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高校1年、学校に向かうバスの中。雨降りだったあの朝

特別な事など何もない、普通の朝だった。月曜日だったかも知れない。雨降りで、やや肌寒い朝。着慣れない制服の上に紺色のレインコートを羽織っていた。黒の重い学生カバン。きっと自分は憂鬱な顔をしていたと思う。

入りたい学校では無かった。第一志望が不合格だった。周囲からも合格するだろうと言われていたし、自分もそう思っていた。不合格だって事実を中々受け入れられなかった。

志望して入学した訳ではない学校。その上、その学校は第一志望の学校の立地的に直ぐ近くなのだ。通学のバスの中、イヤでもその第一志望校のキラキラした生徒が眼に入る。

入学が決まって、急いであつらえた制服。昭和30年代から変わらない、全く洗練されないデザインのもっさりした制服。こんなダサい制服💢とそんな制服しか着られない自分。その上、学校入学時に揃えることが決まっていたレインコートも、自分の好みのデザインの物がなくて、それも気に入らなかった。

何もかもが意に染まず、思い通りでない今の自分。雨で憂鬱な通学バス。濡れた傘を手に持ち「自分はこんな入りたくなかった学校に3年間も通うのか」と思うと本当に気持ちが暗くなった。

学校に着いて教室に入っても、まだ気の合う友だちもいなかった。入学してまだ数日で、教室の中もまだ少し緊張感のある様子だった。

バス通学の毎日にこれから慣れるのだろうか。ちゃんと無事に3年間通学出来るだろうか。一抹の不安と憂鬱感と。


春先の雨で肌寒い日は、あの50年近く前の何でもない雨の憂鬱な通学バスの中の気分を、つらつら思い出す。



↓かぼちゃの形の小物入れ。東南アジア製の漆塗りの製品です。


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