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代表的なデザインリサーチ手法を紹介する

昨日、メルカリさんとStudio Optさんの共催で行われたBuild a better product through design researchというイベントに参加してきました。

参加者はだいたい50人だったように思いますが、他の参加者の人と話をしてみるとデザインリサーチをバリバリやってますみたいな人はほんの一握りで、そもそもデザインリサーチとは何かよくわかってませんという人や、これから勉強します。というフェーズの人もそれなりに多そうでした。とはいえ、デザインリサーチに興味を持つ人がこんなにいると言うには私の想像を遥かに超えていましたし、今後もっとデザインリサーチがモノづくりのプロセスに取り入れられていくと良いなと思っています。

ということなので、これからデザインリサーチを勉強しようかなという人向けに、代表的なデザインリサーチ手法をざざっと紹介しようと思います。なお、代表的かどうかの判断基準は私ですので悪しからず。

インデプスインタビュー(In-Depth Interviews) 

https://www.webcredible.com/services/investigate/depth-interviews/ から引用)

多くの人がインタビューという言葉から聞いて連想するものが、いわゆるインデプスインタビューと呼んでいるものではないかと思います。

ユーザの行動や考えなどについての会話を通してユーザーに対する理解を深め、ユーザーの抱えている問題、ニーズ、要望などを把握する事を目的とします。

一般的には1時間ぐらいの時間の中で行うことが多いのかなと思いますが、ユーザの自宅や職場など、リサーチ対象となる製品やサービスなどを実際に使う環境の中でインタビューを執り行うこともあります。こういったインタビュー手法をインコンテキストインタビュー(In-Context Interviews)と呼ぶこともありますが、インデプスインタビューの仲間だと考えて大きな問題は無いでしょう。

なお、少し踏み込んだ話をすると、インタビューには大きく分けて、構造化インタビュー、半構造化インタビュー、非構造化インタビューなどがありますが、インデプスインタビューはこのうち非構造化インタビューに該当します。とはいえ、あらかじめインタビュー構成を考えておく事は重要です。

観察(Observation)

http://news.livedoor.com/article/detail/12849098/ から引用)

ユーザーがリサーチ対象のサービスや製品を使用している様子を観察します。観察することによって、ユーザがその製品やサービスをどのように使用しているか、そしてユーザーの口からは語られない課題やニーズを探索します。

デザインリサーチに観察を取り入れる場合は、出来る限り様々な条件下で取り組むのが良いでしょう。例えば上記画像はスーパーのセルフレジですが、朝、昼、夜によって客層が異なるでしょうし、時間帯によって同じ属性の人であっても求めるニーズが異なるはずです。もしかすると平日と土日ではユーザーニーズや使われ方が異なるかも知れません。

ゲリラリサーチ(Guerrilla Research)

道行く人にいきなり話しかけて、話を聞く方法です。一人あたりの接触時間は長くても5分程度が目安になるかと思います。短時間で多くの人の話を聞くことができるので、リサーチトピックについて様々な角度から知見を得る事ができます。

本格的なインデプスインタビューなどに取り組む前に、ゲリラリサーチを行い、大まかな方向性を決める、というのも良い方法だと思いますし、デプスインタビューで得た知見の妥当性を確かめるためにゲリラリサーチを行うこともあります。比較的少ないリソースで、かつ簡単に行えますし、方向性の修正も簡単です。とはいえ、街ゆく人にいきなり話しかけるわけですから、みんながみんな快く応じてくださるとは限りません。練習と断られても落ち込まないメンタルが必要です。

ちなみに私個人の経験からアドバイスをするとするならば、リサーチ対象の人に「今、ゲリラリサーチをしているのですが…」みたいな感じで話しかけないことです。多くの人は「ゲリラ」という単語にびっくりします。ゲリラリサーチのことをインターセプトと呼ぶこともありますが、だいたい同じようなものと考えて良いでしょう。

ワークショップ(User Workshops)

リサーチの一環として、ユーザを巻き込む事も珍しくありません。

例えば何らかの解決したい課題があったとして、ユーザは、ユーザー自身が持つ課題の専門家なわけですから、その課題がどう解決されると自身にとって嬉しいのか。あるいは一緒に解決策を考えることによって、そもそもその課題は解決されて嬉しい課題なのかなど、様々なインサイトを得ることができます。

他にもユーザーをリサーチに巻き込む方法には様々なものがありますが、インタビューなどのリサーチ手法と異なるのは、ユーザーが質問に答えるだけの受動的な立場ではなく能動的にワークショップに参加していただく必要がありますので、そのための動機づけや、仕組みづくりなどをワークショップ開催側で工夫する必要があります。

シャドウイング(Participant Shadowing)

(http://news.livedoor.com/article/detail/14058772/から引用)

ユーザーを理解するための方法として一番はやいのは、ユーザーの気持ちになってみる事です。このリサーチ手法は、リアルの店舗や施設などで使用することが多いかなと思いますが、例えばスーパーマーケットなどで、ユーザの後ろをついていって、ユーザーと同じように行動してみます。そうすることで、ユーザーの挙動について理解を深める事ができ、課題やニーズを抽出することができます。

例えば、商品に手を伸ばそうとしたけど手を引っ込めたとか、店内で似たような場所をウロウロしているなど、そういった行動をユーザーがとったときには、ユーザーの気持ちになって、ユーザの行動をなぞることによって何らかの発見があるかもしれません。

体験してみる(Be The Experience)

ユーザーリサーチにおいてユーザのことを知るのも大切ですが、自分自身で対象となるサービスや製品を使ってみる、体験してみるということもやはり同様に大切だと考えられます。

自分自身が体験することは大事ですし、例えば他の誰かになりきって体験してみるのも良いでしょう。例えば、子連れの人だったらこういう行動をとるよなとか、日本語が読めない人だったらこの看板は理解できないだろうから、きっとこういう行動を取るだろう、などなど。

その他ツールを使ったリサーチについて

上記は基本的なリサーチ手法について軽く説明しましたが、状況によってはツールを使ってリサーチを行うこともあり、こちらも効果的です。よく使われるものに限っても、ジオマッピングやカードソーティング、エクスペリエンスマッピングや感情グラフ、五感マップや関連マッピングなどなど上げればキリがありませんし、状況に応じて自分たちで作る事も珍しくありません。

おわりに

本記事ではデザインリサーチでよく使われる代表的なリサーチ手法について紹介しました。とはいえこれらはデザインプロセスの中で様々にカタチを変えて使用されます。

例えばインデプスインタビューひとつとっても、デザイン機会を探索する段階と、ある程度方向性が見えてきてその妥当性を検証したい場合、あるいはプロトタイプを作ってその評価をしたい場合では、インタビューと言う手法は共通であってもその中身は大きく異なってきますので、判で押したように毎回同じリサーチ手法を使うのではなく、プロジェクトのフェーズや目的に応じて適切なリサーチ手法を使う必要があります。

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