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石垣島見学記2024、2015

2023年12月31日から明けて翌年1月2日まで、石垣島を見学した。

主な目的は、特別天然記念物のカンムリワシを見ることであったが、野生の個体を見るのは難しいだろうとおもったので、展示している施設があるかどうか事前に調査。
ありましたね。日本最南端のテーマパーク「石垣やいま村」に保護されているというので、今回はそこをメインターゲットにして旅程を組んだ。

●1日目

石垣島は、沖縄本島よりさらに南へ400km先にあり、台湾に近い。
さすがに空路でも時間がかかり、家を日の出前に出たが、石垣島に着いたのは午後であった。

空港はコンパクトにまとまった地方空港で、最近改築されたのかこぎれいだった。
以前、訪れたさいに見学できたオオゴマダラの飼育スペースも、まだちゃんと残っていて、オオゴマダラ(蝶)が何頭か飛んでいるのを見た。

蛹が金色で美しいのだが、今回は見あたらず。


モンハンナウのマップで見ても、沖縄本島からだいぶ遠いのが分かる(黒い足跡マークがあるのが石垣島である)。
琉球王国時代の人々は、よく帆船で島々を往来したものだ。

おやつがわりに、さっそく空港で、やいまそばを喫食。八重山そばの意か。沖縄ソバとはまた違う。

やいまそばとポーク玉子おむすび

ホテルは、港にある離島ターミナルの付近にあり、空港からバスで離島ターミナルへ移動し、徒歩ですぐ着いた。

石垣島は八重山諸島を結ぶ水上航路の拠点になっていて、離島ターミナルから、西表島や竹富島などに行く小型高速船がいくつも出ている。

バス路線の始点・終点にもなっているので、滞在中は何度も訪れることになる。覚えておくと何かと便利だ。


巨大なオオシャコ貝の化石。今は島の付近にはいないが、化石がとれるらしい。

シャコガイの類は、体内に褐虫藻を共生させ、光合成による栄養で大きく育つ。面白い貝。海底に落ちているか、岩の間に埋まっていて、動かない。

オオシャコガイはこの辺りではほぼ絶滅しているというが、発掘された殻は町で何かと見かけるので印象深い。

これは旅程最終日の画像だが、石垣港離島ターミナルの玄関。ちゃんとシーサーが二頭乗っている。


ホテルの屋上から石垣港を見る

大晦日だが、さすが亜熱帯だけあって、長袖一枚で十分過ごせる気候だった。昼間で晴れていたら、半袖でもいける。

着いたのは夕方で、さすがに疲れを感じた。荷物を置いて一休みしたら、市内にでて夕食をとった。

コンビニもあるし、泊まった近辺は居酒屋や八重山そば屋が多かった印象。声をかけられた小さな居酒屋にて夕食。

ゴーヤーチャンプルー

何度食べても良いものだ。

ぐるくんチャーハン

沖縄の県魚、グルクンの入ったチャーハン。しっかりした白身魚で美味しい。


シャコガイ類のお刺身

初めて喫食した。貝の香りが濃厚で美味しい。こりこりした歯ごたえも楽しめる。シャコガイの何という種類なのかはそのうち調べたい。
外套膜に蛇の目模様があり、これが褐虫藻の共生している姿か、と思った。

殻が置いてあるしめ縄のようなリングは民具だと思うが、名前をメモし忘れてしまった。
食後にコーヒーでも飲もうと思ったが、見あたらなかったので、コンビニでキノコの山と缶コーヒーを買って部屋に戻る。


夜はビアガーデンになっていた

ホテル屋上は、夜間ビアガーデンになっていて、22時まで飲み物や軽食を楽しめた。
当地の人々にとっては寒いそうで、客は私ひとりだった(笑)。

夜景も眺めがよく、炭酸水と、(普段は飲酒しないが)泡盛の水割りを味見した。いい大晦日だった。

●2日め

あけて2024年1月1日。
初日の出を拝むため、早起きしてホテルの屋上へ。
あいにく、曇天のため見ることはできなかったが、朝食のお手製おむすびとお吸い物が美味しく、良い新年を迎えた。

八重山文化テーマパーク「石垣やいま村」を見学。
当地までは、路線バスで小一時間ほどで、行きやすかったように思う。以前、本島北部でヤンバルクイナを見にいったときは大変だった(笑)。

石垣やいま村は、島の古民家や民具、水牛、リスザルやカンムリワシといった動物たちを見学できる、日本最南端のテーマパークである。

水牛は八重山諸島の観光地でよくみかけて、水牛車にのってのんびり観光したりできる。
いつごろ沖縄に水牛が持ち込まれたのか調べると、1930年代らしいのだが、昔話に水牛が登場することもあり、よくわからない。そのうち調べたい。

琉球王国時代の見張り塔が復元されていた


アンパル塔からの眺め。異国の船を発見すると、王府に連絡したそうだ。他の島でも見張り台の遺跡を見たことがある。中継貿易の拠点となり、各国の船が往来した琉球王国らしい。


漁師の家として展示されていた古民家。海亀や漁具が置いてあるのが面白い。

園内はじっくりみたら数時間はかかるだろう。
展示されている民家も幾つかあり、民謡ショーも行われている。

赤瓦の屋根は、王国時代、庶民には許されていなかったというから、「琉球ゆうこや」の君手島では、身分の高い役職の人々の家のみ赤瓦を葺いている設定。ふつうの村人がすむ家は、茅葺きの掘っ立て小屋である。

ハリセンボンで鼠返しを作っている。面白いですね。囲炉裏の上に下げていたらしい。

こういう民具を見ると、なぜかわくわくしてしまう。工業的に大量生産されたアイテムではない、手で作った品物だけに囲まれて人々が暮らしていた時代があったのだなと。

沖縄に限らず、各地にこういう郷土資料館や博物館はあり、昔の民具や民家を展示していたりする。

見学すると、ファンタジー創作の参考になるだろう。
SFでも、ハイテクが失われた植民惑星では、原住種属がこういう民具を作って暮らしているだろうから、参考になる。民具の素材となる植物や動物も考える必要があり、クリーチャーデザインは、文化人類学的アイテムのデザインにもリンクするのである。
拙作では三龍戦騎RPGなどで試みたアプローチだし、映画「アバター」シリーズがその辺り、とても上手い。

ムーチー

園内にある喫茶店で、ムーチーとコーヒーを頂いた。
月桃の葉に包まれた餅で、香り高く、美味しかった。厄払いの縁起物としてこの時期に食されるという。これは紅芋いりバージョンで紫色をしているが、他にも黒糖入りなどもあるとか。
首里の昔話で、鬼退治に使われた餅がその由来で、鬼餅とも書くそうだ(本来、八重山の伝承ではないようである)。
余談だが、この鬼退治の昔話は、大人向けバージョンでは色っぽい場面もあり、調べると面白い。

いい情景ですね

などと園内を見学し、ついにカンムリワシのよんなー君に拝謁。
特別天然記念物であり個体数が少ないのだが、車道でエサをとったりしているときに自動車にはねられてしまうことが多いという。
島内では気をつけて運転したい。

よんなー君もまた事故にあって飛べなくなり、ここで終生保護されている。
立派な猛禽類という印象で、終始おとなしくしていた。翼が乱れているのが、事故にあった箇所だろうか。


カンムリワシのよんなー君

カンムリワシは、驚いたりしたときなどに頭に冠のように羽を広げるため、その名がある。
島では様々なカンムリワシ・グッズが見かけられ、警察のマスコットキャラのような立像も道路で見かけた。
西表島のイリオモテヤマネコ、石垣島のカンムリワシ、といったところか。
「琉球ゆうこや」でも、ヤマネコとカンムリワシをモチーフにしたNPCが登場していますね。

保護活動が成功し、また個体数が増えることを祈りたい。


名蔵アンパルのマングローブ

やいま村には海岸のマングローブ樹林を見学できる遊歩道もあり、足を濡らすことなく、散歩できる。

朝は曇っていたのに、昼頃からは良い天気で、汗ばむようであった。

マングローブは、熱帯の汽水域に発達する複数の樹種で構成された森のことで、多様な生物が棲む。

石垣島には、名蔵アンパルという広大な湿地帯があり、このマングローブもその一部である。名蔵アンパルは渡り鳥が立ち寄る湿地帯として重要で、ラムサール条約登録地でもあり、今回見学できて良かった。

多くの生物が暮らすマングローブなどの湿地を守ることは、ひいては、隣接する海や山の生き物の多様性を維持することにもつながる。
目の当たりにすることで、改めて重要性を認識した。

遊歩道の上からでも、大きなキバウミニナやシレナシジミといった貝類が見えた。そのうち、ノコギリガザミなども見てみたい。


↑この写真では伝えきれていないが、イシガケチョウの羽には、繊細なペン画のような線が入っていて、美麗であった。

誰もいない車道を、海に降りる入り口をさがして数km歩いていると、傍らにしげった森でひらひらと蝶がたくさん舞っていて、幻想的だった。
都会の感覚だと1kmぐらいなら歩くか~となるが、海岸近くの道だと途中に喫茶店や自販機がないため、準備していないと疲れる。要注意。
レンタカーを運転すれば楽なんだろうが、私は運転しないので。十年以上運転していないのに、初めての土地で初めての車を運転するのは危ない気がする。

名蔵アンパルの雄大な光景

ようやく車道から海岸に通じる抜け道をみつけて、浜辺を見学。
ここにもマングローブの木々が生えていて、透明な浅瀬がひろがっていて、綺麗であった。
たしかに鳥も見かけたが、遠くからこちらをみつけて逃げてしまうので、種類は分からず。都会の鳥とちがって用心深い。

↑やいま村に併設されているレストランにて喫食したお昼。
汁物は雑煮ではなく、豚のもつ入りで、沖縄らしさを感じる。白味噌仕立てで、美味しかったですね。


夕方、ホテルのある港付近へ戻り、離島ターミナルを見学していた。
多くの船が出入りするさまは、宇宙基地のようで、わくわくする。
今回も西表島などに行きたくなるが、がまん。

バスで空港方面にもどり、白保海岸も少し歩いた。転石の多い海岸で、ビーチコーミングをするかんじでなかったが、海は綺麗だった。

行く途中、集落の茂みから、いきなりシロハラクイナが飛び出てきて感心した。こんなに身近にいるのか。
注意すると、空港の土産物店でも、少しだがシロハラクイナ・グッズがある。帰りがけに箸置きを買った(笑)。

夜、町で食べた石垣牛ハンバーガー。美味しかった。このあと河岸をかえ、八重山そばも食べた。この日は食べ過ぎたな(汗)。


夜の港町。泊まった辺りは居酒屋が多かった。


最終日、石垣空港で喫食した牛丼。

1月2日最終日、空港で食べた石垣牛のどんぶり。美味であった。
このあと羽田空港に降りたのだが、数時間差で例の海保機の事故があったので、後でおどろいた。

●第1回見聞録2015

かつて旅行記を載せていたブログが消えてしまったので、2015年に石垣島を訪れたときのことも再録しておこう。

このときは、八重山の島々を見学するのが目的で、石垣島は離島航路の拠点としたのみであり、あまり見学できなかった。
おもに竹富島、西表島を見学した。

2015年5月6日、石垣島に着。
午後、タクシーかバスで、川平湾を見学。景勝地として有名な海岸。
ビーチコーミングすると、イソアワモチが多かった気がする。
海岸の近くにある食堂で、ポーク玉子定食をお昼に喫食した記憶が。スパムと卵の定食で、良い。



5月7日、竹富島へ。
石垣島の離島ターミナルから、高速船で10分ほど。
昔ながらの琉球の風景を残した島で、なんとも風情があった。水牛の引く車に乗って、のんびり観光した思い出がある。
琉球ファンタジーを書くなら一度は行きたい。



八重山諸島は沖縄本島から400km以上はなれていて、琉球王国の統一前は別の勢力圏だった。
このへんの多面性というか、王国内部でも一枚岩ではなく、多層構造があったことは意識しておきたい。(島の英雄、オヤケアカハチの像を見学できなかったな……!)
東京と大阪と同じぐらい離れているので、文化的に違うのも当然だろうな。広大な海域に、多様な勢力圏の島々が点在しているのも、琉球王国の魅力といえようか。
琉球ファンタジーを創作するさいは、統一前の年代のほうが面白いかもしれない。設定は複雑になるが……。

集計したわけではないが、八重山の昔話だと、王府に対して批判的といおうか、王や役人が悪役で登場する率が高い気がする。
これが本島の昔話だと、王様がきさくに、困っている人を助けてくれたりする印象がある。

5月8日、西表島および由布島へ。
離島ターミナルから40分ほどで、かなり大きな島影が水平線に見えてくる。西表島は島のほとんどがジャングルに覆われており、豊かな自然が見どころ。島内には、陸路では行けず、船で行くしかない集落もあるとか。

以下2点は石垣島の離島ターミナルの画像。ちょっと2024年とは違う気がする。この後、改築したのだろうか。

西表島では、マングローブ見学ツアーの船にのって、仲間川を遡ってマングローブを見学した。

エンジン付きの小型船が2隻すれ違えるほどの大きな川で、巨大なマングローブ樹林のスケールに驚いた記憶がある。
日本国内とは思えない雄大な光景であった。
最後は船を下りて、マングローブの中を歩き、サキシマスオウノキの巨木を見学させてもらった。今も残っているとよいな。

イリオモテヤマネコは目撃できず。ガイドつき夜間ツアーに参加しないと難しいかもしれない。
当時、バスはもちろん、タクシーの数も少なかったし、運転しないものにとってはルート選択が悩ましかった。なにしろ信号機が島に1つだけだった。


タクシー移動だと、運転手さんから、現地のお話を聞けるのが面白い。

去年の話だが、本島北部の島をタクシーで見学していたとき、突然「あんたアレを見て行きなさい」と言われて降りると、女神アマミキヨをお祭りしている祠があった。何も私の興味や取材対象を語っていないのに、なんと適確な助言なんだ……と感動したこともあった。

西表島の隣に由布島という島があり、干潮時、水牛車にのって浅瀬を渡っていくことが出来る。
水牛に引かれた車の中、水平線をみながら、御者さんが三線で奏でる沖縄民謡を聴いたのは思い出深い。ファンタジー的な情景であった。

待っている間、干潟でハクセンシオマネキ(亜種のオキナワハクセンシオマネキか?)を見かけた。良い。

オオゴマダラは、その後、「琉球ゆうこや」で、ハベルのNPC「綾カチベー」のモチーフにしましたね。
このシレナシジミは、マングローブツアー船上で見せてもらった模型。先に書いたとおり、2024年、泥に埋まっている本物を見て感激した(笑)。

5月9日、石垣空港から帰路へ。

余談
このころの三龍戦騎団の頒布物概要。
人外娘TRPGゼノもーふ! が主な頒布物だった時期だな。

宇宙SFまんが「哨戒艇208」もある。70ページあり、同人漫画としてはそこそこのボリュームだった(笑)。
彗星核を改造した巨大宇宙船が舞台で、この画像は、TRPG「永遠なる星のトランセンダーズ」でも流用した。


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