【エッセイ】心の在処

 心とはなんぞや?

 心という臓器や器官があるわけではないので、ときどきこの疑問が頭をもたげる。「心を平静に保つ」と「心優しい人」では、なにか心という言葉の意味が違う気もして、はて?となる。
 心は脳だという意見も聞くが、なにかしっくり来ない。「頭にくる」と「腹を立てる」は似ているようで、この脳と心の違いのようにも感じる。
 最近、瞬間湯沸かし器のようにちょっとしたことで怒り出す子が多くなったなぁと感じているのだが、これはどちらかというと「頭にくる」ほうじゃないかと思っている。「腹を立てる」だと、もっと静かな怒りのようなイメージがある。「頭にきている」子を鎮めるのは、理屈を話す前にとにかく一旦落ち着いてもらわなければならず、結構エネルギーがいる。心の前に、まず脳が静まれという感じだ。
 脳でなにかを感じると、血圧だとかに影響を与えて心臓の動きが変わるので、それで心は胸にあるようにかんじるのかなぁと、医学素人の私は考えたりもする。
 
 心がどこにあってもそれで長年生きてきたわけだから、場所なんかどうでもいいと言えばいいのだけれど、実態不明のものに我々は結構振り回されているなぁと思うこの頃であった。

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