2019年上半期のポジティブニュース__1_

#翻訳 2019年上半期 世界のポジティブニュース

『FACTFULNESS』という本が流行りました。

書籍の冒頭で、世の中は昔よりずっと良くなっているのに、悪いニュースばかり目にして、なんとなく世の中が悪くなっているとバイアスがかかってしまう人が多い、もっと事実に目を向けようと述べられています。
私もそのバイアスを持つ一人だったのでとても印象深かったです。

Positive Newsが、今年上半期のポジティブニュース20を発表しているのを見て、そのことを思い出し、翻訳することにしました。

思ったよりも奇跡みたいなニュースが多くて驚くと同時に、社会はサステイナブルに意識が向いているようだという点では自分が追いついていない気持ちに。でも世界が地続きであることが想像しやすくなって楽しかったです!

元記事
What went right? January-June 2019
https://www.positive.news/society/what-went-right-january-june-2019/

1.今年「ヴィーガニュアリー」に挑戦した人が25万人と新記録(1月)

ヴィーガニュアリーとは、1月(ジャニュアリー)に植物性のものだけを摂取しよう(ヴィーガンになろう)という運動です。
過去4年間で参加者は堅調に増加しており、今年の1月は新記録となる25万人が参加。
より多くの人達が、倫理的・環境保護・健康の理由から肉と乳製品を食生活から取り除きました。
普及啓発の拡大は、店舗、食品ブランド、飲食店から押し寄せる多様なヴィーガン・フレンドリーな製品の後押しも一因となっています。
「ヴィーガン主義は、地球上で最も肉が大好きだった国でさえ広まっている。目を見張るペースだ。」とヴィーガニュアリーの担当者は言います。

(参考)ヴィーガン推進月間「ヴィーガニュアリー(Veganuary)」は浸透するのか
https://courrier.jp/news/archives/150402/?ate_cookie=1564988321

2.2018年の世界中のテロ攻撃は前年より3分の1減少。テロによる死者は4分の1との研究が明らかに(1月)

2018年の世界中のテロ攻撃は2017年と比べて33%減少し、2011年以来の最低値であることが、1月に発表されたレポートより明らかになりました。減少の主要因ははシリアとイラク間の暴力事件が減少したことです。
Jane’s Terrorism and Insurgency Centre (JTIC)の年次レポートに掲載された主要な出来事では、ISによる攻撃も71%減少したこと、最終的な死者数は50%以上減少したことも発表されています。

「2018年全体を通して、JTICは世界中で15,321件の非軍事組織による攻撃を記録し、これにより13,483人の民間人の死亡が確認されています。」とJTIC所長のマシュー・ヘンマンはコメントしました。

3.イギリスの肉食性哺乳類の数が復活したことが調査より明らかに(2月)

かつてイギリスで絶滅の危機にさらされていたカワウソ、シマスカンク、マツテン。1960年以降、記録的な増加を遂げていることが2月の調査でわかりました。
それぞれ絶滅危惧種からは脱し、いまだ絶滅の危機にあり続けている肉食哺乳類はスコティッシュワイルドキャットのみになりました。

この事実は、エクセタ大学のVincent Wildlife Trust and the Centre for Ecology & Hydrologyにいる科学者の報告によって判明。
カワウソはグレート・ブリテン島内でほぼ完全に自活しており、シマスカンクはウェールズ地方の南イギリスで割合が拡大しています。マツテンはスコティッシュハイランズ地方で数を増やしているそうです。

4.エイズ予防治療に、革新的なブレイクスルーが(5月)

5月にランセットメディカルジャーナルにて発表された研究により、性交渉によるHIVウィルスの感染を予防できる治療が発見されました。

その研究では、一方のパートナーがHIV陽性である男性のゲイカップルがコンドームなしでセックスし、抗ウィルス剤により治療するという試験を、8年に渡り1000組近く実施。8年でHIVに感染した事例はありませんでした。

薬の大いなる成功であり、研究者によれば、HIV患者が完全に治療された後には、感染症の恐れはないそうです。

5.蜂を保護する草の根運動が、バイエルンの農業経営をよりグリーンに(4月)

農家の業務についてドラスティックな変革を呼びかける草の根運動が驚くほど浸透したと、バイエルンが4月に発表しました。"蜂を守る"法律が制定される予定です。

この運動は、農場と動物の種をより保護することを求めて2月に発足しました。そして、バイエルン地域史上最も成功し、有権者の10%以上である175万人の署名を集めたのです。
民間では”セーブ・ザ・ビー"として知られており、より多くの放牧地をMeadow(干し草を毎年刈る草地)にすることと、3分の1の農場を10年以内にオーガニックにすることを求めています。

バイエルンの州知事であるマルクス・ソダーはこの嘆願を国民投票にかけるのではなく、直接議会を通過させて法律にすると発表しました。

6.2018年の世界中の死刑執行数が前年より31%減少し、この10年で最低値を記録(4月)

世界の死刑執行数が前年よりほぼ3分の1減少し、この10年で最低数となったと、アムネスティ・インターナショナルが2018年の死刑に関するグローバル・レビューで報じました。
世界の死刑執行数を示す統計も、4月に公開されています。

麻薬禁止法への変化に伴い、イラン(アムネスティが死刑が充満していると信じている国)での執行数は50%減少。イラク、パキスタン、ソマリアも実施数について大きな減少を見せました。
結果として死刑執行数は2017年の993から690に減少しています。

「世界での劇的な死刑執行数の減少は、最もありそうもない国さえも自らのやり方を変え始めたこと、そして死刑は正解ではないと気付いたことを証明している。」とアムネスティ・インターナショナルの副理事長であるクミ・ナイドゥー(写真)はコメントしています。

7. ある国際チームが、アルツハイマー病の進行を明確な兆候が出る数年前から正確に監視する方法を発見(1月)

アルツハイマー病の症状がでる数年前から、脳は変化し始め神経はゆっくりと劣化していきます。

1月、ドイツの神経病の研究機関であるthe Hertie Institute for Clinical Brain Researchとテュービンゲン大学病院の科学者はある研究を発表しました。
その研究では、血中のあるたんぱく質が、病気の最初の症状が認められるはるか前から、病気の進行具合を監視するために利用できるというものです。

これは、検査治療にあらたな可能性をもたらすことになるでしょう。
「私たちは脳質量の低下と認知の変化を、実際にそれが起きる2年前に予測できました」とシニアリサーチャーのマシアス・ジャッカーは言います。

8.無過失離婚がイギリスで合法化(3月)

イギリスで離婚を希望する夫婦は、まもなくより少ない手続きの恩恵に預かることができそうです。

イギリス司法局のデイビット・ガウケは無過失離婚について現在提案中であると認めました。
これからは過失の申し立てや婚姻を終わらせるための双方向の合意が不要になる予定です。

ガウケは法の中に夫婦が別れるために過失の申し立てや1年以上別居する必要を取り除くことに賛成しています。
支持者層は、現行の法は辛辣さをたきつけ不正な主張を促進しているため、この法改正が不要な対立や家族の対立を防ぐことに期待を寄せています。

ガウケはこうコメントしています。
「婚姻はこれからも常に私たちの重要な制度の1つであり続けるでしょう。しかし関係が終わった時、別れた夫婦の間の対立を増やしたり生みだしたりする法律は正しいとは言えません。この法改正は、家族が"未来を見つめる"ことを助けるはずです。」

(参考)【国際結婚・離婚】国際結婚とアメリカの離婚事情 ”No Fault Divorce(無過失離婚)”について
https://happyaloha.hatenablog.com/entry/2016/12/10/110000

9.ボツワナの高等裁判所が、ホモセクシュアルを合法と認める(6月)

ボツワナの高等裁判所は6月、植民地時代の法を覆し、ホモセクシュアリティを合法と認めました。

これはアフリカのLGBT活動家の中でも象徴的な勝利であり、「誇り、共感、愛」へ向けた転換だと、活動家たちは祝杯を交わしました。

国家高等裁判所は、同性愛を罰する法は彼らを尊重しておらず、法律は同意済みの成人間の私的な行動に干渉するべきではないと述べました。

性自認とは先天的な物であり、プライバシーの権利にはそれも含まれています。しかしサハラ以南のアフリカ国のうち20か国以上が依然としてゲイセックスを犯罪とする法を持っています。

10.100年前に絶滅したと思われてた巨大カメがガラパゴスで発見される(2月)

1906年以降生存が確認されておらず、絶滅が恐れられていたカメの1種が、ガラパゴスのファーナンディナ地方で発見されました。ナンベイリクガメ属のphantasticus、またの名をファーナンディナオオガメ。

ガラパゴス国立公園とガラパゴス管理局の合同遠征中に、島の低地の植物の茂みの中で、大人のメスガメが発見されました。カメは少なくとも100歳と想定されています。

国際自然保護連合は、ファーナンディナオオガメを致命的な絶滅危惧種としてリストアップし、絶滅の可能性もあるとしていました。足跡と糞の発見から、調査員たちはこの島にこの種がもう少しいるかもしれないと考えています。

11.NY州、小売店における使い捨てのプラスチック袋の利用を禁止、アメリカの州で2番目(3月)

この計画は、2016年にプラスチック袋を禁止したカリフォルニア州の事例に倣って、1年前に州知事のアンドリュー・クオモにより提案されました。ハワイもすべてのバーで使い捨てのプラスチック袋を禁止しています。

「これらの袋は環境に有害で水を汚染している」とクオモは言います。また、この法は「未来の世代のニューヨーカーために自然資産を保護する」ことの一助となると加えました。

12.地球はより緑が増えているとNASAが発表(2月)

NASAの研究によると、今世界は20年前より5%緑が増えています。また、地球を覆う葉2000年代初頭より200平方マイル増えてきているとも発表しました。これはアマゾン熱帯雨林を覆うのとほぼ同様の広さになります。

NASAによると、およそ3分の1の植物は世界で最も人口の多いインドと中国での熱心な植林計画によるもので、集約農業もまた草木の増加に貢献しているそうです。
NASAは増えた葉の総量は、森林伐採が生物多様性に悲惨な影響を与えている、ブラジルやインドネシア等の熱帯地方で失われた緑地の損失を中和するほどではないと強調しています。

13.アメリカで1型糖尿病について重大なブレイクスルー(2月)

史上初めて、人間の幹細胞をインシュリンを生成する細胞に変えることに成功しました。これは1型糖尿病の治療への応用に期待できます。

カルフォルニアサンフランシスコ大学(UCSF)の専門家達は、健康で機能的なβ細胞(インスリンを分泌する細胞)をペトリ皿の中で生成できたことを確認しました。

「私たちは今インシュリンを分泌する細胞を培養できるのです。これは人間が体内に元来持つ膵臓にあるβ細胞のようにふるまいます。このことは、糖尿病の患者へ移植できる細胞を作るというゴールに向けた決定的なステップです」とUCSFの糖尿病センターのマシアス・へブロックは言います。

14.インドの国家的な衛生施策により、2014年以降9千万戸のトイレが建設された。(3月)

Economic Timesが発行した報告書によると、およそ93%のインドの家庭にトイレがあり、およそ5億人が野外で排便することをやめたそうです。
調査を始めたとき5.5億人だったその数字は今では5千万人以下になります。

15.イスラエルが、紅海のサンゴ保護調査のプロジェクトのために、周辺の7アラブ諸国と協力(6月)

イスラエルは、紅海の海辺を彩るカラフルなサンゴ礁を守るために、大半がムスリム国である7か国と協力することにしました。

紅海国際研究センターは、スイス連邦工科大学ローザンヌ校により管理され、紅海の広大なサンゴ礁を研究する予定です。プロジェクトでは特に、どのように漂白効果を防ぎながらサンゴを管理するかを探求します。漂白は、世界中の他のサンゴ礁から感染してしまいます。

協力関係は、イスラエル、ヨルダン、エジプト、サウジアラビア、イエメン、エリトリア、ジブチそしてスーダンの間で結ばれ、この手のプロジェクトでは最大地域範囲です。

16.コスタリカがの森林率が30年前の2倍に(3月)

数十年にわたる森林伐採を乗り越え、コスタリカはこの30年で森林率が2倍になりました。今や国土の表面の半分が木々に覆われ、巨大な炭素除去装置であると同時に大きな観光客の呼び物を作り出しています。

コスタリカでは、広範囲にわたる無秩序な伐採により、1983年の国土森林率はたった26%でした。今日では、52%に増加しています。

この劇的な復活劇の裏には、国策があります。コスタリカは豊かなエコシステムのポテンシャルを自覚し、国家としてセーフガードを設定。伐採量の厳しい制限や、森林活動を監督する森林管理委員会の設置などを行いました。

17.中国で、化粧品に動物実験を課す法律を解除(5月)

中国では現在、化粧品ブランドに対し販売前の製品に動物で試験ををすることを法律で義務付けています。しかし2020年1月から、動物を利用しない試験を推奨することになりました。インビトロ・サイエンス研究所によると、数年にわたるロビー活動を経て、中国政府は9つの代替試験方法を認めたそうです。

18.アルジェリアが公式にマラリアから解放されたとWHOが発表(5月)

マラリアが、アルジェリア国土およびアルジェリア人から完全に消えたとWHOが発表しました。

これは蚊を媒介とする病気との戦いの重要なマイルストンの達成です。WHOは、現在38の国と地域に伝染病がないと発表しており、これらの地域は世界中からこの地に戻ってくることが可能です。

「アルジェリアでのマラリア対策は残りのアフリカ諸国を見据えていました。国の主導、大胆な行動、投資と科学を通じ、どう病気を淘汰するのか、残りのアフリカ大陸の国はこの経験から学ぶことができます。」とWHOのアフリカ地域のディレクターである、マシディソ・モエ博士は言います。

19.ロンドンで、イギリスの大手スーパーとしては初めてプラスチック未使用コーナーを導入(1月)

キャンペーン団体のA Plastic Planetの協力により、英スーパー”Thornton’s Budgens”はベルサイズ・パーク店に、プラスチック未使用製品のみの売り場を設けました。売り場はわずか10週間で完成し、1700以上の製品が陳列されています。消費者は、果物から野菜、パン、チーズ、リスの肉などすべてをプラスチック未使用の包装で持ち帰ります。

プラスチック未使用の素材はブナ材、パルプ、紙、金属、ガラス、不織布、厚紙などで代替されています。Budgens はこのような素材は、肉や魚のような水分を含むものをどのように包むかによって変わるといいます。

(参考)プラスチックフリーな商品エリア 英のスーパーで導入
https://lessplasticlife.com/news/budgens-introduce-plastic-free-zones/

20.ヨーロッパはグリーン農業に移行しても自給が可能だと、ある研究が示唆(3月)

ヨーロッパは、アグロエコロジカルなアプローチを通じて農業をすることができるし、それでも増え続ける人口に対して、人々がより植物性ベースの食生活に移行する限り、自給が可能であるとヨーロッパの自給可能な開発についてのシンクタンクであるIDDRIの研究が発表しました。

「アグロエコロジーのための10年」というレポートは、「環境にやさしいものを1番に、科学的なものは最後に」という原理に基づいており、殺虫剤は段階的に廃止することが可能であり、温室効果ガスの排出量はヨーロッパ中がアグロエコロジカルな農業をすることによって徹底的に削減できると言います。

レポートの著者は実地での模擬実験を行うことで、アグロエコロジカルな農業に移行した場合に実現できる削減量を調査。食生活を植物ベースのたんぱく質や、自然放牧された家畜に変更し、穀物で育てられた食用肉を辞めることでより排出量はより軽減されるそうです。
現在ヨーロッパで収穫される半分以上の穀物と油糧種子は、動物の飼料となっています。

(参考)アグロエコロジー
アグロエコロジー(Agroecology)は、工業化された農業に対して、持続可能な農業や社会のあり方を求める運動および科学のこと。
狭義には有機農業などの農薬を使わない農法も含み、生態系を守る農業のあり方や社会のあり方を求める科学や運動、実践も意味する。
http://altertrade.jp/alternatives/agroecology