ミツメ

ミツメというバンドにある時から非常に取りつかれている。私の昔と変わったところというのが、気に入ったグループがあると飽きもせず毎日のように聴くということ。

自分で音楽を創ったり、いわゆる「DJ」としてほんの少しだけ選曲をしていた20代前半の頃は、とにかく毎日Myspaceなどで発掘して新譜を買い、という無限ループだった。私の住んでいた仙台にはあまりレコード屋もないため、東京のレコードショップに通販で買ったり、もしくは自ら夜行バスで東京に行き2,3日滞在しては憧れていた数々のショップへと緊張しながら向かっていた。なんという、絵に描いたような若々しさ。

パリに移ってからであろう、あの頃は学生としての生活が再スタートしお金もあまりないし何より、私がヤフーオークションで手に入れてからずっと大事にしていたレトロな緑色のレコードプレイヤーを壊してしまったので、レコードが増えていくことはなくなった。レコードを買わなくなってしまったということは、音楽を創っているアーティストに対しての敬意が薄れるような気がしてしまうのだが、音楽を無料で聴けるという発展した現在の恩恵を受けながら日々楽しませてもらっている。

そんな中、無料で自身のライブラリを作りながら音楽を無限に聞けるアプリケーションを利用して、こちらに何度も登場しているパリ十区にある私の旧職場にてBGM係を楽しんでいたわけだが、ある日表題のバンド、ミツメを見つけることとなる。ミツメは東京在住の4人組の男の子のグループで、ちょうど私と同年代のよう。2010年代前後、東京の宅録インディーアーティストがいくつも誕生し、宅録という言葉も流行していた。あの時に見つけた、Teenrungingというバンドがまさにその象徴のようなアーティストであった。

上記のミツメのDiscoという曲がランダムに流れてきたとき、ふと作業中の手が止まりブラウザの画面を確認してしまった。初めて聴いたメロディなのに、なぜか懐かしい気持ちでいっぱいになり、すぐさまお気に入りのボタンを押した。なぜか分からないけれど、前奏の軽快なギターを聴いたときに、私が夜の東京の国道沿いを歩いている様子が頭に浮かぶ。またいつか改めて書くかもしれないが、私にとって「東京」という都市はかなり特別な存在であり、日本の首都としての扱いではない。いい意味でも悪い意味でも、東京と私の間には多くの想いがあって、これは一生離れないのだと思う。東京に住んだことがないのに、多くの想いがあるのだ。Yolatengoの記事にも、ある曲が東京を思い出させると書いたのだが、このミツメのDiscoという曲も非常に連想させる。

「聴いたことのあるような 響きの中  止めないままで 続いてくな」という歌詞は、私がこの曲を初めて聴いたときの気持ちとおなじだ。



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