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セーラームーンが登場するカナダの学校授業案

カナダのNPO法人Media Smarts がカナダ全土の学校の先生方に提供している、メディアリテラシー教育の授業案を見ていたら、意外な単語が目に入った。「Sailor Moon」、あの日本のアニメのセーラームーンだった。セーラームーン世代の私は目を疑った。

その教案のタイトルは「女性のアクションヒーロー」、授業対象は小学6年生から中学2年生。メディアがジェンダーのステレオタイプにどのように影響しているのか、過去数十年間で子供向けのジェンダー表現がどのように変化しているのか、について考えるものだった。

例として出てくるアニメは、セーラームーンが一番古く、一番新しい例はThe Legend of Korra(アメリカのアニメ)だった。資料によると、セーラームーンが1995年に北米にやってくる前はアニメに女性のヒーローはほとんどいなかったが、セーラームーンなどのアニメが商業的に成功したため、女性ヒーロー(女の子向け)のアニメが増えた、としている。

私はセーラームーン世代なので、幼少期には純粋にアニメを楽しんでいたが、個人的には、「タキシード仮面様」となぜか男性キャラクターを「様付け」で呼び、泣いてばかりいる主人公の「うさぎ(セーラームーン)」はどうにかならないものか、と小学校低学年ながらに感じていた。だからセーラームーンとジェンダーと聞いた時にはネガティブな例かとドキドキしたが、そうではなく、女性ヒーローが生まれるきっかけを作り、北米のジェンダー教育に影響を与えたとして、どちらかと言うとポジティブに紹介されているように感じられたので、セーラームーン世代としてほっとした。

Googleでセーラームーンを検索してみると、セーラームーンがジェンダー教育にもたらした影響について、日本語でも英語でも確認することができる。私は初期のセーラームーンしか知らないが、セーラームーンにはLGBTに当てはまるキャラクターが存在すること、北米版セーラームーンでは、その設定が変更されていることもわかって興味深かった(セーラームーンが北米に進出した当時は、北米はそれを受け入れる状況ではなかったらしい。現在とは逆である)。

今回セーラームーンについて知り、幼少期にどのようなものに触れるかで知らず知らずのうちに人格形成が行われているのだなと考えるようになった。幼少期は周囲の大人が情報の取捨選択をするしかないのだと思うが、少し成長してからは、メディアリテラシーを学び、客観的に自分の周りの事例を分析し、客観的に物事を考えられるようになるトレーニングをする機会が必要なのだと思う。


カバー写真:2017年カナダ・トロントのJタウン(日本のものが購入できるお店が集まったショッピングモール)で行われた夏祭りのコスプレショーでの一幕。カナダ人のノリノリのセーラージュピターが可愛すぎた。

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