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コロナ予防鍼灸プロトコールの現代医療解説

先日アップしましたJohn K. Chen先生& Lori Hsu先生の現在武漢「COVID19の予防と治療の本部」から発信された実際の患者さんの東洋医療的なやり方のまとめの中の「感染予防期」の鍼灸のやり方について考察しながら、これはすごい!と古来東洋医療の叡智の素晴らしさを現代医療の観点からも感じることが出来ましたので、シェアーします。

新型コロナの予防期として武漢で行われている鍼灸治療のやり方は

鍼を両側のZusanli (ST 36), Qihai (CV 6), Zhongwan (CV 12)に入れ、
モグサを使い両側のZusanli (ST 36)を15分、Qihai (CV 6), Zhongwan (CV 12)を10分温めるのを、午後と夜に行う(つまり1日2回)というものです。

これは実は「胃腸のエネルギーの流れを整える」事を意味しています。ここが凄い事なのです!現代医療で胃腸が免疫に大きく関わっていることが広く浸透し始めたのはほんの最近の事です。私が医学部時代や研修医時代(20年くらい前ですが)には「免疫を強めたいなら胃腸を治療しなさい」という事を指導してくださえる先生方には一度もお会いしたことがなかったのです。私達がクリニックで実践しているFunctional Medicine という人間の機能を最適化して健康をリストア(復元)する統合医療では、自己免疫疾患やアレルギーなどの根本治療計画を立てる時、免疫の70−80%が胃腸に宿っていることから、胃腸を最適化する事を優先し、そこからアプローチしていく場合がよくあります。GALT と呼ばれている腸管関連リンパ組織は、侵入者から身体を保護する消化管の免疫系組織であり、免疫を整える為に胃腸はとっても大切なのです。

それをなぜ何千年も前の伝統的な中国医療、鍼灸治療の方々はご存知だったのでしょう?私はそれはエネルギーの流れを現代人よりももっと感じられる能力がその当時の方々にはあったからだと想像しています。そもそも鍼灸のポイントはエネルギーを入れやすいポイントで、周りの組織よりも少し窪んでおり指で触れながらそのくぼみを見つけて鍼を入れて行きます。ポイントの部分の皮膚断面図は下にあるように内側から表層に向かって毛細血管や神経などが伸びており、ここに鍼を入れてエネルギーを通しやすい構造になっています。(これはHelms Acupuncture Energetic から引用)

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鍼灸の有効性を研究するとき、実際のポイントにニードルを入れる本物とポイントではないところに入れる偽物とで比較したら本物の方が優位に有効であるのはちゃんと効くメカニズムがあるからなんです。鍼には持ち手の部分のコイルとさす部分とで電位差が生じ、モグサで温める事で体の中を走っている経絡の中でエネルギーを動かすことが出来るのです。

経絡ーこれを見つけた方は、人間のエネルギー回路を感じられる才能があった方だと思います。経絡は私たちの電気回路です。

免疫強化、ウィルス予防のニードリングコードのポイントをそれぞれ見てみると

ST36:これは胃の大きなツボです。膝下のちょっと外側と指でなぞりながら足へ向かって下ろしていくと感じる大きなくぼみです。まずそこに鍼を入れ、次に
CV6 ,12 に鍼を入れます。このCVというのは(conception vessel)の略で体の前面の中心部です。私たちの体の中心線は私たちがまだお母さんの卵子とお父さんの精子が出会って着床し、そのあと最初の細胞分裂で一つの細胞が二つになる、その時に二つの細胞の間の線だと言われています。ここには大切なエネルギーが流とるんです。(書きながら力説!広島弁になりました!)CV6は下腹部にあり、エネルギー(気)の根本的な部分を強くしれたり生殖機能に関連します。CV12はチャクラでいうSolar Plexus Chakraに当たる部分で胃のムーポイントという大切なポイントで小腸と胃に働きかけます。鍼灸で胃のエネルギーは足指の2番目の爪の横っちょから上へ向かって上がってきます。まず脚にあるST36を温めるとそこからエネルギーが上がりやすくなり、さらにCV6(下腹部)CV12と行くことで、エネルギーを太陽神経叢にまで持っていき免疫を司る小腸の腸管関連リンパ組織に送り、そこにある細胞達が働ける電池を供給しているのです。

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現代医療の最先端のファンクショナルメディスン(機能性医療)の観点から見ても、なんとまあ理にかなった治療法ではないでしょうか?

上の写真、ST(ST: stomachの略です)36のポイントをモグサで温めている写真には鍼は写っていませんので、鍼がない場合や苦手な方にはモグサで温めるだけでも効果があるかもしれないです。この写真はイギリスの東洋医学の学校のウェブサイトからお借りしました。このリンクから免疫を強めるためのST36について詳しい解説を読むことができます。
https://orientalmed.ac.uk/for-a-smoother-transition-from-autumn-to-winter/

統合医療を勉強していると、人間のマインド・バディー・スピリットの素晴らしい連携プレイとそれを昔から知っておられた先人達の叡智に出会い、鳥肌が立つほど感動することがあります。勉強してもしてもまだまだ足りないのは、もしかしたら私たちが一生をかけて勉強しても全貌を全て掴めない果てしない私たちの調和の仕組みがあるからなのかもしれません。そしてその無限大の偉大さにただただ脱帽するばかりです。




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