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避難所における3つのミスマッチ

2024年2月3日~8日に避難所支援に入らせていただきましたが、その中で感じた「3つのミスマッチ」について共有したいと思います。「ヒト・モノ・カネ」の3つになるのですが、この3つは政治や行政から切っても切れないものだなと改めて思わされました。

ミスマッチ①:ヒトのミスマッチ

自治体職員による被災地支援ですが、期間は1週間弱。これは他の自治体から来ている方にも聞いてみましたが、どこも同じような感じでした。派遣元の自治体では担当者が不在の間業務が回らなくなるので、そういった負担を過剰にしないためであったり、派遣される職員の心身への負担を考慮して短期間になっているのだと思います。

一方で地元の方が避難所の運営の中心を担っている状況なので、地元の方の避難所運営ノウハウはどんどんレベルアップしていくことになります。それに比べて応援で入る職員は1週間弱でコロコロと入れ替わっていくので、個人レベルでのスキル蓄積にはつながりません。結果的に応援で入った職員にできることといえば、物を運ぶとかゴミ出しをするといった単純作業にならざるをえず、果たして本当に支援になっていると言えるのか考えないといけないなと思いました。

例えば街なかを見てみると、震災後1か月以上経つのに道路上にせり出した倒壊家屋には何ら手が付けられていない箇所があちこちにある状態です。放置されている原因の一つとして、相続登記がなされないまま所有者が特定しきれないことも影響していると思います。

こういったことに対しては、例えば固定資産税の担当者が支援に入って所有者を早急に特定し、解体・撤去に迅速に移れるような支援に力を入れるといった支援の方法も考えられるでしょうね。

ミスマッチ②:モノのミスマッチ

災害発生から1か月経過すると物資は十分に届いています。食べ物に関していうと避難者の方も好きなものをチョイスできるような状態です。

一方で子供服などは届いたころには避難所から子育て世帯がいなくなった、というミスマッチも起きていました。また、簡易トイレを流すために使う水に混ぜる消臭剤がとんでもなく大量に余るといったミスマッチも起きていました。地震発生直後のパニックの中で過剰に発注してしまったことは今後検証されるべきでしょうし、物によっては業者に返金させて引き取ってもらうということも検討する必要がありそうです。

こういった物資の在庫状況については手作業というか目分量で過不足を把握し、本部に発注するというスタイルをとっているようで、ここもデジタル化によってより良い形になるんじゃないのかなと懸念されるところです。

また、避難所に来れば無料で食料が手に入るという状況なので、せっかく周りの商店が再開しても、物が無料で手に入る環境があれば、再開した店にとっては脅威以外の何物でもないでしょうね。これも由々しき問題です。

ミスマッチ③:カネのミスマッチ

避難所に当初掲載されていた案内で、市からのお見舞金としてひとり20万円支給するというものがありました。20万円だとせいぜい家電を買い換えて終了、ですね。

地震で発生する損失は甚大すぎるので、民間の保険会社で賄うことは困難なことから国が再保険という形で支えているということを御存じの方もいらっしゃると思います。これについては財務省HPにも記載されています。

これによると、国が準備している資金の額は約12兆円。東日本大震災のときに支払われた額はこのうち約1.2兆円でした。厚生労働省が発表している「公的年金財政状況報告」によると、令和3年度に支払われた年金総額は約53兆円。年金からもう少し被災者支援に回すことを考えてもいいのかなと思います。

また、一時炎上しましたが、国は高齢者や障碍者にかぎって300万円を支給するという案も出ていました。これもお金が本当に必要な人と、お金を受け取れる人とのミスマッチですよね。そろそろ高齢者支援に偏っている発想から脱却する時期ですね。

それに加えて、お金を支給する際には地方に事務経費が発生することになるので、ここもマイナンバーカードを活用してスムーズな入金を実現してほしいところです。

倒壊した家屋を見て考えたことですが、ある程度の年齢になれば、そこに住んでいた方は賃貸住宅に移ってもらってもいいのではないかと思います。そしてそこには若年世代に移り住んでもらうということを考えてもいいかもしれません。こういった機会を活用して地域の世代交代を進めることで、持続可能なまちとして再出発できるのかなと。

まとめ

以上、ヒト・モノ・カネという視点で能登半島地震における被災者支援の課題を書いてみました。特にモノとカネについては、デジタルツールを活用すれば、迅速な支援につながることは間違いないと思います。

今回いろいろと問題点を書きましたが、日本は震災のたびに少しずつ確実に対応能力が上がっていることは間違いないと思います。今回輪島市役所も見てみたのですが、周りの土地が沈下している中でも建物は影響を受けていませんでした。2007年の震災等を踏まえた耐震化の成果が出たのだと思います。


庁舎はしっかりと残っていました

今回の地震を受けて、私も多くのことを学びました。このような機会をいただけたことに感謝するとともに、必ずもう一度輪島を訪れ、その後の復興も自分の目で見届けたいと思います。

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