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江戸と東京をめぐる無駄話#15/おつもり

事業の成功は、沢山流された血と汗と涙そして少しの僥倖から為される。
明治政府もそうだった。
ド田舎の下級武士と貧乏公家の集団が、外国人から受け取ったお金を梃にして「革命政府」を起こせたとしても、なぜフィニシュまで辿り着いたのか?なぜ崩落しなかったのか?
その時代的背景と、彼らが流した血と汗と涙と、そして天より得た少しの僥倖を僕らは「維新」を見つめるとき、意識する必要があります。礼賛すべきではない。醒めた視線で見つめるほうがよろしいと、僕は思います。

さて。今年に入って長々ダラダラ続けてきた「江戸と東京についての無駄話」もそろそろ「おつもり」にしたいと思ってます。
・・あ、おつもりってぇ言葉。
忘れないうちに書いちゃおう。いつも書こうと思ってるうちに忘れちまう(^o^;;

「おつもり」という言葉なんですが・・なるほどと思ったのは勝どきにあったオフクロの店に寄った時でした。
以前にも書いたけど、オフクロは父が逝った後、銀座でホステスをやって僕を育てた。そして独立して勝どきの梺でBarを始めた。これをある日突然「小料理屋」に替えた。びっくりして理由を聞くと「もう草臥れてきたからね、一人でできる商いに替えたんだよ」と言った。ところが、オフクロの割烹着姿だがなかなか様になってた。この間までドレスだったのに・・百年も馴染んだ狆ころみたいにハマりきっていたんだ。
そのころ僕はほとんど日本にいなかった。ときおり戻ると、オフクロの店に寄った。
あるとき・・大繁盛の店に寄った。
オフクロは一人で切り盛りしてるんで、営業中には原則洗い物はしない。よほど忙しかったんだろうな、グラスやお猪口が洗い場から溢れて、調理台の上も並んでいた。僕が店に入るのを見ると、オフクロが客に言った。
「そろそろいい加減におし!おつもりだよ」オフクロの視線は積まれた食器に向いていた。
あ。おつもりってぇのは「お積もり」なんだな。そのとき思った。
その時、常連さんなんだろう、こう言った。「いいだろ。もう少し。洗い物手伝うからさ。」
「冗談じゃないわよ。触らしてたまるか!だわよ。洗い物したかったら、洗い物させていただき代、払わせるわよ。ウチはね、アタシの手を握ったらオニギリ1個3000円で勘定につけてる店なんだからね!」
客が笑った。

かくのごとく散らかったモノが積もったから、おつもりなんです。
江戸と東京の話も散らかりすぎたので・・そろそろ「おつもり」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました