【随筆】 ホタル
故郷の友からホタルが届いた。
包みを開けるとシダの葉の上に身動きもせずにいる。
「生きているの」と声をかけ、
箱の中ではかわいそうだから外へ放そうと言うと、
息子が「どこへ。川が汚れているよ」と言う。
山里の清い水の所から、ここへ嫁いで来たホタル。
仕方ないよ、と庭へ放すと、
おぼろげに光り飛ぶ姿に孫と拍手をしながら窓越しに見つめていた。
どんな時も生きようとする小さな命に感動した。
がん患者の私に生きろと言ってるみたいだ。
ありがとうホタル。
私頑張るよ、そして送ってくれた友に感謝した夕暮れのひとときでした。
この随筆はがん闘病中の祖母が趣味で始めたもの。
決められた文字数で、祖母が見たこと感じたことを綴り
できあがった随筆を新聞社へ投稿しては
掲載作品に選ばれるのを楽しみにしている。
祖母の随筆は思わずクスッと笑ってしまうような微笑ましいものから
ふと考えさせられるものまでさまざまだ。
そんな祖母の随筆を好きなときに読めるよう残しておきたい
そう思ってnoteに少しずつ投稿している。
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