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写真部は「便利屋」じゃないよ?

高校写真部では、よく校内各所からお仕事のオファーをいただきます。学校案内の表紙などのほか、体育祭などの学校行事や他の部活動の記録写真などが多いのですが、だいたいはその行事の直前になって「お願いできませんか?」という感じで依頼がきます。

まず申し上げておきますが、もちろん協力するのはやぶさかではありません。ただし、当然ながら写真部にも本来の活動やスケジュールというものがあります。コンクールや展示の準備。撮影。知識や技術の講座。こうしたオファーはそうしたところへ後から割り込んでくる形になるわけです。とはいえ、顧問としては「正直言って受けてる余裕はないんだけど、日ごろ学校には何かとお世話になっているし部室までいただいていることでもあり、断りづらい…」というのが本音です。

もう一つの問題は、写真部といえどもあらゆる写真の撮り方に精通しているわけではなく、特に記録写真は自由気ままに撮ることができる芸術(という言い方が適当かはわかりませんが)写真とちがって、実は結構高度な知識と技術が必要になるということです。

たとえば体育祭の記録写真を撮れと言われたらどうしたらいいでしょうか?

私がこの6月に体育祭を撮ったとき。カメラは動態撮影や高速シャッターに強いニコン一眼レフを用意し、使用レンズは望遠が主体になります。「その日の空(天気)」「全員集合の隊形」「選手宣誓→望遠でクローズアップ」「競技の様子→寄り、引きの2種類で」「応援席の盛り上がり」「終了後の集合写真→クラス、ブロック(色別対抗なので)ごとに」…などなど、プログラム=時系列に沿って撮るのは当然ですが、後で見たときに生徒たちがどう動いているかわかるように的確に押さえておかなければならないカットが多いのです。またそうでないと記録写真としての意味を成しません。プロの報道カメラマンが「えへ、すいませんでした。優勝の瞬間撮れませんでした」というわけにはいかないと思いますが、それに近いものがあると思います。

どうです?こう考えると記録写真って結構面倒ですよね。

そして、何より写真部員はこうした記録写真のスキルに特化して学んでいるわけではないので、結果的にお望み通りの写真を提供できるとは限らないのです。別に上から目線で「私たちは芸術写真を撮ってるので、そんな安い仕事はしませんよ~」などとというわけではないのです(苦笑)。もちろん、こうした「お仕事」を通じてまた写真の引き出しが増えることもありますので、頭から話を聞かないということでもないのですが。むむむ。

まあ、あくまでこちらの本来の活動に影響しない範囲でご協力させていただきます、ということでご理解いただきたいものですが、さて。

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