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大学ラグビーをより『深く』知ろう(第3回)〜帝京対早稲田〜

大学ラグビーも後半戦。対抗戦グループは、明治、早稲田、帝京が3連勝。11月1日には、昨年の覇者早稲田が、強豪復活の兆しを見せる帝京と早くも激突しました。

クボタスピアーズに所属する岸岡智樹選手主宰のラグビーサークル 「岸岡智樹のラグビーラボ(通称 #トモラボ )」では、観戦歴様々なメンバーで『大学ラグビー座談会』を行なっています。今回はその3回目。

今回は、11月1日に行われた帝京大学v早稲田大学の一戦をテーマに語り合いました。

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結果は早稲田大学が勝利しました。点差は開きましたが、会場ではドキドキの観戦でした。

トークメンバー

《いのこ》
#大学ラグビー応援企画 トークの発起人兼参加者。
学生時代に大学ラグビーに親しむ。子育てが一息ついたのを機に観戦再開。
《みきしの》
本記事のライター、編集者兼参加者。
20年位前に社会人ラグビー(現:トップリーグ)からラグビーにはまり、W杯2019は19試合を生観戦。大学ラグビー観戦デビューは2018年で、まだまだ #にわか 。好きなチームは決めかねているが、あえて言えば早稲田大学。
《てん》
大学ラグビーは、3年程前に「飲み目的で」ご主人と一緒に行ったことで観戦デビュー。ご主人の母校である早稲田大学ファン。ルールは覚えられないからこそ、清々しくミーハー観戦に徹する。
《まりえ》
W杯2019でラグビーにハマる。YouTubeで早稲田大学(現・クボタスピアーズ)岸岡くんの試合や好きなラグビー選手の大学時代の試合をいくつか見て存分に感情移入する。ルールはほとんど分からず、最近の楽しみはボールではなくお気に入りの選手を目で追いかけること。大学ラグビーのリアルタイム観戦は初めて。
《トヨノボリ》
50代男性3児の父。
中学時代よりラグビーを観戦、現在は早稲田大学のファンだが、最初は同志社大学ファンであったことは内緒。
プレー経験は大学の授業のみ、文句だけは一人前な典型的親父ラグビーファン。
自慢は息子が小学校時代に参加していたルーパスJrの交流フェスタで、大野均選手にラインアウトリフトしてもらったこと。
今年はコロナで聖地巡礼ができなかった熱狂的カープファンでもあり、小学校時代のあこがれはマルチプレイヤー木下富雄(現焼き鳥店店主)。
《しんさん》
50歳男性独身(×1)。大学在学時に観戦したワセダのラグビーにハマってラグビー観戦を続けること約30年。ワセダのみならずラグビーの「ラ」のつくこと全てと旅行とグルメをこよなく愛する。国際問題、政治を除く社会問題全般、サブカルチャーに薄く広く興味あり。有名人・他人のスキャンダル、ゴシップネタには全く興味なしの会社員。

質問その1:秩父宮ラグビー場の様子を教えてください。

《トヨノボリ》
試合開始の1時間ほど前に行ったのですが、自由席は半分ほど埋まっていました。秩父宮の芝、これまでに見たことがないほどきれいでしたね。 人が戻り、食品販売が始まってようやく動き始めたかなと感じました。

《しんさん》
なんとかチケット手配して行きました。 8000人上限とは言え、「ようやくこういう雰囲気が戻ってきたんだんだなぁ」とジーンと来ました。暖かくて小春日和とはこのことかなと。 素晴らしい試合に行って良かったなと思いました。

《みきしの》
開幕戦以来2回目の秩父宮ラグビー場です。 新型コロナウイルス感染拡大防止対応の間引きは、4席に一人、から3席に一人に変更されており、収容人数が増えている模様です。 11月に入り寒くなってきました。午後のバックスタンドは日が照って穏やかな陽気でしたが、日陰になりやすいメインスタンドは、そろそろ防寒対策が必要かも。

《てん》
 間引き集客も少し調整してきてるみたいで中々の雰囲気でした。冬場は荷物が多くなるのでギチギチよりこっちが有り難いな〜等と不謹慎な事を考えてしまいました。

質問その2:試合開始前は、どんな戦局を予想していましたか。

《トヨノボリ》
すべてはFWの頑張り如何かと思っていましたがやはり帝京有利と考えていました。 目の前で帝京がアップをしていましたがやたらでかかったです。

《しんさん》
帝京がトゥンガタマ、奥井、江良の推進力で圧倒してくるだろうな…と思ってました。ここをなんとか低いタックルで止め続けないと早稲田はなにもできなくなってワンサイドゲームになってゲームが壊れるだろうと、ワセダファンとして内心戦々恐々でしたね。 バックスにも尾崎、木村、奥村というため息がでる役者が揃ってますし、隙はないな・・・と。
ただバックス勝負になれば早稲田にも両ウィングの古賀、槇はけして引けを取らないし、ハーフ団も動きがいい。長田を中心にいぶし銀の平井、南が雑草魂で食らいつけば接戦に持ち込めるだろうと思ってました。 個人的に早稲田が10点差以内の負けであれば選手権で再戦して射程圏内で及第点と思ってました。
従って実際の結果は全く想像してませんでした。

《マリエ》
今までの帝京(帝京どころか大学ラグビーそのもの)を知らない私ですら、「帝京の調子がとても良い!!」と色々なところで見聞きしていました。岸岡くんの母校という理由で早稲田に肩入れしていますが、帝京がものすごく強い時代があったとラグビー友達(現役時代はSHだったらしいです)に聞いていたので、帝京が勝つのでは?と思っていました。

《みきしの》
既に今シーズンの帝京大学の試合を見ていた方、また、シンさん・トヨノボリさんの予想記事からも、帝京の調子のよさが伝わってきました。 そのため、開始前は 「帝京が勝利」「早稲田がどこまで善戦できるのか?」と思っていました。

《てん》
帝京が勝つだろうなと思っていたので、とりあえずロースコアで抑えてくれと思ってました。

《いのこ》
帝京の3番(PR 渡邉選手)を見た瞬間、『早稲田、どうやって勝つんだ?』と真っ青になりました。それほど、帝京FW陣の体格は桁違いでした。走る展開にしないと早稲田は勝ち目がないと思いました。

質問その3:両校の立ち上がりの第一印象はいかがでしたか。または印象的だった点を教えてください。

《トヨノボリ》
最初から早稲田のディフェンスが前に出られていました。小西君ー吉村君の連携が青学戦と比べて見違えるほどになっていましたし、孤立してジャッカルされることが少なかったと思います。2本ラインアウトミスがありましたが無難な立ち上がりでした。

《しんさん》
立ち上がりは早稲田がいいテンポで敵陣に入ってスクラムから丸尾→平井の技ありトライ。大崎、坪郷中心にフォワードバックスが低いタックルに入れていたのでなかなか面白い試合になるな・・・と思いました。

《マリエ》
早稲田がトントン攻めて行った時に帝京が素早く危機回避?したところが印象に残ってます!試合開始何分くらいだったかは覚えておりません。。。 とにかく対応が早かったなと感じました! 素人目なので「そんなことないよ、普通だよ」という方、お許しください〜。

《みきしの》
前半から早稲田が攻め込んでいて、帝京が押されている印象でした。前半8分、13分のトライで盛り上がりました。一方でそこまでの帝京のディフェンスを見て、「あれ、帝京・・・?」と前評判との違いに違和感を感じました。

《てん》
印象的だった点→早稲田のノットストレートが続いてしまった時、丸尾くんは宮武くんの尻を叩き下川くんは宮武くんの肩を抱き、おぉこれぞ今期の早稲田!としみじみしました。

《いのこ》
早稲田が意外と自由に動けて、帝京は後手に回っている感じがしました。

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質問その4:前半終了時は 19-19 の引き分けでした。この時点では今後の試合展開をどう見ていましたか。

《トヨノボリ》
途中からスクラムが完全に劣勢になりましたが、ディフェンスは前に出られていました。 3本とられたあとにFWでトライを取って同点に追いついたのは大きかったです。 相手の高さのあるラインアウトとスクリュー気味のハイボールキャッチで少し苦しんでいたので後半改善されれば行けるのではないかと期待を持ち始めました。

《しんさん》
高本の技ありのオフロードからの押川の最初のトライはある意味仕方ないとして、早稲田マイボールスクラムをターンオーバーしてそのまま江良が取ったトライ、ラックサイドのトゥンガタマのトライは「予想通り」帝京強いと思ってました。しかし前半最後にラインアウトから先頭に入れて最後は坪郷のモールトライにちょっとびっくりしたのが正直なところです。 早稲田はタックル低く入れていたのでこれがどこまで続くかと思ってました。

《マリエ》
帝京がこのままペースを掴んで、ぐんと引き離すのでは!? と思いました!

《みきしの》
立ち上がりは早稲田ペースだったものの、その後に立て続けに点を取られ、前半終了時には同点。「やっぱり帝京は強いのかな。」と思い直していました。

《てん》
今年の帝京は頭一つ抜けているとの前評判もあり帝京有利の予想で見ていたので、後半は力の差で帝京が引き離すと予想しました。 フラットに見た場合、前半一度は逆転されたものの追いついたということが、早稲田にとって後半の活力になったかなと考えました。

《いのこ》
後半は帝京のパワー勝ちかな、と思いつつ、早稲田の攻撃の引き出しの多さに期待していました。

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質問その5:終わってみれば、29-45 で早稲田が大きくリードして勝利しました。後半に大きく差が付いた理由、または勝負の分かれ目はどこだったでしょうか。

《トヨノボリ》
粘り強いディフェンスと立て直したFW、後半最初に取れたのは大きかったです。FLでサイズのある村田君と泥臭い坪郷君の組み合わせはよかったです。 前半に引き続き小西-吉村のHBはスムーズ、BK陣は途中強引なパスでターンオーバーされることはありましたが横に流れることはなく、チャンスで取り切れていました。
帝京尾崎君のトライの時に中央に回らせなかった小西君のタックル、この時に勝ちを確信しました。 帝京はBKが機能していませんでした。これまでの試合でFW依存だった反動が出ていたのかもしれません。もちろん早稲田FWのディフェンスにほぼ破綻がなかったことが大きかったです。

《しんさん》
反則数に現れてますが、早稲田の「雑草組」の象徴のような坪郷、大崎、平井、小西の低いタックルで帝京フォワードのレッグドライブの推進を許さず、下川、丸尾、村田がボールに働きかけてノットリリースやモールアンプレーアブルを誘ってましたね。帝京十八番のモール攻撃をほぼ封じましたね。
逆に早稲田がラインアウトモールから2本取ったのが大きかったのではないでしょうか。帝京が落胆してしまったような。 早稲田の一般入試組、特に4年生は「ここが死に場所」位の覚悟で望んでいたと思うので、MONに輝いた坪郷のはにかんだ笑顔がなんとも良かったです。

《てん》
早稲田→前半の良かった点(FWが接点で負けなかった点)を継続できた。 特に後半中盤で帝京尾﨑くんににトライを許した時も最後まで喰らい付いた小西くん、胸熱でした! 

帝京→前半の悪かった点(接点での反則の多さ)を改善できなかった。

《いのこ》
早稲田は落ち着いているように見えました。帝京の攻撃パターンをある程度読んでいたのでは?帝京はB K陣が思う様に走らせてもらえなかったように見えました。攻撃も単調に見えました。それでもこの大差は意外でした。

質問その6:対抗戦も残り1ヶ月で、各校とも3試合を残しています。今後の早稲田・帝京をどう予想しますか。

《トヨノボリ》
(早稲田の次週の試合)筑波戦は中5日なのでどの程度疲れが残っているか、僅差でも勝ちは拾っておきたいですね。 SO河瀬君という飛び道具が楽しみでもあり不安でもあり。 

帝京は鼻を折られた感じなので、逆に開き直れるかこのままずるずる行くか。ペネトレイターが江良君、奥井君と1年生なのでここで上級生が奮起したいところです。 

明治は箸本君や片倉君がおとなしいので昨年までのように野性味を発揮してきたらやはり怖い。山沢君抜きのHBは迷走中で復帰待ちか。児玉君は切り札として途中出場の方がよいのか? 

慶應は明治戦勝利でかなり自信をつけたと思います。けして100点の出来ではなかったですが勝ち切ったところが大きい。ディフェンスにはスランプはないはず。 

まだ正直先が見えませんが、早稲田が進んでいる方向は間違っていないと思います。

《しんさん》
ダイナミックな試合で早稲田ファンとしては思わず試合に没入して感動しました。
ただ、一歩引いた視点で俯瞰的に見ると、トライの取り合いのやや大味な試合と思いました。 明治と慶応の試合が両者締まった試合だっただけに、ちょっと思いました。 まだまだ両校とも課題も多くこれからに期待したいです。

 早稲田は試合ごとに良くなってきています。ポジション争いがおそらく相当熾烈なはずで今日の勝利に浮かれる心配は無いでしょう。今までの対戦結果を見てて筑波、慶応に勝てる保証は全くないので愚直に課題を修正してほしい。 タックルは良かったけど、少ないフェイズであっさり取られる場面もあったので、まだまだです。 ただ、相手の強みを消してしたたかに得点を重ねていく往年の強い早稲田の波に乗りつつあるように思えます。キャプテン丸尾を中心に、吉村・小西の判断もいい。好手に唸るプレーを連発する長田を中心に両ウィングも攻守にいい。こういった推薦の「華」を「土」である一般入試組の野武士たちが支える。とってもいい佇まいを感じます。 

帝京も落ち込む必要は全くないと思います。フィジカル、フィットネスを全面に押し出して勝てる時代の終わりははっきりと目の当たりにしました。 だからそこで落ち込む必要はないし、そんなプライドは早めに不燃ゴミとして棄てた方が良い。帝京の潜在能力は並ではありません。 それより負けが許される対抗戦で、試合中同じ形でラインアウトモールトライを二本もとられてしまったスカウティング・試合中のスカウティングと修正力の低さ、ディフェンスの整備、モール・ラックでジャッカルされることによる反則など、様々な点で課題が浮き彫りになったのはむしろラッキーです。 フォワードだけで勝負するのではなくバックスにも役者がいるので相乗効果を狙ってほしい。今日みたいにフォワード勝負に寄りすぎると、早稲田にみたいにしたたかなチームは的を絞ってきますから。

 今日の試合で今後が読めなくなった。今後も予想外が連発するでしょう。 一応伸びしろを考慮して帝京が優勝候補筆頭の予想は変えません。ただ、今日の帝京であれば、慶応にはもっとシビアな形で負けてたように思います。 早稲田は案外次の筑波、慶応が山で、これに連勝できればおそらく明治戦も勝てる気がします。 今日色々試していた感のある明治は選手権では仕上げてくる筈です。おそらく去年の反省から対抗戦は結果も大事だけど内容重視で慶応戦も、いい反省材料が出たことに内心良しとしてる筈です。 慶応は素晴らしい。栗原監督の2年目で華が咲きつつあるように思えます。山田君の他に後一枚ペネトレーター・フィニッシャーがバックスにいれば・・・。 その点で黄金バックスを揃える筑波もまだまだこれから、強い相手に身体を当ててきた成果を早稲田にぶつけてくるはずです。怖くもあり楽しみですね。谷山、松永、植村に期待です。

《みきしの》
全勝の早稲田、一敗で追いかける帝京。さらには、2試合目では、こちらも前評判を覆して慶應義塾大学が明治大学に勝利したため、両校とも帝京と同じ一敗となりました。
直接対決はまだまだ不透明。どこが優勝しても納得しそうです。

《てん》
早稲田→特にセンターのレギュラー争い(中西君・平井君・伊藤君)が熾烈。レギュラー争いの中で個人の能力向上と連携強化による更なる進化を期待してます。早明戦くらいからは、スタメンが固定できればいいですね。

 帝京→今年のレフェリーの判断基準をしっかり学習して敵陣でのプレーが多くなれば、やはり実力的には抜きんでていると思うのでその辺の課題改善が出来るかどうかですね。

《いのこ》
やはり決着は早明戦かな、と思います。明治は、土曜の試合が不戦勝になりました。こういう事があるとメンタルの面も含めて不透明な要素が増える気がして。学生さんたちが心配です。

対談を終えて

20数年見ていても、まだまだ見方が素人な私は、たくさん走ってたくさん点が入る試合だったことが、とても楽しかった(2試合目の 明治v慶應 は点の入らない接戦で熱はあるが、楽しさは少なめだった)。
しかし、しんさんの「大味な試合」とコメントを聞いてから、思い出すと、双方とも反則が多い試合だったことが気になってきた。

質問6(今後の予想)でも書きましたが、大学ラグビーはまだまだ混戦が続きます。伝統の早慶戦や早明戦はどうなるのか?帝京は立て直してくるの? 予想⇒観戦⇒レビュー が楽しみです。

#大学ラグビー応援企画  として、お話を聞くのも3回目。これまで見ていても考えていなかった視点を先輩から頂きつつ、「楽しい~💛」と同じ印象で見ている友達と盛り上がる。まだまだラグビー観戦には自分が知らない楽しみ方がある、と実感しました。

(本記事は、クボタスピアーズ岸岡選手の大学ラグビー応援企画に参画する記事として、作成・編集しました。)

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