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公務員退職後も需要のある人でいたい

2024年6月19日と21日とにわたって放送されたVoicyの「ヤバいよ公務員」シリーズの第2弾。今回は横浜市で公務員として勤務され、退職後は公務員時代に培ったIT関連のスキルを活かして、様々な自治体のDXを支援する活動をされている石塚清香さんがお話をされていました。

特に後編は、公務員を退職してからも専門性を活かして次のステージに行くことのできる人・できない人との違いに触れていて、同じ公務員として学びの多い放送でした。


そもそも専門性を高めにくい、公務員のジョブローテーション

話の中にも登場しますが、公務員はコロコロ異動します。土木関係等の専門職であれば親和性の高い部署間の異動になることも多いのですが、とりわけ文系は異動というよりも転職に近い経験をすることも多々あります。

私自身も採用当初は事業評価部門の庶務担当として配属された後、いろいろあって翌年はインフラ系の部署に異動。同じ局内の仕事なのに、取り扱う金額の桁が4つくらい違うという、同じ1件の支出でもなかなか高低差のある世界を経験させていただきました。ちなみに最初の部署での経験が次の部署で活かされたかと問われると、自信を持って「ハイ」とは言えない感じです。

そこから数年後区役所の福祉部門に異動。当初私は企画とか庶務系の業務になるのかと思いきや、それまでに全く触れたことの無い世界に移されることとなりました。別に何らかの懲罰的な措置として異動させられたとかいうわけではなく、いろいろな経験を積ませるというくらいの目的だったと思います。積むだけで資本として蓄積されているかはなんとも言えません。

つい数か月前までゼロが8個くらい並ぶような世界にいたかと思えば、次はゼロが時には2個くらいしか並ばない世界での業務。土木系のインフラに関する知識は全く使うことなく、障がい者福祉や児童福祉といった各種福祉関係の知識をイチから仕入れていく必要が生まれました。

今となってはこの福祉部門での経験が最長となり、今でも福祉部門で働いているので、福祉に関する知識はかなり蓄積されたという実感もありますし、福祉の制度に関する問題点や、福祉部門そのものの抱える課題についても専門性を高められているという実感はあります。

専門性は業務外で積み上げる必要がある

いわゆる総務や財政の部門は役所に置いて出世頭と言われてきました。今でもそういう風に見られています。中にはリタイア後も副市長のような形で役所に関わり続ける方もいますがごく少数。多くは再任用として組織にぶらさがり続けるような形で雇用を継続することが多いです。つまり、業務を通して蓄積した専門性を活かして民間企業で働く、という人はほとんど見かけることは無く、いたとしてもどこかの財団法人や福祉法人くらいといった感じです。

なので今回の石塚さんのような事例は非常に稀有だなと思いますし、そういうことができているのがうらやましいです。御自身の努力の賜物だと思います。放送の中でも研修をフル活用した、というようなお話が登場していらっしゃいました。これもジブン株式会社の理念に通じる行動ですね。専門性に磨きをかけ、余人をもって代えがたい存在となることで市場価値を高めていく。こういった活動は業務外で積み上げるしかないのでしょうね。

リタイア後も需要のある公務員とは

こうやって見てみると、リタイア後も需要のある公務員としては次のような形があるように思われます。

  • 特別職(副市長等)

  • 再任用

  • 関連団体の事務職

これはこれで一定の需要はあるのですが、特別職を除いて希少性という点ではなかなか厳しいですね。

官僚で退職後に関連企業の役員的なポストに就く方もいて、それはそれですごいことなのですが、内情を知っている職員からすると「そこしか行くところがなかったのだろう」と冷ややかに見られていることが意外と多いと思われます。

供給制約を意識したキャリア戦略

これから職員がどんどん減っていく上、非正規職員の確保も相当厳しくなっていきます。臨時採用の募集を出しても誰も来ない、来たとしてもこれまで「この人はできれば採用したくないなあ」という人を雇わざるを得ない時代が目の前に来ています。

こういう役所の雇用調整弁として働くという道もありますが、現役のうちに供給制約でも業務が回る仕組みを構築し、それを退職後も売りにできるようなキャリア戦略が必要なのだろうと思います。現状でいえばDXがかなり有力な選択肢かなと感じています。

実際に役所ではいまだに手打ちでデータ入力をしていることも多く、人間がやることなので必ずミスが起こります。ミスが起こると懲罰的に報道発表をし、内部的に「Wチェックを徹底します」で終わり。根本的にシステムを改修するということは法律が変わらない限りは非現実的な選択肢です。

しかも2025年にシステムの標準化が予定されており、多くの自治体で現在利用しているシステムよりも劣化した内容になる可能性が高いと見込まれています。

ある程度手作業なのは避けられないとしても、それならば普段の業務においてメールでやりとりしているものをkintoneに置き換えるといったことができる職員には一定の需要があるのかなと感じています。他にもAIを上手に使えるとか、さらにはプログラムに精通していれば、行政の内部事情も分かりつつ、解決のためのツールが見えているという、希少な人材になれるチャンスかもしれないと感じています。

私の場合

私はまだkintoneを触って1か月ですが、課のメンバー20名ほどの中でkintoneを触ったことがあるのは私だけ。すでに希少性が出てきています。最近もkintoneに関することを聞かれました。こういう感じで少しずつ希少性を高めていくことが、キャリア戦略上重要なのだなと感じています。

他にも現在地域のまちづくり事業に関わっているのですが、こういった活動も、役所の考え方を理解しつつ、役所としてはできないけど、本音はこうしたいという思いをくみ取りながら仕事ができるというのもニーズがあるだろうなと思います。それを超巧みに実践しているのが○通さんかもしれません。

こういう仕事のしかたができるようになったのも「ジブン株式会社」を意識するようになったからこそ。今後も高い意識をもって業務外のインプットを続けていこうと思います。

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