父のもとに駆け付けた、あの日の思い出の歌
7年前、電車で川崎方面に向かっていた。夫とふたり、Jリーグの観戦に行くためだった。
スマホに2件の着信があり、片方が母、片方が兄だったから、要件はすでに絞られていた。
わたし達は電車を降り、兄に電話をかけ、決定的な言葉を言わせて、そしてマンションに戻った。
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夫の運転する車で、わたしたちは実家までの200キロ超の道のりを急いだ。
カーステレオから音楽が流れる。
窓の外の景色が、まるで他人事のように流れていき、現実味がない。
わたしは(ちゃんとしなくては)と思った。
これから先、自分のまわりにいる人や出来事を、ちゃんと見聞きしておかなければと。記録していかなければと思った。理由は分からない。
この時に、流れてきた歌を聞いて、わたしは言った。
「道中、この曲だけの1曲リピートにしたい。ごめん」
その歌は、とくにバイオリンが印象的で、全体の雰囲気としては、めくるめくサーカスのステージの上にいる感じ。そう、「めくるめく」という言葉が実にぴったり来る。力強く、やや幻想的で、光景が目に浮かぶようで、息遣いが聞こえてくるようで……。
ともすると、落ちそうになる気持ちを、ある一定の水準に留めおいてくれるような、そんな心持がした。
「うまくやれるようにと」という歌詞があって、何度も何度も繰り返し、それを聞いて、胸の中にどんどん蓄積していった。うまくやれるように、わたしもそう願っていた。
わたしは夢を見ているような気持ちで、しかし現実の中にいるのだというギャップ。
受け入れなくてはいけない状況が、どんどん近づいてくる。歌が終わり、また最初から流れ始める。夜だった。
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7年前の9月に父が亡くなって、「死ぬ」ということが、これまでで最も現実味を帯びて感じられた。
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その時にエンドレスリピートしていた曲はこちらです。よかったら聞いてみてください。
この歌と、この歌を作った高橋研さんに感謝している。でも、夫には、ご本人にはあんまり伝えない方が良いと思うよ、と言われている。
だから、こうしてnoteに書いてみた。
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