見出し画像

日本の土と有機肥料の相性

日本には火山が多く、日本の土壌は火山灰を多く含んでいます。しかし、特に農業の利用で考えると、火山灰を多く含んだ土壌には、「水はけが良い」以外のメリットがありません!日本の自然は豊かだと言われることが多いので、それは環境と土が上手く呼応したために豊かになっているだけであり、土だけを取り出すと決して植物には優しくありません。むしろ、デメリットの方が多いと言っても間違いではありません。

栄養の面で見ると植物に必須な栄養素のリンを植物が吸収出来ない形に変えてしまい、カリウムは流れ去り、その他の植物に必要なミネラルが欠乏しやすいです。また、「土」そのものとしては、水はけが良いので雨が少ないと、直ぐに旱魃を起こす、土が軽いので風や水で直ぐに吹き飛ばされたり流されたりする、といった特徴があります。表土の流出は農業では致命的な土壌劣化を起こすので極力減らさなければいけません。
つまり、日本の土は、化学肥料だけを使うことを前提とした場合、農業には最悪の土と言えます。そのため、野菜や家畜を「無理矢理育てている」と言うのが、今の日本農業の現状です。(幸い、泥がある地域では水田に最適な気候です。日本で米が主食になったのは、そのためです。)

そこに救世主の如く現れるのが有機肥料、カバークロップ、緑肥という訳です。
有機肥料は、皆さんがご存じの通り植物や動物(の糞尿や残渣など)から作られる肥料です。科学的に特定の養分を作った肥料と異なり、微量なミネラルも含めてランダムに入っています。日本の土で欠乏しやすい中量・微量のミネラル分をバランスよく補充することにぴったりな肥料です。
カバークロップは土の表面を覆うための作物のことを指します。これは土が露出するのを防ぐことで風や水で土が流出することを防いでくれます。火山灰のように軽い土では心強い味方となります。
緑肥とは、肥料の形に熟成させる前の植物を土に漉き込むことを指します。特に日本海側等では、冬の間は雪が多く耕作を行うことが困難です。熟成前の植物でも、雪が降る前に漉き込んでしまえば、翌年までには熟成が進み悪影響が出にくくなります。
そして、有機肥料、カバークロップ、緑肥は全て有機物から出来ています。火山灰の多い土は軽くて失われやすい反面、空気をよく含んでいるという特徴があります。土の中に有機物があり、空気が供給されることで土の中の微生物の働きが活発になり、農業に適した土壌に仕上がります。

ただし、火山灰性の土にはもう一つ欠点があります。アルミニウムを多く含んでいることにより、硫化水素が発生しやすいため、植物の根に悪影響を及ぼす(場合によっては枯死させる)ことも珍しくありません。また、アルミニウム自体も植物への悪影響があるため無視することが出来ません。
土壌中に充分な量の鉄を供給することで硫化水とアルミニウム自体の影響を防ぐことが出来るため、長い間耕作されていた場所(水田と畑どちらも!)では鉄を意識して加えてあげる必要があります。
また、鉄は有機肥料から発生するキレートにより、ミネラル分が植物に吸収できなくなることも防いでくれます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?