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【短編ファンタジー】モルフォチョウになったアメリアとエミリー

ファンタジーのショートストーリーを作ってみました。初めての作品でお恥ずかしい限りですが、お時間のある時にどうぞ。


1.蝶々の姉妹

1.1 アメリアとエミリー

アメリカの東海岸にあるコネチカット州の蝶々園に蝶々の姉妹がいました。
お姉ちゃんの名前はアメリア。妹の名前はエミリー。アメリアは頑張り屋さんで真面目でした。エミリーは勝ち気で遊び好きでした。蝶々園で生まれた二人は仲良く育ちました。やがて大きく成長して、羽にキレイな模様が出てくる頃、二人は自分たちの夢を追いかけるようなります。

1.2 アメリアの絆

アメリアは、蝶々園でいつもお世話をしてくれるジェシカという女の子が大好きでした。ジェシカはアメリアにコネチカットの花から「山茶花(サザンカ)」という名前をつけて、毎日えさをあげたり、なでてあげたり、とても可愛がっていました。

アメリア:「ジェシカさん、今日もありがとうございます。あなたのおかげで元気になれます」
ジェシカ:「サザンカちゃん、こちらこそありがとう。あなたの笑顔が見られるだけで嬉しいです」

アメリアはこころ優しいジェシカのそばにいることが幸せでした。
いつもジェシカのために何かしてあげたいと考えていました。

1.3 勝ち気で遊び好きなエミリー

エミリーは蝶々園の中で、いつも元気に遊び回っていました。
ある日、エミリーは蝶々園の仲間たちと、誰の羽が一番きれいか競い合う遊びを考えました。
「みんな、私と競争しようよ!一番遠くまで飛べる子が勝ちなんだから!」エミリーは仲間たちに呼びかけました。
仲間たちはエミリーに賛成し、競争が始まりました。エミリーは一生懸命に羽をバタつかせ、風を受けて飛びました。
競争相手たちとの距離を広げることに成功し、勝利を確信して振り返ると、誰もいなくなっていました。
「みんな、どこに行ったの?」
エミリーは一人寂しく帰りました。

2.別れと新たなる道

2.1 ジェシカとの別れ

ある日アメリアは、ジェシカがニューヨークの大学に入るために、引っ越すことになったと知らされます。
ジェシカ:「サザンカちゃん、明日からニューヨークの大学に行くことになったの。だから、今日が最後のお別れなんです」
アメリア:「えっ?ジェシカさん、どうしてですか?私も一緒に行きたいです」
ジェシカ:「ごめんね、サザンカちゃん。蝶々園の決まりで連れて行くことはできないの。今日でお別れなのよ」
アメリア:「そんな…ジェシカさん、私を置いて行かないで!」
ジェシカ:「サザンカちゃん、泣かないで。さよなら」
アメリア:「ジェシカさん…」
ジェシカはアメリアを抱きしめて、涙を流しました。
そして、翌朝早くに彼女は蝶々園を去っていきました。
アメリアはジェシカを見送ることもできず、悲しみに暮れました。

2.2 エミリーの夢

一方、妹のエミリーは、蝶々園の外の世界にあこがれていました。エミリーは自分の羽がきれいなことが自慢で、他の場所でもみんなに見てもらいたいと思っていました。エミリーは小さな蝶々園の中ではつまらなくなって、いつも新しい遊びを探していました。
エミリーはある日、蝶々園の柵の前に立ちすくんでいました。風が外の世界からそっと彼女の羽を撫でて、柵の外に広がる遥か彼方の景色が彼女の目を誘いました。見知らぬ世界の謎めいた魅力に心を奪われたのです。
「こんな小さくて狭苦しい蝶々園の中にいつまでもいてはダメだ・・・」
エミリーの心には、新しい冒険への渇望が生まれていました。

2.3 姉妹の対立

アメリアは親しい友人であったジェシカがいなくなり、寂しい気持ちに苛まれていました。ジェシカがしていた仕事を手伝うことでその気持ちを紛らわそうとしていました。
一方、エミリーは姉の気持ちが理解できず、自由気ままに振る舞っていました。
「お姉ちゃん、一緒に遊ぼうよ」
「エミリー、今は遊んでいられないの。ジェシカさんがいなくなったから、私は蝶々園のお手伝いをしなきゃいけないのよ。あなたも一緒に手伝いしてよ」
「え〜、そんなのつまらない。お姉ちゃん遊ぼうよ」
アメリアはエミリーに言い聞かせるように言いました。「エミリー、わがままを言わないで。私たちはここで暮らすために、みんなと協力しなきゃいけないのよ」
遊び足りないエミリーは姉の言葉に耳を貸さず、「でも、ここにずっといるのは嫌だよ。外の世界に行ってみたいよ」と反発しました。
「エミリー、外の世界はあなたが考えるよりも危険なのよ」
「お姉ちゃん、私は自分の羽をもっと多くの人に見てもらいたいだけなのよ」
「エミリー、そんなこと言ってもダメよ。あきらめて」
「ううん、あきらめない。私は自分の夢をかなえるんだ」
「エミリー!」
自分のことを理解してくれない姉とケンカしたエミリーは、姉と顔を合わせなくなりました。

3.迷子の冒険

3.1 エミリーの危険な冒険

外の世界が気になって仕方がなかったエミリーは、ある日、朝早くに蝶々園の柵を飛びこえて、外の世界へと飛び出してしまいました。丘を超え、川を超えて、自由に飛びまわって楽しみます。

「わあ、外の世界はこんなに広くてきれいな世界なんだ。私はどこでも行けるんだ」

「てんとう虫さん、見て見て!私の羽、キレイでしょ?!」
てんとう虫は一目見ただけで
「ああ、そうだね。綺麗だね」と言いました。

「イモ虫さん、見て見て!私の羽、キレイでしょ?!」
イモ虫は見向きもせず、返事もしませんでした。

エミリー:「なんだ、つまらないの・・・」

しばらくして、林の中を飛んでいると
大きなカラスかやってきました。
「キャー!助けて!私をつつこうとしてる!早く逃げなきゃ!」

カラスから必死で逃げ回っている内に、エミリーは深い森の中へと迷い込んでしまいました。
「ふう…やっと逃げ切った。でも、ここはどこだろう?」

3.2 エミリー、捕獲される

よく朝、アメリアは、蝶々園からエミリーがいなくなったことに気づき、大きく悲しみました。
「エミリー、エミリー、どこへ行ったの?」

その頃、エミリーは森を抜けたお花畑で休んでいました。
「キレイなお花畑♪」
すると白い影が素早く上から覆ってきました。
- シュッ!バサッ!

エミリーは危険を感じて飛び立ちましたが手遅れでした。
「キャー!」
なんと、エミリーは人間に捕まえられてしまいました。

「やっ!離して!かごに押し込まれた!助けて!」

エミリーはかごの中でバタバタともがきましたが、逃げ出すことはできませんでした。

夜になって蝶々園から逃げ出したことを後悔して、泣きじゃくりました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
やがてエミリーは泣きつかれて寝てしまいました。

3.3 エミリー、ジェシカに救われる

幸いにもエミリーを捕まえた人は、蝶々園からそう遠くない場所に住んでいました。珍しい蝶々が見つかったことはすぐに噂で広まり、ジェシカの耳にも入りました。ジェシカは捕まえた人に「エミリーを蝶々園に返してもらえませんか?」と頼み込みました。
こうして、エミリーは何とか無事に蝶々園に戻ることができました。

4.再会と絆

4.1 アメリアとエミリーの再会

蝶々園に戻ったエミリーは、アメリアと再会し、嬉しさと安堵の涙を流しました。
アメリア:「エミリー、無事でよかった!どこに行っていたの?心配していたわ!」
エミリー:「お姉ちゃん…ごめんね…私、ばかなことして…外の世界はお姉ちゃんの言う通り危険がいっぱいで怖かったよ(T_T)」

アメリアは妹を優しく抱きしめながら、「心配させないでよ、エミリー。
でも、あなたが夢を追い求めることは素晴らしいわ。だから、一緒に夢を叶えましょう」と言いました。

そして、お互いに大きくなったことを感じ、二人は仲直りして抱き合います。

「エミリー!」
「お姉ちゃん!」

4.2 輝き出す羽

ーーー不思議な現象が起こりました。
涙で濡れた二人の羽が、青紫色に光り始めたのです。
光は段々と強くなり、あたり一面を照らしました。

少しして、光が収まった後も、羽の色は青紫色のままでした。
もう元には戻らないのです。

こうして、モルフォチョウの羽が青紫色になったそうです。
その美しい羽は、まるで星のように輝き、コネチカット蝶々園に訪れる人々を魅了しました。

5.新たなる旅立ち

アメリアとエミリーは、夢と希望を胸に、蝶々園をより美しくするために共に頑張りました。
エミリーの勇気とアメリアの優しさが溢れる蝶々園は、多くの人々に愛されるようになり、より多くの人が訪れるようになりました。

そして、二人の愛と絆は永遠に続くのでした。

おしまい

参考)

モルフォチョウ(モルフォ蝶、学名:Morpho)は、北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種ほどが生息する大型のチョウの仲間。"Morpho" は、ギリシャ語で「形態」を意味し、アプロディーテーおよびウェヌスの形容語句でもある。


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