【観戦記】【神戸S】悔しい惜敗、でも光も見えた~第5節 神戸S vs. S東京ベイ
NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23 DIVISION1
カンファレンス戦前半戦最終戦である第5節、コベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)はビジターでクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)と対決し、21-25で敗れました。
試合の見どころ
ここまで4試合を終わり全体で7位の神戸S。
「2勝2敗、得失点差3」とみると中央値だが、得点力3位・失点力3位→得失点差6位と「点は取るけど、点を取られる」つまり、攻撃力が高いが防御力が低い特徴があります。対するS東京ベイは得点力1位・失点力11位→得失点差1位と「点を取って、点を取られない」攻撃力も防御力も高い。特にゴール前の連続攻撃は全チームの脅威です。神戸Sのディフェンスは猛攻撃を防ぎきれるかがポイントになります。
神戸Sは前節からメンバーを大きく入れ替えました。
前節がインフルエンザで出場できなかったメンバーがいる以外にも、戦略的な変更が見える。ここまで先発No.8だったモエアキオラ選手がWTBに入る、CTBは前節まで爆発的なパワーで戦ったラウマペ選手・リトル選手を外し、バックマン選手・ラファエレ選手を入れるなど大きくメンバー変更しています。
個人的注目選手は、リザーブ23番に入ったワッカ選手だ。元・7人制ラグビーニュージーランド代表であり、昨シーズンまではメジャーリーグラグビー(MLR、USAのプロラグビーリーグ)で活躍していました。登録ポジションはSOだが、CTB・WTBもこなす。スピードアタックが持ち味の神戸Sをさらに加速させてくれると期待しています。
対するS東京ベイもメンバーをこれまでの試合と若干変更しているが、安定のキャプテンCTB立川選手を中心に日本を含む各国代表をそろえる強い布陣です。
個人的注目は、FB島田選手。今季初キャップから4試合目にして初先発となった。ハイパントキャッチから攻撃の起点となるプレーが持ち味の島田選手は、キックで相手陣深くに攻め込む戦術を武器とする神戸Sにとっては脅威になる選手です。
会場の様子
この日は「BLK スペシャルマッチ」
ホストゲームパートナーは、S東京ベイのジャージ等のサプライヤーである BLK JAPAN さんです。S東京ベイのマスコット「すっぴー君」も、BLKスペシャルジャージーで登場しました。
両チームのグッズ販売や、フォトコーナー、地元ショップのフードなどで会場を大いに盛り上げてくれました。S東京ベイさんありがとうございます!!
そして先週の観戦ツアーで即完売で入手できなかった李承信選手フェイスタオルがありました!!やった~~~!!
試合展開
試合状況はS東京京ベイのレポートがとてもいいので参照いただくとして、ここでは私目線で記録する(後からJSportsで見返した情報や発見を多く含みます)。
S東京ベイはいつものキラキラオレンジではなく、シックなブラックで登場。オレンジのラインがかっこよさを際立たせます!
S東京ベイのキックオフで試合が開始する。キックオフレシーブの神戸Sがミスを犯し、神戸S陣内でS東京ベイにボールを奪われる苦しい展開からスタートする。前半20分までは、S東京ベイが攻めて神戸Sが守る、というか守らされている展開。観客としては息は詰まるがじれったい時間が続きます…。
この日最初の得点は、神戸SのミスでS東京ベイに渡したPGをSOフォーリー選手が決めたことによるものです。
その直後に神戸が攻撃を仕掛けます。S東京ベイのキックしたボールを持った神戸Sがカウンターアタック。密集からSH中嶋選手から出たボールを早く短いパスでつなぎ、最後はこの日が初キャップのFLサウマキ選手がトライを決めました。初キャップでファーストトライ、おめでとう!!
その後のキックオフから攻撃を仕掛けるS東京ベイは、ボールをつなぎながらゲインし22mに入ってくる。神戸Sは一旦ボールを奪うが再度マイボールにすると連続攻撃を続けたS東京ベイは、ゴール直前中央の密集からボールを出しFLラピース選手がトライをとりました。
前半29分には神戸Sの攻撃で、WTBモエアキオラ選手がトライか?というシーンがあったが、TMOでその前の反則を指摘されノートライとなる。
お互いにトライを取り合う形で前半は7-10でS東京ベイがリードして折り返します。
後半は神戸SのキックオフボールをキャッチしたWTB根塚選手がランでディフェンスラインを突破し、相手陣内まで入ると、すぐにサポートが横に展開し右サイドまで持っていくと、CTBクロッティ選手がランでゲイン、最後はWTBゲラート選手がトライを決めました。開始1分でのノーホイッスルトライだった。えーーーーー!! しかでてこない。S東京ベイの攻撃力の高さを見せつけられプレーでした。
しかし、神戸Sも負けていない。後半53分にスクラムを起点に相手陣内でパスをつないで左右に展開してS東京ベイのディフェンスを徐々に崩す。崩れたところでSO李選手が右ラインサイドで待ち構えていたWTBモエアキオラ選手にキックパスを出す。パスをキャッチしたモエアキオラ選手はフォーリー選手にたっくいるされながらも、そのままゴールラインまで手を伸ばしトライを決めた。 キックパスからのトライ、歓喜しました!!
その後、両チームがトライを重ね 25-21 となりました。
後半70分には、WTBモエアキオラ選手の負傷交代はリザーブを出し切っていてSH日和佐選手が入る。日和佐選手がSH、SHだった中嶋選手がWTBに回る変則的なメンバーになる事件もあった。同様にS東京ベイもLOボタ選手の負傷のためPR杉本選手が入りスクラムを2列目で組みました。
両チームが死力を尽くしたゲームは、25-21でS東京ベイが勝利した。
後記(第5節を終えて)
神戸Sは2勝3敗。勝ち点で7位(カンファレンスB内では4位)と順位変わらず。他チームも横浜Eと相模原DBの入れ替わり以外は順位変更はなかった。ほとんどが「上位チームは勝ち下位チームが負ける」順当な第5節だった。
上位チームが順調に得点・トライ数を上げる中で、トライを取り切れない神戸Sは攻撃力の優位性を失いつつある。一方で得失点差が、前週の3からー4ポイント下がってー1になっている。これまでの失点の多さから考えると、この試合は「得点は多くないが、失点も多くない」とこれまでの神戸Sの試合とは違う試合を見せた。神戸Sスタッフ・選手がこの試合で準備してきたことを出せたのではないでしょうか。
僅差での敗北は悔しいけれど、次節に向けて光も見た試合でした。
次はホームゲーム vs.トヨタV
次週は1月28日にホーム・ユニバー総合運動競技場にトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)を迎える。関西社会人リーグのころから何十回と戦い切磋琢磨を続けてきた因縁のライバルである。
現在の順位的には神戸Sが上だが、トヨタVは、もともと9位に甘んじる実力のチームではない。第4節では首位の埼玉パナソニックワイルドナイツと激しいフィジカルバトルを見せた。もちろんフィジカルでは神戸Sも負けていないが、トヨタVを攻略する戦術を楽しみにしたい。
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