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シャブリ不撓不屈03/シャブリ村のAOC

シャブリワインは、二つにセグメントで切ることができます。
①ひとつは「左岸」か「右岸」か
②グランクリュを頂点とする4つのクラスター。
後者のクラスターは、左岸・右岸に散らばっているので、この二つは違う視点からのセグメント分けになります。
一見すると前者のセグメントは無用に思えます。しかしスランSerein川を挟むこの二つのワイン畑は左岸・右岸で作られるワインが全く別物と言ってよいほど違うのです。
最大の原因は南面しているか否かです。日照時間もそうですが、冬雪深い同地では、雪解けは必ず右岸から始まります。これが葡萄の木に大きな影響を与えます。右岸は豊潤なワインとなり、左舷は怜悧なワインとなる。原則的ですが、これが左岸右岸の特徴です。
特に、同地域でもっとも古いワイン畑があるグランクリュ地域では、それが著明です。シャブリ地方のワイン畑は、シャブリ村に隣接するスラン川の対岸グランクリュで始まり、次第に周辺地区に広がっていったものでした。

②のクラスターですが、
a)グランクリュ
b)プルミエクリュ
c)AOCシャブリ
d)プティ・シャブリ
の4つのクラスターです。
成立年はa)が一番古く、b)c)d)と続きます。
価格的にもa)が高く、原則的にb)c)d)と続きます。
この四つの地域については、図を添付したのでご覧ください。
同時に生産量についても添付しましたのでご覧ください。

このb)プルミエクリュについて語る時、この地方が太古には海だったためにに牡蠣などの貝類の化石を多く含んだキンメリジャン土壌で、それがワインの風味に大きく与えるという説明がされます。いうまでもなくこれはプルミエクリュだけではなく、同地全体の特性です。もちろん場所によっては例外は有りますが、原則的には何れの場所もキンメリジャン土壌を含みます。わざわざ寄ってその場にプルミエクリュを起こしているわけではない。ただ単に成立時期でのクラスター分かれです。

何れも使用するセパージュはシャルドネですが、プティ・シャブリにはアリゴテを混ぜて使用しているものがあります。アリゴテは嫌われる事が多い葡萄ですが、実は中々実力のある個性的な葡萄です。僕は好きです。
ところで、シャブリ=シャルドネという図式ですが。実はこれが確立したのはフィロキセラ渦以降でして、わりと(70年程度)最近の話です。たしかにシャルドネの使用は早くから行われていましたが、すべての生産者がそれを使用していたわけではない。なぜシャルドネが使われるようになったのか。その話も興味深いので後述したいと思います。

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無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました