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#翻訳 退屈なオフィスカジュアルについて

Atlanticに、女性のオフィス服についての考察が載っていて面白かった。
ありきたりなベーシックを着ていればとりあえず職場をやり過ごせるんだから、退屈なデザインでもいいじゃないというライターの提言にとても共感。

あと、単純なアパレル考察じゃなくて、「この不満は資本主義に対する不満からそれてやって来ているのだろう」という締めくくりはめっちゃ鋭いと思いマス!!

原文:
The Case for Boring Office Clothes
Women frown on the Ann Taylor aesthetic, but there’s an upside to basic.
https://www.theatlantic.com/health/archive/2019/06/ann-taylor/591313/

退屈なオフィスカジュアルについて

最近の「サタデー・ナイト・ライブ(※コント番組)」では、"買い物が嫌いで戸惑いと恐怖を覚える人達にとって唯一のお店"として、Fashion Cowardというパロディストアの放送があった。ニュートラルなカーディガンをパキっとしたジャケットと合わせてファッショナブルにするのとは対照的に、フェイクのCMが誇らしげにこういう。”私たちは、『茶色のセーター』や『足用のパンツ』といった安心なものを提供します”。あるシーンでは、顧客役の女優のエマ・ストーンが、ファッションはストーリーを持つとするならば、Fashion Cowardのストーリーは、「私は自分自身に不慣れなんです」という。コントの最後には、Fashion Cowardはアンテイラーからインスピレーションを受けていることが明かされる。

アンテイラーは、ここに行けば間違いないというタイプの、ホワイトカラーの女性向けの小売店で、ありきたりであることと、ありきたりであることをばかにすることどちらにもいるという異質なポジションだ。役職がマネージャーとか主任とかで終わっているようなほとんどの女性が、1つか2つ、”色っぽいけど色っぽ過ぎない"パンツを持っているらしい。私の住むワシントンDCでは、しょっちゅう地下鉄で全く同じ服装の女性を見かけるていて、まるで女性は住居の賃貸契約時にトップスにペンシルスカートを着ることが決められているかのようだ。

(ANN TAYLOR)

とはいえ、『アンテイラー』または少しだけクールな姉妹ブランドの『ロフト』で買い物をすることを認めるのは、ファッションに挫折したと認める事である。
コラムニストのモニカ・ヘッセはかつてワシントンポストに寄稿した際に、アンテイラーは"野心とモチベーションがあきらめと出会った場所であり、だからこそワシントンに完璧にふさわしい"と評した。ショッピングモールの世界では、激安のユニクロと、仕事の面接に着ていきたいと思うような目立つ服の間でのカテゴリ分けがやや下手だ。小売りの専門家、マロリー・ソルスバーグはビジネスインサイダーでこう書いた。「アンテイラーは、Forever21やH&Mほど安くはない。Zaraほど色っぽくもシャープでもない。J.Crewのような服にお金をかけるプレッピーなファッショニスタ向けでもない。」実際、アンテイラーの親会社は、2017年末に”ファッションの踏み間違い”をしてしまったと認めた。

一部の女性にとっては、アンテイラーはケールサラダか繊細なハイヒールか実用的な下着のようなものだ。私たちはそれを持たなければいけないとわかっているが、欲しいとは限らない。または、シナトラ・ウィルソンがアトランティックは2015年にこう書いた。「アンテイラーの思想は、私が白人女性が『サマータイム』を歌ったり、ワイン愛好家が料理酒を飲むのが嫌いなのと同じ理由(過剰なバニラは目を節穴にする)で、私を間違った方向へ向けようとする。」
こんなに有名なブランドが、たくさんの冷笑を獲得しうるというのは、ある種の混乱を加速させてさえいる。例えばDC momsのスレッドでは、「明らかにアンテイラーはバーニーズではないし、J.Crewですらない。それなのにどうして文化的な落としどころになったのか?」と投稿されている。(私はアンテイラーの親会社のAnn,Incまでコメントを求めた。何か私に返信があればこのスレッドが更新されるだろう)

(ANN TAYLOR)

しかし、世の中にはちょうど良いブレザーはほんの少ししかなく、そしてたくさんの参加すべきネットワーキング会がある。気候が良くなってきて国中の女性がワードローブの”更新”を始めるかのように、ええ、私は試着室で告白をしよう。私が所持する服のほとんどがアンテイラーかロフトである。

私はそんなに自分に不慣れではないが、特別なものよりは、プロの物を見るのが好きだ。そしてこれこそアンテイラーが勝っている点である。アンテイラーの服は、ミーティングに出ても壁紙と同化することもないし、パワーポイントの投影に隠れてしまうこともない。ある人々は、「見て!私はファッショニスタです!」と言っているかのようにスタイルにも個性を持つ。私の場合「私は厳しい子供時代を過ごていて、ただ注目を集めすぎないボタンダウンが欲しいんです」というスタイルだ。

(LOFT)

アンテイラーとロフトの優れた点は、何であれ、その時流行っているものを薄めて出しているということだ。ラッフルが流行っているとき、ロフトはシングルラッフルのシャツを出すだろう。ベルスリーブがひどく流行った秋の間、少しだけオープンスリーブのトップスがひっそりとアンテイラーにかかっていたものだ。冒険はしたくない!それがあなたがアンテイラーにいる理由だ。また、いくつかの物は、かわいいんです、分かりますか?あなたがシャンブレー素材の服を十分に買った後、大数の法則が働いてトップスの一つが実物より良く見えるようになる。私の同僚のテイラーロレンツは、最近ブシュウィック、あのブシュウィック(※おしゃれな古着で有名なブルックリンの地域)のパーティーへ行って、アンテイラーのトップスが褒められたと教えてくれた。

第一にアンテイラーとロフトはどちらも表面上は常にセールをしており、第二にリーズナブルな価格であるために、そこは具体的だが限定的ではない目的に沿った服を買うのに良い場所なのだ。私がブラジルへ取材旅行にいる間、気温は1回もも32度からほんの少しも下がることがなかったが、私はロフトの襟付きのボタンダウンワンピースを着て、無数のインタビューに臨んだ。その理由は、私がよく熱帯地方にミーティングに参加しているからではなく、ただワンピースが30ドルだったのだ。

(こういう感じの物と思われる)

アンテイラーを嫌う人は、オリジナリティのなさが、プロフェッショナルな女性は匿名軍のようにシフトドレス(直線的なワンピース)に似てなければならないという考えを強制すると時折主張する。女性は決まったふるまいや見た目でいなくてはいけないという考えを変える1つの方法は、確かに私たちにもっともばかげた、最もおかしな、もっとも”私達らしい”服を着せることだ。しかし会社用に同じような服を着ることは良い点もある。男性のイノベーターは同じグレーのパーカーやチャコールのスーツを毎日着て、彼らの決断の時間を減らしているとして礼賛されている。なぜ女性は平凡で退屈な服を選んでそのエネルギーを他のことに使えるようにすることが褒められないのだろうか?

おそらく、アンテイラーに向けられたいくつかの敵意は、資本主義全般への敵意から移ってきたものであろう。アンテイラーを嘆く人の多くが、実際にはそれを着ていくだろう場所、つまりオフィスが嫌いなのだ。アンテイラーのモデルはいつも小ぎれいで、すましていて、プレゼンテーション前という感じだ。一方で、アンソロポロジーのカタログにいる女子は、サンドレスを着て何も気にせず野原の中を走ったりしている。

(アンソロポロジー。うー、かわいい!)

しかし現実では、あなたは気を付けるはずだ。仕事に行く必要があり、そこにいるあいだ、まともに見られなければいけない。まともに見られさえすればよいとされる場所を持つことは素敵なことだ―他のことを達成できるのだから。