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パリ・マルシェ歩き#07/マルシェ・デ・ザンファン・ルージュMarché des Enfants Rouges02


常設屋内型マルシェ・デ・ザンファン・ルージュMarché des Enfants Rouges (39 rue de Bretagne, 75003; Open Tuesday to Saturday 8:30 to 19:00 and Sunday 8:30 to 14:00)は、ざっとみて12の店舗に分かれている。

Le Traiteur Marocain/モロッコ料理のタジン、クスクス、その他の伝統料理。
Chez Alain Miam Miam/美味しいサンドイッチとガレットがいい。
La Végétalerie/ベジタリアンとビーガンの専門店。
L'Estaminet des Enfants Rouges/ダイニングエリアがある。フランス料理のビストロ。
Italian Delicatessen/生パスタ、ラザニアといったイタリア料理の店。
日本のお弁当/最近増えてきた日本風お弁当や日本料理の先駆。
Le Traiteur Libanais/メッゼ、ケバブなどのレバノン料理。
Stand de produits biologiques/近郊で生産された有機野菜や果物がメイン。
Fromagerie/幅広くフランス産チーズを取り揃えている。
➉Poissonnier/魚介専門
Boulangerie/焼きたてのパンやペストリーがあります。
Magasin de fleurs/古くからある花屋さん。
ぐるっと回って買い物を済ませると、だいたい2時間はかかる。午前中に訪ねて、買い物の後に市場内にあるレストランでランチをするというのがスタンダードかな。我が家は大体そのコースで、食事のあと一度アパートへ戻って、荷物を整理した後、また出かけるというパターンが多い。

マレ散歩は、アーカイブ通りRue des Archives/ヴィエイユ・デュ・テンプル通りRue Vieille du Temple/テュレンヌ通りRue de Turenneを目的もなく歩くことが多い。見たことのないブティックに入って、小さなカフェに入ったりする。嫁さんがお気に入りなのはMusée Carnavalet-Histoire de Parisに向かうフラン・ブルジョワ通りRue des Francs Bourgeoisで、どの道を歩いていても最後は此処にきてしまうことが多い。
となると寄り道するカフェは⑬Le Loir dans la Théière(3 Rue des Rosiers, 75004 Paris)、Rue des Francs Bourgeoisの傍にある。
http://leloirdanslatheiere.com/
あるいは⑭Carette(25 Place des Vosges, 75003 Paris)僕は後者が好きだ。
https://www.facebook.com/CarettePatisserie/?locale=fr_FR
つい最近見つけた⑮Café de la Perle(78 Rue Vieille du Temple, 75003 Paris)も良い。
https://cafelaperle.com/
もうひとつデリを併設した店で⑮Maison Plisson(93 Boulevard Beaumarchais, 75003 Paris)というのがある。夕食の総菜を買い物してから此処でお茶するというのもアリだね。
https://lamaisonplisson.com/

くたびれた脚をLe Loir dans la Théièreでお茶しながら休めた。
「孤児がそんなに沢山い所なんて、想像できないわね」嫁さんは赤い服を着させて子供たちに喜捨させたことが相当ショックだったらしい。
「今の感覚で福祉を考えるべきじゃないだろう。公共の福祉が滞りなく機能し始めるのは20世紀に入ってからだ。産業革命を待たなければならない。それまでの福祉は教会や裕福な人々がやってる慈善団体が中心だ。マルグリット・ド・ナヴァルMarguerite de Navarreによるアンファン・ルージュ病院Hôpital des Enfants Rougesがまさにそれた。たしかに彼女は王族だが、公費を使ったわけではない。彼女の私財を使った範囲だ。共感する何人もの富裕者はいたが、そこまでだな。

たしかに産業革命は人類のポテンシャルを一気に押し上げた。しかし結果として都市部は、商人でもない職人でもない農夫でもない、今まで存在しなかった『労働者』と云われる人々が急速に台頭し膨れ上がったんだよ。云ってみれば彼らは既存として在った商人/職人/農夫からはみ出した人たちだった。労働力の流動化な」
「ええ、あなたがよく言うリンカーンの奴隷解放の本当の目的のこと、でしょ。黒人たちを奴隷解放することで、アメリカの北部に有った工場は厖大な労働力を得て、アメリカは強大な国家へ進化した・・あのことでしょ」
「ん。労働者という人々を産み出したのは、間違いなく産業革命だ。産業革命はいずれの地区でも都市部近隣の工場から始まっている。雇用は都市部に近いほうが容易だったからね。だから、その結果として労働者と呼ばれる人々が都市部の過密なスラム街を産み出していったんだ。パリでは、そのひとつがマレ地区だった。彼らは一日の半分以上働き、賃金は低かった。
買い手と売り手の原則だな。売り手が多ければ給与は下がる。ようやく住環境を保全し公共衛生を高めることが、労働効率をよくするということに資本家たちが気がついたのは19世紀末からだ。社会保障制度がフランスでも導入されたのは、ドイツのドイツのビスマルク体制下で導入された社会保険制度が驚くべき効果を発揮したからだ。
義務教育制度が導入され、次の労働者を確保するための整備が確保されると、はじめて『福祉』という考えが生まれ始めるんだ」
「すべては産業革命から・・ということ?」
「ん。いかに19世紀に起きた鉄と蒸気を使った技術が人類に甚大な影響を与えたかが良く分かる。
いま僕らは『新しい機械の花嫁』を手に入れた。汎用電子計算機だ。
人類は三つの能力『類推力・判断力・決断力』を持っている。これらを駆使するには『記憶力』が必須だった。20世紀に生まれた汎用電子計算機は『記憶力』を大きく補助する。そして所謂電子的な構文力が『類推力・判断力・決断力』の補助もするようになった」
「なんか難しい話になっちゃった」
「この新しい産業革命が、人類に何をもたらすか・・まだ誰も分からない。分かるのは、今世紀半ばから人類は今までとは違う道へ進むだろうということだ」
「でも・・結局変わるのは産業なわけでしょ?食も音楽も芸術も消えたりはしないでしょ?」
「ん。そうであってほしいと思う」
「コンピュータがどんなにお利口になっても、美味しいや美しいは変わらない・・そうでしょ?」
「ん」

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました