せた料理を運び、
到着した際に「到着しました」と音声が鳴るロボットも多い中、BellaBotはとてもよく喋ります。また、耳やおでこを撫でると、反応もみせてくれ可愛らしさも感じます。

実際の店舗では、配膳はもちろんのこと、下膳時も対応してくれるBellaBot。今までは、お皿を全て厨房へ下げた後、各テーブルの拭きあげにホールスタッフが戻ってきて、机を拭く作業が必要でした。BellaBot導入後は、下膳はBellaBotにおまかせをし、スタッフは机拭きを担当することができ、厨房との往復が減り作業効率が上がったと言います。

お店にきていたお客さんは配膳ロボットの珍しさに、BellaBotが動くたびに釘付けになっていました。

今後、大東ホールディングスはBellaBotを北海道や日本全国でどの様に展開させていく予定なのでしょうか?

吉田社長「大東ホールディングスの展望を代弁すると、今後は介護施設への導入も進めていきたいと考えています。介護施設の配膳は毎朝70食を一気に運ぶなど、配膳のためだけに人を雇わなければいけないぐらい、とてもマンパワーがいるんです。そこにこの配膳ロボットを投入することで、すこしでも負担軽減ができたら良いな。と思っています。またBellaBotの姉妹商品であるKettyBotは表面に長い画面が着いているんです。そこにお孫さんの動画を流すなどができたら、よりよい配膳になるのではと考えています」

以前であれば、人件費削減のためにシステムを導入する!という企業も多かったかと思いますが、現状は人手不足の影響や新型コロナウィルスの影響もあり、少ない人数で店舗を回さなければいけません。それ故に、効率化できるところは効率化し、より顧客にとっても従業員にとっても、より便利な店舗運営が求められているのかもしれません。

顧客のスマートフォンでセルフオーダー

配膳と同じぐらい、もしくは配膳よりも長い時間接客が必要なものに「オーダー取り」が挙げられるのではないでしょうか?飲食店へいくとテーブルにタブレットが設置されており、従業員がオーダーを聞きにいくことなく、タブレットで来店者が注文をする。そんな経験をされたことがある方も多くいらっしゃると思います。

多くのお客さんに同時に呼び出しベルを押された際、注文をなかなか取りにいけずに、お客様をお待たせすることが、これらのシステムの導入によってなくなったのではないでしょうか。一方で、タブレット端末自体が「安い」とはいえない物。セルフオーダーのシステムを導入しようとしても、初期費用が高いというデメリットが、タブレット型のセルフオーダーシステムにはありました。

そんな中、最近北海道でも目にする機会が増えてきたのが「顧客のスマートフォン」でオーダーをする体験です。

北海道の飲食店でも複数導入されているOkage DX Platformもそのソリューションの一つです。 Okage株式会社の開発・提供するモバイルオーダーは、お店にそれぞれセルフオーダー端末を導入するよりも、安価に、さらに券売機を導入するよりも安価に、オーダー/販売システムを導入することができるというのです。どうしてこの様な製品が生まれたのでしょうか?広報を担当されている竹田さんにお話をうかがいました!

竹田さん「Okageは、弊社代表の内田が知人の飲食店オーナーから、セルフオーダーシステムの導入を検討していると相談をうけた際、導入費用がとても高く、それであれば作ろう!と立ち上がったことがきっかけで出来た製品なんです。もっと飲食店経営に優しく、安価なもので便利に使えるものを作りたい、という想いで開発を進めてきました」

元々は、飲食店のため!と始まったOkageですが、「注文」という行為は、飲食店だけで実施されるものではありません。Okageはモバイルオーダーという特性を活かし、直近はスタジアムでの事前オーダーでも導入が進んでいます。スタジアムで何かを食べたいな、何かを買いたいなと思っても、長い行列に並ばなければいけなく、並んでる間にキックオフ!や試合再開!なんて経験をされたことがある方もいるのでは無いでしょうか?もしくは、長く並ぶのが嫌だからスタジアムでは何も買わないでおこうとされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。せっかくスタジアムに足を運んでくれたのであれば、スタジアムでしか食べられないものを食べるという楽しみもあるはずです。Okageを導入することで、長時間ならぶことなく試合時に受取所で受け取るだけで良いという、「オーダーテイメント(「オーダー」と「エンターテイメント」を組み合わせたOkageの造語)=オーダーをもっと楽しく!」という新しい体験を作り出しています。

また、この取り組みは飲食店側にとっても事前に販売する個数がわかるので、発注効率があがったり、廃棄量が減るなどのメリットもあります。

竹田さん「某案件で、メニューに対して、原材料の登録と在庫の登録を細かくすることができ、原材料が切れたら、売り切れという表記に切り替える、という機能も開発した実績があります。通常であれば売り切れになることを機会損失ととらえ、余分に材料を発注する事業者も多くいます。それゆえに毎日10〜20%程度の材料が廃棄されています。こういった機能を提供することで、フードロス削減の一助も担えたらと考えています」

Okage DX Platformは、店内外のモバイルオーダー、キッチンディスプレイ、セルフレジや厨房のオーダー受信端末、タブレットオーダーなどなど複数の製品を作り、店舗そして顧客の体験向上を進めています。今後はどの様な製品開発を進めていくのでしょうか?

竹田さん「”こだわりとおもてなしを輝かせる。”という弊社のミッションの元、今後は注文や支払いといったところだけではなく、顧客関係の管理機能を持たせ、新規ご利用のお客様、リピーターの方などそれぞれのステータスに対して異なるおもてなしがしやすい仕組みづくりを支援できるサービスの開発を進めています」

デジタルの力をつかうことで、確かに人手を補うことができるのかもしれません。ですが、人手不足を補うということだけではなく、人じゃなければできない「おもてなし」に集中できる仕組みを作るというのも、大きな飲食店DXなのかもしれません。

Okageのモバイルオーダーはこちらから触ってみることができるので、
ぜひ見てみてください!

<取材、文:新岡 唯>


<会長取材後記>

コロナ禍で多大な影響を受けた飲食業界。店を休業せねばならず、その間、アルバイトの方々に一旦辞めてもらってしまったため、再度復活した時にお店を開けてもスタッフがいないという現状があるようです。そんな中、テクノロジーを使って、人手不足を解消するサービスが、どんどん出てきております。魚べいやスシローなどの回転寿司なんか行くと、予約から席への案内、オーダーから会計まで、ほぼ無人化で進められてますよね。今回取材した、配膳ロボも今後当たり前のように使われていくのではないでしょうか。私自身、実店舗でどのように使われてるのか、興味津々でしたが、スタッフさんが使いこなしてるのを見ると、「これは普及するな」と思いました。モバイルオーダーも、注文する際に、店員さんを呼んで口頭で注文して、その後、店員さんも確認のため復唱します。これを、自身のスマホでQRコードを読み込み、メニューから注文する事が出来れば、ダイレクトに厨房に届き、少ない人数でも店舗運営が可能となりますよね。

また、アルバイトを、スキマ時間にちょっとだけ行うという市場も出てきておりますね。全国的には、タイミーさんはとても有名ですが、道内企業でも、ラジオ局のFMノースウェーブ社がこんな取り組みをしています。northwave プチバイト 「https://puchibai.co.jp/

我々道内IT企業も、テクノロジーの力で、省人化、省力化することで、コロナ禍で傷ついた飲食業界の復活を後押ししていければと思っております。

<文:入澤拓也>

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