『MBAが会社を滅ぼす』・・・か?
今日は、すでに朝からのべ10時間くらいコードを書いている。そろそろ最近急激に進む老眼が辛く・・・しばし、note休憩。プログラミング留学日誌といいつつ、そうなると6か月後に得たものを書くくらいで終わってしまいそうなので(もちろんだが、まだまだプログラミングを語れるレベルにまで至っていない)、プログラミングの枠も超え、少し振り返りも書いていくことにする。直近の『学び』つながりで。よく考えると、MBAというのは、具体的に何やってるかあまり開示がされておらず、先入観も多い気がする。同級生でもMBAに興味を示されていた方も多々いらっしゃったので、参考にしていただければ幸甚です。
『アート』・『サイエンス』・『クラフト』
『MBAが会社を滅ぼす』、強烈な本noteのタイトルは、ミンツバーグ博士の書籍から。この中で博士は、ビジネスを動かすには、ビジネスを0⇒1に想起させる『アート』、そして1からのスケールを成功させる『サイエンス』(要するに戦略思考)、さらに戦略の実行力である『クラフト』、この3つのバランスが重要であると述べている。その上で、MBAが『サイエンス』に寄り過ぎていることも示唆しているわけだが、確かにこの本が出版された2000年代前半は米国市場の成長も一旦鈍化し、エンロン不正事件等MBAホルダーがまた業績上げたさにやらかした的な風潮が強かったのかもしれない。その名残りも残りつつ、どうしてもMBAは頭でっかちな学問だと捉えられがちなのではないかと感じている。回りくどい話はさておき、結論を述べると、MBAでは、『アート』『サイエンス』『クラフト』はバランスよく学べるということだ。(コースが選択できるため、アートに苦手意識があった私は、クリエイティブ系コースを避けて通り、アカデミックな組織論や戦略系講義に没頭していた。(今思えば、何とも惜しいことをした・・・。)コース選定は計画的に。
MBAを志したきっかけ
MBAに入学したのは2020年9月。当時、カフェ・ベローチェを運営する事業会社で人事の統括をやっていた。そこに、コロナという何とも前代未聞の恐怖が飲食業界全体に襲いかかり、ベローチェも250店舗全店クローズ、売上は上がらず、PA含め5000名の従業員の雇用維持さえ危ぶまれる状況で、私自身も休業、報酬カット(賞与はもちろんのこと月収の大幅なカット)と、目の前が真っ暗になった。サービス業に従事する自負は持って止まなかったが、その時ばかりはサービス業以外を経験したことがないキャリアを悔んだりもした。転職しようにも業界全体がフリーズし、身動きが取れない状況で、この先も収入が途絶え続けるのかと不安の中、日々生活費を切り詰め、色々と思案していた。そんな折、ある転職エージェントとの転職相談の会話の中でかけられた言葉がMBA入学を決意するきっかけにもなった。『誰しも、春が来る前には長い冬眠があるものです。この期間をいかに過ごすかでその春の豊かさが変わってきますよ。』なんとも暖かい言葉に後押しされることになった。人とのご縁は何とも不思議なもので、アンテナを張っていると、ちゃんと道を示してくれる人が現れるものだ。
ここからが本題:MBAの講義スタイル・評価基準
(講義スタイル)
・企業情報がファクトベースでまとめられているケーススタディを事前に読み込み、戦略の課題、改善案を粛々平日に作業し、10数枚のレポートにまとめ提出。
・週末(土日)の講義では、平均して6社のケーススタディをこなさなければならないので、平日の準備は夜な夜なコース。
・さらに週末には、そのレポートに沿った講義が繰り広げられ、全体でのディスカッションが進められる。
(評価基準)
・評価は『レポートの質』と『講義中の発言の質』で相対的に決められる。(それは厳しいマーケティングM教授は、発言の返しで『マイナス1』等とリアクションされることも・・・w)もちろんクラス貢献できた生徒は評価が高いわけだが、『ファーストペンギンになれたか』、『煮詰まった議論でブレークスルーを提示できたか』、『課題の本質を把握し、深い議論が行えているか』、『解決策を論理的に提案でき、相手を納得させられているか』等が評価される。
・逆に『本質をついていない』、『発言の根拠があやふや』、『相手の意図を捉えられておらず、議論をとっ散らかす』等がマイナスをくらう典型だ。
・ちなみに大の大人のクラスメイト50名ほどが、頭の中空っぽでも挙手しなければその講義の単位を落としてしまう恐怖で、挙手をしまくる風景たるや最初は本当に異様だった・・・
結論:MBAで得られるもの
①サイエンス:(個人的にウェイト4割)
選択科目によるが、『組織・人事』、『マーケティング』、『フレームワーク等の戦略系』、『ファイナンス・アカウンティング』の科目がバランスよく学べるため、0イチではないく1からのスケールの際に知っておいて損はない知識が得られる。知識で終わらせるかわかるをできるレベルに落とし込めているか否かは、本人次第。講義の度に現場接続を行いトライ&エラーが繰り返せる環境だと学びが生きたものになる。
②アート:(ここは選択科目により、あまり学べていないので、1割くらい触れられたか?レベル)
だが、ビジネスもアート(デザイン)も通ずるところは、世の中唯一無二の絶対解なんてものはなく、仮説立検証を繰り返しベストプラクティスを見つけていく点であると感じている。アートだとプロトタイプに落とし込み、ビジネスだと戦略に落とし込む。よってMBAの講義にも答えはない。ただ、後者は効率的に仮説立案を行うための思考プロセスは叩き込まれる。従って仮説立案までの信念と根拠は重要視され、根拠に非効率さが見られると、好ましくないと見なされる傾向はあるのかもしれない。
③クラフト:(5割越え)
正直、①②に関しては、教える科目における大差は学校によってそんなに違いがあるかは謎で(どこもよいカリキュラムを用意はしているだろう)、重要なのは学べる環境だと感じている。ちなみに、私が通った名古屋商科大学大学院は、入ってびっくり相対評価で1割が落とされるという何ともサバイバーな環境で、同期といいつつ全員ライバル。最初の6か月は、それはそれはスマートな同級生たちと自分のポンコツ発言を比較し、タフだけが取り柄な私でもメンタルやられそうではあった・・・今考えるとそれくらい過酷の方が伸びるのかもしれない。机上の空論で終わらせず、一喜一憂に時間を取られず、内省できるかが重要。現場で活かせるか、またその実行力が体得できるかは、本当に本人次第。
●傾聴力
というわけで、何はともあれ、教授の問い、クラスメイトの真意、議論の波に乗っかるための状況把握を的確に行うためには『傾聴力』は一番求められ、さらには醸成できるスキルだろう。ここでいう傾聴力の定義は、相手の話やディスカッション全体の文脈を汲み取って、自分なりの概念に落とし込み、アウトプットが即行えるレベルまでインプットの質を高める状態を作ること。
●論理的提案力
これも、教授・クラスメイトを納得させる提案を行うには、レポート、講義ともに高い論理的思考力と提案力が求められ、最初はなくても次第に磨かれることになる(私はまだまだだが)。
●ストレス耐性
これは私だけかもしれないが、スマートな集団内において、自分のポンコツすぎる発言は恥ずかしく、相手からどう思われるか最初の数か月は、感じたことにない自己嫌悪に陥っていた。後半になれば人目も気にせず、自身の信念に沿った発言を強気に提案し、後輩に先輩風吹かせていた(笑)
●キャリア形成
卒業論文のようなケーススタディを書くわけだが、この執筆により2年の学びから得たもの、卒業後のありたい姿を整理でき、自身のMVVを明確にすることができた。人生とは色んな選択肢があり、色んな価値観があるわけだが、MBAの修学を通し、またMBAを志す多くの同士の様々な動機や価値観を通し、俯瞰的に自分を見つめなおすことができた。東京でキャリアを積み続け、今より稼ぐことが幸せなのか、パワーのある名刺を獲得するため(就業、クライアント獲得両方の意味で)に競争社会で全力を尽くすのか、同様に名だたる企業の名刺をもらった瞬間、圧倒され尊敬の念を抱く自分は物事の本質、人の価値を正しく評価できているのだろうか、しばらく悶々と考えた。結果、北九州に帰省することにした。今は毎週実家へ帰り、あと何回できるかわからない親孝行に時間を使っている。古い友人との会話は忖度ないもので自分らしくいれている。
余談だが、私の苦手科目の1つでもある『ファイナンス』の講義で一番覚えている教授の言葉。『株にはα波とβ派があります。あなたの調子がいい時に集まてくる人間か、見返りがなくてもずっとそばにい続けてくれる人間か、そんな違いです。』と説明していた。ずっと残っている言葉の1つ。
MBAの学びで得たものの結論とは、どんな学びであろうと、全力でコミットし、自分なりの解釈を模索するという学びのプロセス自体に意味があるのではないかと考える。G’sではまだそれが始まったばかり!
さて、眼精疲労回復してきたので、コーディング再開しようっと・・・。