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聖歌隊のソリストとして評判の修道士/グレッグ レイク (ELPに関するごく個人的な見解)

ELP(エマーソン レイク&パーマー)聴きまくりの数日を過ごしてた。キエフの大門にはまってから、その他のELPが聴きたくなり、家にいる時はずうっとリピートしっぱなし。リリースされて約50年経って、ようやく聴く耳を持ったワタシです。

アルバムを全て聴いた訳でもないし、今更こんな昔のアーティストのことを書いてもどうだか、という気もするがどうしても書きたくなったので書いてみる。


ELPの音楽の魅力って様々あるだろう。まずエマーソンの先鋭的で攻撃的とも言えるキーボードプレイなくしてELPの魅力は語れない。スピード感のある楽曲と曲の山場に向かって3人それぞれのプレイが重なって盛り上がって行く高揚感。さらにクラシックの曲をベースにした重厚なサウンドにグレッグレイクの歌が乗った時。

私は美しいメロディラインにレイクの歌声が重なった時、一番聴く者の心をつかむような気がする。パイプオルガンの響きに似たエマーソンのキーボードとレイクの声が重なると心を鷲掴みにされ、揺さぶられるような感覚になる。ただの個人的な好みと言えばそれまでだし、讃美歌とか宗教音楽を好んで聴いていた時期があるのでそのためかも知れないが。

ウィキペディアのELPのところを読むと、レイクのミュージシャンとしての持ち味は書いてあるけど、ヴォーカリストとしての魅力には一切触れてないんだよね。そこに言及してないのは解説としては片手落ちじゃないかと思う。

ELP のサウンドのやたらと大仰で派手な音作り、これも好みが別れるところだろうと思う。まずもってこんなにゴテゴテと装飾的な音作りにする必要があるのか。もっとシンプル&ストレートに直接的にパフォーマンスすればいいではないか、とも思うが多分、これまでにない実験的な新しい音を追求しているうちにこうなったんだろうね。

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ELPとかイギリスのあの当時のロックバンドの曲作りは「クラシックコンプレックス」的要素が強すぎるんじゃないか、と言ってる人の意見がある。確かにそれは当っていると思う。クラシックなんて下敷にしないで正々堂々と真っ正面からロックで勝負しろ!って言うのは至極もっともな意見だ。もちろんそうなんだけどね、でもクラシックのメロディに乗ったエマーソンのキーボードもレイクのベースもパーマーのドラムプレイも恐ろしく魅力的に聞こえるのだ。そしてそのメロディラインに乗ったレイクの歌声は教会建築の高い天井から降り注ぐ神の祝福のようだ。(ちょっと褒めすぎだな)

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私は妄想する。中世の修道院で共に暮らし宗教音楽や聖書の研究に打ち込む3人の若き修道士の姿を。

美声で名高い修道士レイクは領主の庇護を受けるほど。その地方で有名であった修道院でのミサには多くの領民が訪れる。貧しい農民もミサの日だけは晴れ着を着て僅かな蓄えの中から寄付に応じる。それだけその教会の音楽はその領地の人々を虜にしていたのだ。

ミサに訪れた農民たちは、天井の高いカテドラルの教会建築の中に響き渡る讃美歌とオルガンの響きに日頃の労働の疲れも苦しくひもじい生活も忘れ、感動で涙するものまでいる。そしてまた天才的テクニックのエマーソン修道士は、あまりの飛び抜けたその演奏技量に「悪魔が取り憑いたオルガニスト」とまで噂された。

修道院という限られた空間の中で、熱心にオルガン演奏の可能性や讃美歌の曲作りに励む3人。天上へのあこがれと祈りの日々。3人は共に切磋琢磨し、音楽や主への愛を情熱的に語り合う。

時に斬新すぎる演奏や音楽解釈に古い価値観の老修道士と意見のぶつかり合いもしょっちゅうであったが、ミサに訪れる民衆の支持は圧倒的で、修道院の重鎮たちも沈黙せざるを得なかった。そんな毎日を過ごしていた遠い昔……。ああ「薔薇の名前」の世界だわ。原作は読んでないけど。

*修道院併設のカテドラルに一般庶民がミサに参加出来るのか?その辺りの詳しいことは不明です。私の妄想を書きました。

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↑家にあった「薔薇の名前」関係の書籍。ダンナの蔵書。


自分は高校時代はミッション系の私立の女子校で3年間を過ごした。毎日の礼拝がだるくてクソつまんなくってイライラしていた。いい大人が「主の御霊が……」なんて言っていると「バッカじゃないの?!」とさえ思っていた(爆)無益な時間を過ごしたとずっと思っていたし、こんな学校にしか入れなかった自分に対しても悔しさが募った。

卒業式が終わった直後、毎日の礼拝で使っていた聖書を校内のダストシュートに投げ捨ててきた罰当たりな女だ。だがそのミッションスクールの礼拝経験が、自分のわずかな素養の一つにもなっているのかもしれない。映像や絵画で見知ったヨーロッパの教会や修道院の生活と、現代でもキリスト教的な考え方を下地にした生活が根付いている様を多少なりとも想像出来る。20代の頃に行ったフランスやイギリス、ドイツの教会建築の素晴らしさやオルガン演奏に感じ入り、仮にもこんな文章が書けるのだから。

グレッグ レイクもキース エマーソンも、すでにこの世の人ではない。私が今聴いているのはすでに半世紀も前の音楽なのだ。時代の波にさらされながらも、こうして今を生きる人の耳に届いて心を打つ。


天にまします我らの父よ。
ねがわくは御名〔みな〕をあがめさせたまえ。
御国〔みくに〕を来たらせたまえ。
みこころの天になすごとく、
地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧〔かて〕を、今日も与えたまえ。
我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、
我らの罪をもゆるしたまえ。
我らをこころみにあわせず、
悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、
限りなく汝のものなればなり。



3人が共に暮らす修道士でレイクが讃美歌の歌声の美しさ、エマーソンがオルガンの名手だとすると、パーマーの役割は何だろう?(笑)讃美歌で打楽器って使ってたのかな〜???



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