【薬膳のキホン③ 五行】
薬膳の根幹をなす思想に「陰陽五行」というものがあります。
今日は前回の「陰陽」のお話に続き「五行」のお話を簡単にしてみます。
「五行」も古い中国の思想で、万物は「木・火・土・金・水」という五つの元素からなるという考え方です。
これらの元素にさまざまなものをあてはめます。
つまり万物を五つのグループに分けるのです。
薬膳でよくつかわれる項目としては、季節、味覚、臓器など体の部位、邪気などがあります。
□季節(五季)
木→春 火→夏 土→長夏 金→秋 水→冬 に対応します。
長夏というのは、中国で夏の終わりに訪れる長雨の時期を指します。
日本では、梅雨や台風の季節など、湿度の高い季節をイメージするといいと思います。
また季節の変わり目である「土用(年に四回あります)」を指す考え方もあります。
□味覚(五味)
木→酸 火→苦 土→甘 金→辛 水→鹹 に対応します。
鹹というのは塩辛さのことです。
しょっぱい塩(Nacl)の味というよりも、海産物のようなミネラルを含んだ味のことです。
□臓器(五臓)
木→肝 火→心 土→脾 金→肺 水→腎 に対応します。
これらはそれぞれ、肝臓そのもの、心臓そのもの(以下同じ)を指すというよりも、そのはたらきに関わる場所全般を指したり、メンタルな部分も含んだりしています。
□五気
木→風 火→暑 土→湿 金→燥 水→寒 に対応します。
これらは心身に影響を与える各季節特有の要素のことです。
それらが心身に悪影響を及ぼす場合、それぞれの言葉の後に「邪」という言葉をつけて呼ぶこともあります。
「風邪」「暑邪」「湿邪」「燥邪」「寒邪」となります。
上の表を見てください。
現在の季節「秋」は「金」のグループに属しています。
縦に見ていくと、
白
辛
燥
肺
大腸
鼻
皮膚
肌
悲
となっています。
これらは「秋」と関係の深いものです。
「秋」は空気が乾燥しますね。
それもほどほどならいいのですが、度が過ぎると「燥邪」となり心身に悪影響を与えます。
肺や鼻は乾燥すると風邪をひいたりします。
湯気などを吸うと楽になりますね。
皮膚、肌も乾燥には弱いですよね。
薬膳では大腸も乾燥すると免疫力が落ちると考えられているのです。
そして秋の食養生では、
白いもの
辛いもの
を食べるといいといわれています。
ダイコン、ナガイモ、梨、ネギ・・・
こんな風に万物を五つのグループに分けて食材を選んでいくことも、薬膳のキホンのひとつです。
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