【1分脳科学】「中脳」視聴覚・運動制御などに関わる司令塔
※こちらは、個人的に調べたまとめノートです。
中脳とは
中脳とは、脳の一部で、狭義の脳幹(下位脳幹)のうち、もっとも上の部分です。中脳は、視覚や聴覚、眼球運動などの中枢を含むほか、運動制御や認知機能にも関与します。中脳は、中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳被蓋、大脳脚の3つの部分に大別されます。
中脳の構造
中脳蓋
中脳蓋には、上丘と下丘があります。上丘は視覚反射の中継所であり、目に光が入ったときに瞳孔を収縮させたり、見ている物が近づいたときにレンズを厚くしてピントを合わせたりする反射に関わります。下丘は聴覚の重要な中継所であり、耳から入った音の信号を視床の内側膝状体へ送ります。
中脳被蓋
中脳被蓋には、黒質や赤核など、主として運動制御に関与する神経核がある。黒質はドーパミン作動性ニューロンを含み、線条体に投射します。このニューロンの変性・脱落によりパーキンソン病が発症します。赤核は小脳核から上行性投射を受けたり、大脳皮質から下行性投射を受けたりします。赤核は運動野と脊髄の間の中継部位や小脳へのフィードバック系の中継部位として運動制御に関わります。
大脳脚
大脳脚には橋核に投射する皮質橋線維と脊髄に投射する皮質脊髄路が含まれる。皮質橋線維は大部分が前頭葉から来るもので、運動制御や認知機能に関係します。皮質脊髄路は主に運動野から来るもので、体幹や四肢の随意運動を支配します。
中心灰白質
中心灰白質は中脳水道の周囲灰白質で、眼球運動を支配する動眼神経核や滑車神経核が存在します。動眼神経核は眼球を内側や上下方向に動かす筋肉を支配し、滑車神経核は眼球を外側方向に動かす筋肉を支配します。また、中心灰白質の辺縁部には感覚性神経核として三叉神経中枢路核が分布し、顔面や口唇などの感覚を伝えます。
中脳の機能
中脳は、視覚や聴覚、眼球運動などの反射に関わるほか、運動制御や認知機能にも重要な役割を果たします。中脳には、大脳皮質や小脳と密接に連絡する神経線維や神経核が多く存在し、これらの高次機能の調節や統合に関与します。中脳はまた、脳幹網様体の最前方部を形成し、覚醒や意識の維持に必要な活動性神経系を構成します。
中脳の障害・病気
中脳の障害や病気は、その部位や程度によってさまざまな症状を引き起こします。以下に代表的なものを挙げます。
パーキンソン病:黒質のドーパミンニューロンの変性・脱落により、振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害などの運動障害が起こります。
ウェーバー症候群:中脳腹側症候群とも呼ばれます。大脳脚の障害で、対側半身不全麻痺と同側動眼神経麻痺が起こります。
パリノー症候群:中脳上丘が障害された場合に発症します。垂直注視麻痺や対光反射消失などが起こります。
ベネディクト症候群:中脳被蓋が障害された場合に発症します。対側半身不全麻痺と同側動眼神経麻痺のほか、振戦やアテトーゼなどの不随意運動が起こります。
まとめ
中脳は、視覚や聴覚、眼球運動などの反射に関わるほか、運動制御や認知機能にも重要な役割を果たす脳の一部です。中脳は、中脳水道より背側の中脳蓋と、腹側の中脳被蓋、大脳脚の3つの部分に大別されます。中脳はまた、覚醒や意識の維持に必要な活動性神経系を構成します。中脳の障害や病気は、その部位や程度によってさまざまな症状を引き起こします。