短編小説　りあみつる

　皆さんはりあみつるという組織をご存知だろうか？世界中に構成員を持つ彼らの全容は公安はおろかCIAでも正確に把握していないという。彼らの悪質性は現在多くの国の法律では罪に問えない点とボスを頂点としたピラミッド型の組織ではなくそれぞれがまるで脳神経の様にお互いに結びつき秩序の中で活動する組織であるという2点である。つまり彼らは特定のボスを捕まえて活動を停止する組織ではない上に、そもそも逮捕に至る法的根拠が現状存在しない。完全に野放しであるが故に我々は自衛の手段を持つことが求められる。

　日本におけるりあみつる構成員の数は警視庁の推定で1000万人。一度でもりあみつると関わりを持った人間を構成員に含めるならばその数倍はくだらないという驚愕の数値が叩き出された。これは他人事ではない。貴方の職場、学校、そして悲しいことに家族が、りあみつるの構成員である可能性を示唆しているのである。

　自衛の手段として最も有効なのはインターネット、とりわけSNSを極力使用しないことである。SNSでの活動はりあみつるが最も得意とし、それでいて最も我々の精神を蝕む攻撃性を秘めている。彼らは友達なる架空の生き物と河原でバーベキューを行ったであるとか、彼氏彼女役のさくらと花火大会へ行ったであるとか、恐ろしいことに子役まで雇い自分の子供が初めて「ママ」と言った等といかに自分が幸せであるかを猛烈にアピールしてくる。これほど明確に我々への敵意と攻撃性を剥き出しにしておきながら、警察でさえりあみつるの蛮行を指をくわえて見ている他ないのである。

「ただの幸せアピールなら何の問題も無くね？」

　そう思った貴方は既にりあみつるの術中にハマりかけている。りあみつるの恐ろしい点は彼らの「手段」に何ら違法性が無い点である(稀に警官にケンカ売ってやったぜうぇーいｗみたいな違法性の塊もいるが)。りあみつるは一見するといい人であり、もっと言えば幸せ者に見える。詐欺師と一緒で表面は上手く取り繕うのだ。しかし目的は我々の価値観そのものを捻じ曲げ、搾取することにある。

　りあみつるの哀れな末端構成員の中にはこの目的を理解しておらず自らも搾取の対象となっている者がいる。私は彼らも同罪だと考えているが、しかし延々と搾取され続ける彼らを見るのも忍びない。私の説得に耳を貸す度量のあるりあみつる構成員がいるのなら、善良な市民に戻りたいと少しでも願う者がいるならば！これからする話を聞いて欲しい。

　先程軽く触れたがりあみつるの目的は「我々の価値観を捻じ曲げ、搾取することにある」と述べた。これだけでは分かりにくいので噛み砕いて説明しよう。まずりあみつるは我々を「幸せの基準やシンプルに生活水準を高く設定した価値観が当たり前であると思い込ませる事」を第一段階で行い、第二段階で「それら高水準の生活を手に入れる為の消費活動を促進させる事」で我々から金銭的な搾取を行う。

　考えても見て欲しい。SNSのプラットフォーマーは何によって収益を上げているか？･･･広告である。広告に載った商品がより多く消費される事がプラットフォーマーにとって好都合であり、そのためのいわば宣伝部長がりあみつるという言い方が出来る。最近ではAIを駆使し広告(商品)をより必要としている人間に広告を狙い撃つ事さえ可能である。簡単な例を挙げれば若い女性には化粧品の、太った男性にはジャンクフードの広告を優先して見せる事が可能だ。そしてその商品を購入しなければならない。りあみつるの様な「素晴らしい生活」を手に入れなければならないという強迫観念を洗脳によって植え付け人々から搾取を行う。時には末端構成員さえも食い物にしながらりあみつるは世界中にその魔の手を伸ばす。そこが日本か、アメリカか、中国かロシアか等は関係ない。りあみつるは世界中にその勢力を伸ばしている。たとえSNSが無くても「人並みの生活」という言葉に紛れて国ごとに我々の生活基準を彼らの手で決定する事ｇ･･･

夏休みのせいか外でリア充が騒がしい。
少し注意してくるから待っていて欲しい。