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どさんこエンジニアが、北海道のITインフラを支えていく|株式会社ネットサービス・ソリューションズ 北海道支社 【会員インタビュー】

ひとくちに「IT企業」といっても、事業内容はじつにさまざま。それは、ITを活用した商品・サービスが多種多様であることを物語っています。例えば、ITインフラ。現代ではあたりまえとなった「パソコンで仕事をする」を可能にしている設備全般です。
ITインフラの設計・構築・運用を得意としているのが、「株式会社ネットサービス・ソリューションズ」。2023年5月、北海道支社を立ち上げ、活躍の場を広げています。ITインフラの仕事と北海道支社のいまとこれからについて、北海道支社長の小澤克彦さんにお聞きしました。


ビジネスの根幹を支えるITインフラを手がける

-主な事業についてお聞かせください。

株式会社ネットサービス・ソリューションズはITインフラに特化した会社で、お客さまにとって最適なITインフラの設計・構築・運用を手がけています。ITインフラとは、パソコンやサーバ、ストレージ、ネットワーク、クラウド、OS、ミドルウェアなどをいい、メールやウェブブラウザ、文書作成、表計算、画像編集などのアプリケーションを使うためには欠かせません。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の時代ですから、「IT化していかなければいけないのだけれども、従来のITインフラのままで、営業支援システムやワークフローシステムなどを導入しても問題ないだろうか」といったご相談も多いです。

いずれにしても、ITインフラはお客さまの事業活動の基盤となるもの。なので、特に運用は、お客さまの近くにいて実施するのが原則です。弊社も例外ではなく、エンジニアたちは、取引先企業の情報システム室や情報戦略室に常駐しています。

-具体的にはどのような仕事を?

お取引のある鉄道系企業グループや総合物流企業では、ITインフラ全般をお任せいただいています。例えば、ホームページ。かつては自社で保有する物理サーバを使っていましたが、最近はAWS(アマゾン ウェブ サービス)やMicrosoft Azure(アジュール)などのパブリッククラウドを利用することが多くなりました。そのクラウドの企画や設計を、弊社のエンジニアが担当しています。また、インターネットを利用する端末に割り当てられるグローバルIPアドレスの管理代行も私どもの仕事です。

弊社がいちばん強いのは、ITインフラのなかでもネットワーク。なので、総合ITサービス企業やネットワークインテグレータから、ネットワークに関する業務を受託することもあります。

逆に、アプリケーションには一切手をつけません。というのは、私を含めて4人の創業メンバー全員が、システムインテグレータの株式会社CSK(現SCSK株式会社)出身で、もともとITインフラの構築を得意としていたからです。いまは、グループ企業の株式会社エージェント・スミスと株式会社インプリメンテーションがアプリケーションの開発を担っているので、ますますアプリケーションはやらなくてよくなりました。

-グループ企業それぞれの強みを生かしあっているのですね。

そうなのです。創業以来、経営を担っていたメンバー2人が引退することになり、2018年、エージェント・スミス グループに入りました。そのおかげで契約に至った仕事があります。おおまかに言うと、メインフレーム(基幹システムに用いる大型コンピュータ)をクラウドに移行するプロジェクトです。全体のコンサルティングをエージェント・スミス、アプリケーションの開発をインプリメンテーション、ITインフラの設計・構築・運用を弊社が担当しています。

逆に、もともとの弊社のお客さまからホームページやUI・UXに関する相談を受けたときは、グループ企業の株式会社UNITZをご紹介することも。

▲ネットサービス・ソリューションズ北海道支社長 小澤克彦さん

創業以来、エンジニア第一主義を貫く

-ネットサービス・ソリューションズは、ひとことで説明すると、どんな会社ですか。

エンジニアファーストの会社です。社是に「人がすべて」を掲げ、創業から18年間ずっと社員第一主義を貫いてきました。エンジニアというのは、とにかく顧客第一主義です。お客さまのやりたいことを実現したり、困りごとを解決したりして、喜んでいただけることに価値を置いています。それは、会社が言って聞かせなくても、です。それならば、会社は、エンジニアたちがお客さまに集中できるように全力で支援するべきだと考えました。同時に、お客さまの望みであっても、お客さまのためにはならない場合、エンジニアたちを立ち止まらせるのも会社であるべきです。

エンジニアが働きやすい環境をつくるため、弊社には営業という職種がありません。部門長やプロジェクトリーダーが、マネジメントと営業を兼務しています。というのは、私がエンジニアだったころ、あるプロジェクトを営業からまる投げされて苦労した経験があるからです。本来、営業の仕事は受注したら終わりというものではありません。なので、営業とマネジメントを分離しない方針をとっているのです。

-エンジニアのための取り組みは、ほかに何かありますか。

エンジニアは基本的に客先に常駐しています。そこで、本社には「教育」の機能をもたせました。ITインフラに関する機材を用意して、専任講師からITの知識と技術のほか、ビジネススキルを学べる環境を整えています。いまは社内の技術研修が20講座以上、社外の技術研修とビジネス研修が300講座以上。エンジニアのキャリアアップを支えるだけではなく、未経験者のエンジニアへのキャリアチェンジを後押しする仕組みでもあります。担当業務は1サイクル3年と定めているため、例えば、未経験者はオペレータやサポートデスクの仕事から始めて、研修を受け、知識と技術が認められると3年後にはエンジニアになれるというわけです。多くはエンジニアになりたくて入社してくるので、自発的に研修を受けています。キャリアパスを明確に示しているため、この会社における自分の将来を描きやすいのか、社員の定着率はいいですね。

▲新入社員は約2カ月の技術研修を受けてから配属が決まる(写真:ネットサービス・ソリューションズ)

どさんこ社員と事業成長のために北海道支社を置く

-北海道支社を設立した経緯をお聞かせください。

じつは、弊社は北海道と縁の深い会社です。まず、北海道出身者が多く、全社員の21%を占めます。創業2年目から新卒採用を続けているのですが、初代社長のツテがあった日本工学院北海道専門学校(登別市)、北海道情報専門学校(札幌市)の卒業生を採用していました。彼らが30歳前後になり、ライフステージが変化するなかで、「北海道に帰りたい」「北海道の家族から、いずれは地元に戻ってきてほしいと言われる」といった声が聞かれるようになったのです。幸いなことに、「ネットサービス・ソリューションズは辞めたくない」というので、北海道に拠点をつくる必要性を感じるようになりました。

▲出身地ベスト3の1位は北海道(ホームページ「データでみるNSS」より)

次に、弊社はシステムインテグレーター「SCSK北海道株式会社」と10年来のお付き合いがあります。そのご縁で、北海道でのシステム運用のチャンスをいただいたのです。また、札幌市に本社を置くBPO会社のITインフラ設計・構築を、以前からお任せいただいていました。そこで、2023年5月、思いきって北海道支社を立ち上げたのです。

▲北海道支社のオフィス

その背景には、業績の向上があります。じつは、2018年にエージェント・スミス グループに加わる前、弊社はビジネスパートナーとの提携を禁止していました。それは、下請けの苦労を知っていた初代社長の強い意志によるもの。ところが、事業の成長を妨げる要因ともなっていました。人材が確保できず、仕事を受注できなかったり、ビジネスチャンスをみすみす逃したりしていたのです。そのため、いわゆる「年商5億円の壁」を突破できずに苦戦していました。しかし、事業を大きく育て、業績を伸ばし、会社の経営を安定させなければ、社員第一主義も貫けません。

そこで、パートナー企業との提携を解禁して、事業拡大に乗り出しました。いまは数千万円ぐらいの投資はできますから、北海道支社が実現したのです。また、商機を見出して勝負をかけられるようになり、社員たちがわくわくしているようです。おかげさまで、2023年度は年商13億円を超えました。これからは、さらに業績をしっかりつくっていかなければいけませんね。

-いま、北海道支社は何名ですか。

北海道支社ではなく、東京本社の事業部所属になりますが、北海道では2人のエンジニアが客先に常駐しています。ありがたいことにお客さまの信用を得られて、来年3月には7人に増える見込みです。いま北海道で稼働中の社員たちが北海道支社の事業を引っ張り、将来的には、北海道支社長に就任してさらに会社を成長させてくれると期待しています。

北海道のITインフラを安心して任せてもらえる存在に

-これからの展望をお聞かせください。北海道でやりたいことは?

DXの時代になり、業界業種を問わず、どの企業にも情報システム部門はほしいところです。でも、どの企業も専門の部署を置けるわけではありません。なので、スタートアップ企業や商店など、小規模事業者向けのITインフラサービスを提供したいと考えています。

ただ、北海道支社は動き出したばかりなので、試行錯誤しながら体制を整えているところです。私たちは北海道で何ができるのか、それは、これから見えてくるのではないでしょうか。いまは、とにかく仕事で成果を出して、信用を積み重ねなければいけません。そして、「北海道のITインフラは、ネットサービス・ソリューションズに任せておけば安心だ」と思っていただけるような存在になりたいですね。

北海道には、ITインフラのエンジニアが活躍できる場はそれほど多くはありません。例えば、十勝で始まった「帯広圏デジタル化推進構想」。このようなプロジェクトにまず求められるのは、研究者クラスの人材であり、新米エンジニアではありません。

だからこそ、弊社は、北海道支社を立ち上げたとき、「東京で培った技術を地元に還元する」というルールを設けました。北海道で採用されても、はじめの配属は東京で、最低5年間は勤務してもらいます。そこで成果を出せたら、Uターンの権利を得て、北海道に戻る準備を始めるという仕組みです。北海道に必要なのは、実力のあるエンジニアですから。

先日、北海道IT推進協会主催の「新規採用のための北海道IT企業 合同説明会」に参加したとき、この仕組みをしっかりと説明して、会社をアピールしていたら、おもしろがってくれた生徒たちがいました。おかげさまで、2名採用できましたよ。


株式会社ネットサービス・ソリューションズの取り組みで印象的なのは、「東京で培った技術を地元(北海道)に還元する」。そこには、「北海道出身の社員たちを預かってきたのだから、実力のあるエンジニアに育て、北海道に返したい」という強い思いがあります。だからこそ、「地元に還元できる実力が身につかないうちは、絶対に返しません」と小澤さん。自社のどさんこエンジニアたちが、ふるさとに戻り、北海道に拠点を置くどさんこ企業のITインフラをつくり守っていくという未来を思い描いています。

(取材日2024年5月8日/北海道IT推進協会 広報委員会、ライター 一條 亜紀枝)

[企業プロフィール]
株式会社ネットサービス・ソリューションズ 北海道支社

東京都千代田区に本社を置くITインフラ企業。2023年5月、北海道支社を設立。従業員145名のうち北海道出身者が20%超を占める。
・代表者/代表取締役 坂之上 仁
・設立年月/2006年8月
・事業内容/インフラ構築、システム運用管理、運用コンサルティング
・所在地/〒060-0004 札幌市中央区北4条西4丁目17 MMS札幌駅前ビル
リージャス札幌駅前通センター内
・URL/https://www.nets-sol.com
・北海道IT推進協会入会日/2023年5月17日

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