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米を研ぐ、受難の時。


私は治療対象にもならない身体的不具合がいくつもありそのために微妙に生活に苦労してきた。

足の外反母趾。これはおしゃれ靴を履いて過ごした代償とは違い、先天性のもの。そのため身体を安定できずよく捻挫をしたり、変な重心の取り方を無意識にしているらしく、体のゆがみで肩こり腰痛は日常。嚙み合わせまでゆがんでいるらしい。

身体の靭帯がとにかく緩く、人様が「え!?なんでそんなことで???」というほどに連続した作業や、肉体労働が出来ない。
役所でパートをしたときは書類のホチキス止めを一日任され、翌日腱鞘炎で湿布にサポーターという有様で、「こんな人、初めて・・・」と職員に嘆かわしそうに見られたのは忘れられない。
嘆かわしいのは、虚弱だと言っているのにもかかわらず、その物量を与える側だと今でも思っている。

一番困るのは、認定や病名対象にできないほどの些細な発達障害。
ADHDの傾向がややあり、家事の中で片付けモノが出来ない苦労が子供の頃から克服が出来ない。
そして聴覚過敏。一日に聞ける音の総量が決まっているらしく、それを超えると「ざざざざ・・ざざざざざ・・・」とノイズが混じり聞き取れない。
また、雑音の多いところでの会話は、聞き取りにくくて疲れを覚える。


同時に両手がふさがった状態で何かを求められるとアタフタする。
店で買い物などをするときに
片手で鞄や傘を持ち、片手で財布を持ち、ポイントカードなどを探す。

たかがポイント、つけなくてもさほどのことでもない。
でも、せっかく「ポイント付けます」とレジでにっこりと言われると
そうだよな・・・と、後ろに並ぶ人の「早く、早く・・・」の圧に
プレッシャーを覚え、あるはずなのにどれだか特定できず慌てて
どっと額から汗が吹き出して、メガネの中を伝い、視界が歪む。
傘をカウンターにかけて、ついでに持っていたカバンを足にぶつける。

傍から見たら、どんくさいおばちゃんの典型である。
(年寄りを蔑むなかれ、だわね)とつくづく思う。



問題は、米を研ぐという家事。

非常に単純かつ、調理の中の基本中の基本。

私は、必要最低限の道具で暮らすようにしており
家電類は、壊れた時の廃棄も面倒なので
調理家電も電子レンジしか持っていない。

オーブントースターは、ガスの魚焼きコンロ。
炊飯器は、鍋とガスコンロ。

米は手では研がない。
ステンレスの網ザルと、泡立て器を使っている。
ザルに、4合の米を量り、浄水器の注水口から水を流し
優しくザルの中を泡立て器でかき回し続ける。

右利きなので、左手でザルを保持しながら泡立て器でかき回す。

だいたい5分程度。この時間がなかなか「やっかいで、辛い」

ザルを持つ手首と指が痛い。
流れる水音に混ざる、米の研がれる「ジャクジャクジャクジャク・・・」
これが「耳に痛い」

いままで、なぜ米を炊くという作業が
他の調理に比べて、こんなにもしんどいと感じるのかが
自分でも不思議でならなかった。
それが「発達障害の要因らしいと分かった」ので
なるほどな、と納得できた。

片づけられないことも同じ。
出来るに越したことではないのですが、出来ない理由がある
そう分かったとたんに、自分を責めなくても良いんだと
出来る範囲で構わないと思えるようになれたのは有意義だった。

私のレベルで(失礼)こんなに苦労するならば
認定を受けるような方々のご苦労はいかばかりなのだろうと思う。

他の疾患によって、障害認定も受けているものもあり
出来ないことが他にも多々ある自分なので
一般の健常者よりは、病気の方への寄り添う心持はあると思っている。



ただ、どうにも理解できないのは
病気である公言をSNSで発信する一方で

自分を大切にしていないひと。
ネガティブ発言ばかりのひと。

この多いことに、愕然とする。

病気は、あなた自身の一部。
私自身の一部。

自分をいじめているような人は
他人を大切にしたり
適切な配慮を出来ないのは
こういっては何なのだが「当然」だろう。

そう思う。


米研ぎの受難。しかし、そこに唯一無二の私の姿がある。

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