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040. 気持ちを押し殺す人間の美しさ

映画「ゼロの焦点」だったか、昔女優の広末涼子が監督から「涙を1リットルためても頬を伝せるな」と指示があったそうで、なにかのテレビで見て印象的だった。でも監督の言ってることはよく分かる。気持ちを押し殺している人の姿が1番胸に迫る。

画面越しの「あなた」の姿に沈黙が雄弁であると視聴者が理解する。もうそれは狂おしいほどに、その「あなた」の心に渦巻く言葉にならない感情が、涙を極限まで抑えることで見えてくる。

もう少しで光が見える、太陽の光が、というところで視界を遮られたときの「あなた」の絶望を見て、なぜか美しいと思ってしまう。

小説は言葉の巧みな配列によって成り立つものだけれど、会話なしに、そんな沈黙が雄弁を物語るような、良質な映画を観たような空気感の小説を書いてみたい。

映像だけがなせる技、小説だけがなせる技がそれぞれあるのだろうけど、すでに決まっている五十音順の配列で、見たこともない世界を書きたい。

#エッセイ #日記 #小説 #気持ちを押し殺す美しさってなに


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