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おーちゃんとまさ子さんのケトル

友人の紹介で一宮市に住むおーちゃんと初めてお会いした時、あなたはニコニコしていましたよね。僕は驚きました。なぜならおーちゃんの奥さんと三人の子どもの二人を癌で亡くしたと聞いていたからです。
僕は驚きと同時にすごい人だなと思いました。

おーちゃんの奥さんは自分から好きだと告白したそうですね。わかります。おーちゃんは怒ったり、人の悪口を言ったことがありません。 
奥さんを亡くしてから奥さんのお母さんのまさ子さんと暮らしていたことがありましたね。
おーちゃんが義母を邪険に扱ったり、声を荒げたことなどありませんでした。まさ子さんが誰かに非難めいたことを言っても「おばあちゃん、それは違うよ」と優しくさとしていました。
そんなおーちゃんのことを奥さんが好きになるのは当然だと思うのです。

結婚の際に、おーちゃんが養護施設で育ったという理由で周囲が反対したそうですね。
その時に「何いうがね!好きな者同士が一緒になりゃ、それが一番いいがね!」と言ったのがまさ子さんだったと聞きました。

「自分の感受性くらい自分で守れ ばかものよ」という茨木のり子さんの有名な詩があります。自分自身をいつも機嫌よくさせておくことは幸福への道であり、真に強い人でしょう。

娘の出産祝いにまさ子さんからティファールのケトルをいただきました。粉ミルクを作るためなのですが、授乳期間が終わってもわが家で毎日活躍していました。
それが昨日から調子が悪くなったのです。接触不良なのですが12年半も使っていたことになります。
仕方なく、娘と同い年のそのケトルを買い替えることにしました。一代目と同様のティファールの同じ型です。

まさ子さん、ありがとうございました。ティファールのケトルで作ったミルクを飲んで育った娘は4月に中学生になります。

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