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そしてアメリカの優等生は世界を彷徨う【 #DMM英会話日記 】

年齢的にすっかり大人になりきってしまっているので、将来どうしたいとか、本当の自分がわからない、といったナイーブな話を友人らと語り合うこともめっきりなくなったものの、人は誰でも、心の中にティーン・エイジャーがしぶとく棲んでいるものである。
DMM英会話の先生は若者が多いので、彼らと会話していると、時折ふと、自分の中の十代が目を覚ますことがある。今日はそんな体験を綴りたいと思う。

この日の先生は、DMM英会話のネイティブの先生あるあるで、世界を放浪中のアメリカ人の青年である。今日は「子供の頃の夢」をテーマにフリー会話を楽しんだ。

「子どもの頃は建築家になりたかった。建物の絵を描くのが大好きだったんだ。いつも自分が作りたいと思う家を描いていたよ。」

I always wanted a little home in the woods made of stone. Simple and functional, not too fancy.(それらはたいてい、森の中にあって、装飾のない、石で出来たシンプルで機能的な、小さな家だった)

「母は時々、建築事務所に頼み込んで、僕に見学をさせてくれた。僕は事務所内を歩き回り、いろんな質問をさせてもらったんだ」
すごくいいお母さんね、というと、彼は嬉しそうに My mom is great. と笑う。
「だけど11歳くらいで、建築家になりたいと思わなくなった。その頃の僕は万能だったんだ。運動もできる、詩も書ける、計算もできる、何でも暗記してしまう、生物の授業では解剖だってした。テストはいつもハイスコアだった。」

そして彼は、ノーベル賞受賞者を何人も出している、アメリカの超名門大学に進学する。当然だろう。何を専攻したの?と聞くと、彼は苦笑しながら「化学工学だ」と答えた。

「化学工学を選んだことは、僕の人生の中で最も馬鹿げたことだよ。」
Choosing chemical engineering could have been the dumbest thing I ever did in my life.

「入学してすぐ、僕は化学工学は全く自分には合ってないと気づいた」というと、彼は、Excuse me for swearing.(汚い言葉でごめんなさい)と断ってから、
I didn't give a shit about studying chemical engineering. と吐き捨てた。
”give a shit”という表現は初めて聞いたので「どういう意味?」と聞くと、彼は少し恥ずかしがりながら、「すごく下品で汚い言葉だよ。意味としては、I don't careなんだけど」と笑う。出た、Shit問題
化学工学を勉強するなんて知ったこっちゃねぇ、とでも訳そうか。

「なんで化学工学を専攻しようと思ったの?」
「さぁ、わからない。価値のあるスキルだし、実用的だし、理にかなっていると思ったんだ。僕はまだほんの16歳のKidsだったからね。自分がどんな人生を送りたいかについて考えたこともなかったんだ」

I feel you. (わかるよ)と、私も相槌を打つ。10代なんてみんなそんなものでしょう?

「子供の頃からずっと、僕は”頭がいい”と褒められ続けていた。でも頭の良さなんて何の助けにもならなかった。そんなのはego(うぬぼれ)を増幅させただけだ。そして何でもできた頭がいいはずの僕は、あらゆる選択肢の中から最悪のものを選んでしまったんだ。」

Age 18 was a truly pivotal point in life.
(18歳は僕の人生の転換点だった)。My life turned out completely different than I ever imagined it might be.(僕の人生は、それまで思い描いていたものとは完璧に違うものになってしまったんだ。)

大学では、フリスビーをするか、音楽を聴くか、友達と酒を飲むことしかしていなかった、と彼は言う。そして卒業後は、バーで働いたり、スイミングスクールの先生をしたりしていた。

I never practiced chemical engineering in an industry.(僕は化学工学を仕事で使ったことはない)

今は世界を旅している彼は、「僕は本当の自分を知りたいだけなんだ」と言う。

その言葉に私の中の10代も目を覚ます。

I feel you.
わかるよ。
私だって、ずっとそうだった。
今だって、本当の自分なんてよくわからない。

<今日の学び>
Pivotal point.(転換点).


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