見出し画像

特別サービスの境界線を引く

ホテルや旅館で働く皆さん、こんにちは。いつも勝手に親近感を持っています、田中です。

SLAM DUNK 20巻より
SLAM DUNK 20巻より

漫画 スラムダンクの湘北対綾南戦で綾南高校のセンターである魚住が”チャージング(ファウル)の境界線を引いた”というシーンがあります。

試合中にファウルが重なった魚住が後1つのファウルで退場になってしまうタイミングで「ここまでのあたりなら審判はファウルを取られない」というラインを知るというエピソード。サービスにおいても似たようなものがあると思ったので今回はその話を。

宿泊施設で働いていると、さまざまなゲストとのコミュニケーションがあり、要望もさまざまです。価格帯も高く、フルサービスを提供しているホテルであれば対応できるサービスにも幅と余裕があり、そのゲスト対応も含めて料金が設定されています。

反対に宿泊特化やビジネスホテルなどはサービスが制限されているからこそ、リーズナブルな料金で宿泊できます。ゲストの要望で通常時に提供しているサービスを超える瞬間があります。いわゆる”特別サービス”です。

「チェックアウトの時間を延長してくれた」
「誕生日のお祝いでワンドリンクをサービスしてくれた」

など、少しの特別サービスがゲストを喜ばすことがあります。各宿泊施設ではある程度決まった特別サービスを用意・想定していると思いますが、その決まったものを超える要望があった場合、話は難しくなります。

現場のスタッフは目の前のゲストを喜んでもらえるように工夫します。その行為自体はとても素晴らしいですし、それこそがサービススタッフの醍醐味、やりがいでしょう。ですが、同時に”特別サービスの境界線”を引いてしまっているのです。

サービススタッフの工夫がゲストを喜ばせ、結果、リピーターのゲストになっていただけたとします。そのゲストの胸中では前回のサービスが境界線となり、基準が変わってしまっています。「前回はしてくれたのに・・・」「この前対応してくれた人は・・・」と特別なサービスだと理解していても前回叶ったことができなかった場合は満足度が下がってしまいます。

じゃあ、どうするか。
これはサービスのチームで基準を明確にするしかないと思います。何をして良くて、何はダメなのか。ここが曖昧になると現場のスタッフは咄嗟の判断ができなくなります。上長に相談する時点である種の”ホスピタリティの魔法”が解けてしまいます。

臨機応変な対応はどの宿泊施設でも求められることでしょう。その瞬間・その1日だけの部分最適が求められる場面もありますが長期的な目線かつ全体最適なサービスを提供できるように私も頑張りたいと思います。




この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?