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ケアンズへの道⑨

フードコートを出て、少し歩くとマクドナルドの前にプレスリーの格好をした全身金色の人形が金色のギターを抱えている。
じっと見ていると、突然動いた。なんだ、人間か。観光客だろうか。ツーショット写真を撮っている人もいる。
彼らの後ろには昼間泳いだプールがあり、近くには観覧車がまばゆい光を放っている。

街を歩いていると、woolworthsを見つけた(ショッピングセンターとは別の)。

今度はバナナではなく、りんごが置いてあり、同様に「お買い物中、お子様に果物をどうぞ」と書いてある。

「いいんかな?」
「いいよ」
娘がさっきお土産屋で買った2ドルのバッグに一個入れる。2ドルと聞いて高いと思ったが、これも立派なお土産だ。

店内には2リットルで50セントという破格のミネラルウォーターが売っていた。

「これ、やばい水ちゃう?」
と娘が笑う。

店を出て、気の向くままに歩く。金曜日の夜。みんな楽しそうだ。

「楽しくてハイになってきた」

娘がこんなことを言うのは珍しい。

そして言った。

「日本に帰りたくない」

あんなにシドニーに行きたいって言ってたのに。

でも、わかるよ。パパも同じ気持ちだもの。

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