生き写しバトル (毎週ショートショートnote)
玄関を開けると黒ずくめの男が二人立っていた。
「ドッペルゲンガー協会から来ました」
そう名乗り、菓子折りを私に差し出す。
「この度はお父上が大変な目に……」
「なぜそのことを?」
父は先日、突然の発作で命を落としていた。
「じつはうちの血の気の多い若いもんが、生き写しバトルをやりましてね」
「生き写し…何です?」
「どちらがドッペルゲンガーとして優秀か、お父上で競ったのです。死の前兆であるドッペルゲンガーを二人同時に見てしまい、うっかりお父上は即死を」
なるほど、そういうことか。
持病ひとつない父にしてはおかしいと思っていた。
「腹立たしいけど、もういいです。父も回復しましたから。お帰りください」
そう、一度は死亡宣告されたものの、父は奇跡的に息を吹き返したのだ。
「そのことなんですが」
もうひとりが別の菓子折りを差し出した。
「三途の川協会の者です。じつはうちの血の気の多い若いもんが生き返りバトルをやりましてね、うっかりお父上を生き返…」
「もう帰って」
(418文字)
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