姫咲真理愛No.01の話をさせてください
はじめに
本稿はProjectMiRAGE「RosenArk」新ライバーオーディション、通称「薔薇方舟オーディション」にエントリーしている姫咲真理愛No.1の推薦文である。
概要を説明すると、これは配信プラットフォーム『SHOWROOM』で行われている新人Vライバーの公開オーディションだ。
同じ外見・同じ名前を持つ配信者の魂たちに各々番号を与え、一月ほど配信をさせてptを競わせる。そして最も適正のある者が生き残りそれ以外は姿と名前を奪われネットの彼方へと消滅…所謂蟲毒形式とか言われる催しである。
公式サイト: https://www.v-mirage.com/rosenark
主催は個人Vtuberの闇月 芽愛(やみつき めあ)……本名「†孤独の悪夢 -ナイトメア-†」
まあ簡単に言うと、とある個人Vがユニットを結成すべく共に活動する気概のある新メンバー(の中の人)を公募。そのための公募オーディションで一人の候補者にハマってしまったオタクの話を聞いてくれ~ッという記事だ。
名前:姫咲 真理愛 / Himesaki Maria
年齢:17歳
好きなもの:誰かの役に立つこと, 歌うこと大人しくて恥ずかしがり屋。胸が大きいことが、少しだけコンプレックス。闇月芽愛とは、クラスメイト。
これといった接点はなかったが、闇月芽愛が バーチャル同好会を始めるときに やや強引に誘われて、同好会メンバーとなる。
ボランティアなどの活動もしており、
クラスメイトからは"聖母"と呼ばれている。なんでも許してしまいがち。
出典:RosenArkオーディションの応募方法と注意事項
姫咲真理愛No.1との出会い
さて、前置きが長くなったが、そもそも私はこのオーディションを観測するつもりはなかった。
経験がある諸氏にはお分かりと思うが、SHOWROOMの公開オーディションとは熱く楽しい祭りである反面リスナーの精神(と口座残高)が抉られるものである。
(一万円の課金ギフトとか投げて推しが審査落ちて消滅したら超・虚無…)
この数年で何度かあの熱狂と喪失感を味わっていた私にはこれ以上己の傷を増やす気力がなかったし、キャラデザがストライクだった場合かものすごい逸材が現れたら野次馬しに行くか…という程度の心づもりだったのだ。
そんなわけで2020年7月上旬、キャラデザお披露目とオーディションが始まったことは耳にしていたが、その時点ではあまり興味を惹かれることもなかったため、特に候補者の配信を覗くこともせずスタダ(お試し配信期間)が終わり、そして予選が始まった。
(余談であるが私はキャラクターデザインを担当されているあらへなす氏の大ファンです。)
7月17日からの予選が始まり、確か最初の週末の深夜だっただろうか…
午前一時過ぎ、なんとなく暇だったので星集めがてらSHOWROOMを開いて偶然入ったのが姫咲真理愛No.1の配信ルームだった。
…うん、人がいない…
同時刻に配信を行っている姫咲真理愛候補者は他にも何人かいたのだが、No.1は一番視聴者が少なかった。No.1なのに…
(勝手な憶測だが公開オーディションのエントリーNo.は申し込み順に割り振られているのかな?つまり1番は誰よりも早く真っ先に申し込んだやる気満々の人なのかな?という想像をしている。全然違ったらゴメン)
こういう時は黙って入って星だけ貰ってさっさと出るに限る。
初めて聞いた姫咲真理愛No.1は昭和のお母さんのような独特な声質で、殆ど反応のないコメント欄をさして気にする様子もなく楽しそうにお喋りしていた。
ああ~…気になっちゃうじゃん……
個人的な見解なのだが、Vtuberなり配信者なりを続けるにはいくつかの重要な資質があって、そのうち一つは「リスナーの反応が無くても楽しそうにトークし続ける力」だと思っている。
大箱に所属しているのでない限り大体の配信者は知名度0ファン0のスタートである。当然最初は視聴者が少ない。コメントはもっと少ない。リスナーに何かを問いかけても特に反応がなく、会話が弾むこともない。虚無に向かって喋り続けるだけの虚無タイムが一週間も続けば心が折れてやる気は萎むだろう。
SHOWROOMにしろYoutubeにしろ、意気揚々とデビューしたものの直ぐに活動が滞って自然消滅した配信者は山のように見てきた。
過疎っている新人配信者のルームでうっかりコメントなどをすると、ああ反応してくれる人が来た助けてくれ!と言わんばかりに必死で話しかけられ、無視するのも悪いしなあ…と同情のような義務感のような居心地の悪い思いで付き合う羽目になるのである。
(ウマが合う人だったり面白い人ならそれも楽しい出会いになるのだが残念ながらそういう偶然は少ない…)
そんなことを考えながらしばし姫咲真理愛No.1のラジオ配信に耳を傾けていたのだが、彼女は実に楽しそうである。その時具体的に何の話をしていたのかは忘れてしまったが、好きなものの話とか学校のこととか、何かについて考えたこととか、そんな他愛のない内容を適度にまとめて適度に話題を変えつつ配信をしていた。
大変失礼ながら彼女は一声聞いて惚れる美声ということもないし、いかにもアニメキャラといった演技派の声でもないのだが、ぼんやり流していて耳が心地よいのだ。
※ただし、ぼそぼそとした素人っぽい聞きづらい喋り方ということもなく、むしろ聞きやすい方である。恐らくナレーションやラジオパーソナリティ系統の声なのだと思う。
たまにコメントをしてみたり、してみなかったり…、どちらでも本人のトーンは変わらず、(…話しかけなきゃ!)(…会話を続けてあげなきゃ!)という義務感に駆られることのないゆったりとした空間だった。
姫咲真理愛No.1のルームは「昭和風なレトロカフェ」がコンセプトであり、星投げ、カウントするとドリンクや料理を注文することができる。
モーニング、ブランチ、お昼の定食、おやつに夕飯、夜食となんでも出てくる魔法のレストランだ。(※お酒は断られることもある。真理愛さんは女子高生なので)
とまあ、そんなきっかけがあり、先月半ばごろから私はなんとなく彼女の店に入り浸るようになった。
別に公開オーディションにハマっているわけではない。いいね?
姫咲真理愛No.01の魅力①「完璧なRP」
さて、Vtuberと一口に言っても様々なスタイルの配信者が存在するが、私が好んでいるのはRP勢。
RP(ロールプレイング)、すなわちキャラになりきってリスナーをその世界観やキャラ設定に没入させてくれるタイプの配信者である。
大抵「Vの中身」とかの話をされると心に怒りの炎を燃やしてしまうのがRP勢だからである。出典:VTuberにおける「RP勢」っていったい何なのさ
これは個人的な好みの問題であり善悪や正誤の問題ではない、ということを最初に申し添えておくが、自分という人間はバーチャル、二次元の世界に没頭したい…現実なんて忘れて夢の国で生きていたいタイプのオタクだ。
だから推しキャラのことは大好きだが「推しキャラの中の人」とか「推しキャラの担当声優」に関する話が不得手である。舞台裏とか大人の事情ってやつが存在することは分かっているし、全ては虚構であり芝居であることも承知しているが、目を閉じている間だけは楽しい夢を見せてほしいのだ。
ディズニーランドに行ってミッキーとハグしたいけど、ミッキーが着ぐるみの頭をすぽっと外して中からちっさいおっさんが出てきたら嬉しくない…。いやミッキーが着ぐるみであることは知ってるけどね。
繰り返すが私という一個人の好みについて述べているだけで、界隈かくあるべしという話ではない。
そのような人間からすると姫咲真理愛No.1は完璧だった。
彼女はいわゆる「メタ」をやらないのである。
意識しているのか偶然なのかはわからないが、姫咲真理愛No.1はローゼンアーク学園のバーチャル同好会に所属する女子高生である。
このイベントの主催は先輩Vtuberの「†孤独の悪夢 -ナイトメア-†」であり、エントリー者は基本的には彼女のファンから配信者を志した者達であると思われる。彼女はファンからは「メア様」「ナイトメア様」と呼ばれている。
だが姫咲真理愛No.01は自身の配信にナイトメアが訪れた際かならず彼女を「芽愛ちゃん」と呼ぶ。”姫咲真理愛”は”闇月芽愛”のクラスメートだから。
ローゼンアーク学園3年の闇月芽愛はバーチャル同好会を設立し、仮想世界で「†孤独の悪夢 -ナイトメア-†」なる支配者として君臨している(という設定)らしいが、それは芽愛のクラスメートのただの女子高生、姫咲真理愛がまだ知らない話である。
1.各候補者達は、オーディション期間中は、
"闇月アカリ"、"姫咲真理愛"として、配信を行うこと 出典:RosenArkオーディションの応募方法と注意事項
Vライバーの公開オーディションの規約は様々であり、過去には演じるキャラと役者を別の概念として扱ってよいもの、中の人の芸名を宣伝してよいものなども存在していたが、今回はそのキャラになりきって活動することという規約になっている。
この文面をどのレベルまで厳格に適用するかは解釈次第であるが、極限まで設定に忠実にRPするならば「自分がどれだけ主催者の大ファンでありいかにこの企画に熱意を持っているのかをアピールすること」や「自分がどれだけこのキャラを本気で演じたいと熱望しているかアピールすること」は何とも微妙なラインになる。
それは、箱庭の外の事情だからだ。(重ね重ねになるが単に個人的な好み・性癖を吐露しているだけであり善悪や正誤を論じているわけではない。むしろ戦略的に考えるならある程度その辺を出していって”やる気”をしっかりリスナーに伝えるべきだと思っている)
私は姫咲真理愛No.01の全ての配信を聞いているわけではないので例外もあるかもしれないが、少なくとも今まで聞いてきた配信の中で彼女が「中の人は”真理愛”ではないこと」や「実は外の世界の存在が”虚構”を演じていること」を想起させる言動は無かった。これが彼女を気に入っている一番の理由である。なんかめんどくさいオタクでごめん。
虚構を想起させる言動がないというか、姫咲真理愛No.01の話を聞いている限りどこまでが現実でどこからが虚構なのか全くわからない。
話の中に兄や祖父などの家族とのエピソードがしばしば登場するのだが、それは設定的な意味での創作を聞かせてくれてからのか中の人の実体験なのか判断が付かない。
姫咲真理愛というキャラの設定として「ボランティアなどの活動をしている」という一文があるが、No.01がしばしば話してくれる施設でのお手伝いのエピソードははたしてロールプレイなのか実話なのか…
そういえば、No.01がこの戦いに身を投じた理由なのだが、クラスメートの芽愛ちゃんに強引に誘われて放り込まれてしまい右も左も分からぬままバーチャル配信をすることになった。せっかくなのでここで勝ち抜いて継続的に活動が続けられれば、いつも通っている施設の人たちにお手伝いとして仕事を提供したり、収入を施設の運営に当てることができるのでは…(要約)というような話をしている。
これもどこまでが設定でどこからが現実なのか…(実際、彼女は酷い機械音痴でありtwitterの扱い方や配信画面のいじり方がほとんど分かっていない。どういう経緯でエントリーしたんだ…本当に放り込まれてここに来たのか…ペイントでフォントを打ち込む方法すら知らなかったほどである)(twitter見返したけど活動内容呟いてなさ過ぎていつどんな企画やってたかさっぱり分からなかったのでもう少し宣伝頑張って…)
姫咲真理愛No.01の魅力②「リアリティ」
前項の続きであるが、姫咲真理愛No.01はバーチャル配信者でありながら強烈なリアリティを持っている。
彼女はレトロ喫茶を運営していて昭和歌謡を好んでいる、というコンセプトで活動しているのだが、これらが単なる設定とは思えないレベルでよく作りこまれているのである。
予選期間中だっただろうか、夏目漱石の「虞美人草」を朗読したことがあった。
著作権の切れた古い小説をフリー公開している青空文庫は朗読配信の定番である。課金システムのあるプラットフォームで朗読企画をやろうとすると消去法でここから選ぶしかない…という状況も多いだろうが、彼女の朗読は、なんというか「リアル」だった。
恐らく読んだことがあって、話も理解していて、それなりに気に入っていて、リスナーに勧めたかったのでセレクトしたようなニュアンスの話し方なのである。
さらにはカラオケ配信の中で何かジブリの歌を謡いましょうという話になったことがあった。ジブリといえば定番は「さんぽ」とか「君をのせて」というイメージがあるのだが、彼女のセレクトは「ひこうき雲(風立ちぬの主題歌)」であった。
渋い…!というかジブリの歌でそれが出てくるの凄くね…!
そして歌い終わった後で劇場アニメ版と原作小説版(堀辰雄「風立ちぬ」)の違いについて語りだすのである。…ごめんなさい、原作読んだことないから知らなかった…
他にもマジンガーZの主題歌やら都はるみやらを歌ってからその作品や歌手について解説してくれたりそれにまつわる家族のエピソードを聞かせてくれるのである。(昔の歌は施設のお年寄りと一緒に歌って覚えたらしい)単なるレトロ喫茶”設定”では絶対に追いつけない知識量…
ちなみに大変失礼ながら歌は上手いとは言えない方なのだが、昭和のレパートリーだとなぜか突然めちゃうまになる。
姫咲真理愛No.01の魅力③「強靭なメンタル」
姫咲真理愛No.01を見ていて常々思うのだが、彼女は本当に穏やかでいつもあたたかくのんびりしている。
配信の中で怒ったり悲しんだりネガティブな言動をすることがないのである。
初見の印象でも書いた通り、予選での成績は(稼働しているルームの中では)ビリ…それも上の順位と競うようなことはなく、ずっと安定して最下位…だったような気がする…。
予選は上位6ルームが突破で、辞退などにより稼働しているルームが5つしかなかったため特に気張らなくても全員予選突破が確実だった、という状況もあるのだが、それでも初めての配信イベントでずっと最下位って多少は悲観的になったり愚痴や弱音が出るのじゃなかろうか。
No.01もそのような感情を抱かなかったわけはないと思うが、少なくとも配信で我々リスナーに対してそのそぶりを見せることは一切なかった。
本稿の冒頭で述べた「配信を続けるための個人的重要な資質」の2つ目は「平常心を保てる精神力の強さ」だと思っている。
ガチイベで劣勢になってきたときにルームの雰囲気が重くなったり配信者がピリピリしていたり、厳しいタイテの睡眠不足からくる判断力の低下でつい普段なら言わないような棘のある発言をしてしまう、他の配信者を悪く言ってしまう、弱音を吐いてリスナーの士気を削いでしまう、それが原因でリスナーが去っていく…この様な自滅現象もまたこの界隈ではしばしば見かける。
(もちろんそれも必ずしも悪い事ではなく、戦略的に使えば形勢逆転の鍵になるのだが)
初心者であれば当然そのような精神状態に追い込まれても仕方がないと思っていたが、予選も含めて今現在まで彼女はまったく平然としているのである。
このイベントは勝てないと消滅してしまうのでみんな文字通り「死にもの狂い」なわけだが、No.01だけはまるでスーパーに行ったのに牛乳を買い忘れてしまったわとでも言うべき呑気さで「困りましたねえ…」と首をかしげているのである。
一見するとやる気がないとか勝ちを捨てているようにも見えるが、恐らくそんなことはない。本戦が始まってからは1日5枠か6枠、遅刻もタイテ変更もなくきっちり予定通りストイックに配信をこなし続けている。これはもちろんNo.01以外の候補者たちにも言えることだが、スケジュール管理にしろ体力気力にしろ、それなりの根性で身体に鞭打たないと実現不可能だろう。
彼女がピリピリせずにいつものんびり迎えてくれるおかげで、こちらとしてもガチイベにしては珍しくあまり精神的な負荷のない楽しい星投げをさせてもらっている。
姫咲真理愛No.01の魅力④「なんかもう良い人」
前項の補足にもなるが、お察しの通り姫咲真理愛No.01はかなり穏健で戦闘意欲の無い優しい人である。
(正直…SHOWROOMのイベントあんまり向いてないと思う…)
個人的見解によるSR配信者に大切な資質の三つめは「(イベントで勝つことを目標とするなら)適度に空気感を煽ってリスナーを熱狂させる能力」だと思う。
その観点でいうと、うーむ、No.01はいささか難しい…。
なんというか、彼女に対しては「熱狂」というより「浸透」という推し方の方が合っているように思う。本当の行きつけの喫茶店のように生活の一部に馴染んだ自然体な存在であって、熱狂的に通い詰めるタイプではないのだ。
イベント期間中のリスナーとしてはもう少しバチバチな立ち回りをしてほしい反面、それでは彼女自身の良さが潰れてしまうのでやはりまったりやってほしい…という悩ましさがある。
以前の配信で「幽霊は実在すると思うか?」という話題になったことがあるのだが、彼女は「本当に出会ってしまったら怖いけど、それよりも成仏させてあげるために何かできることはないだろうかと考えて悲しくなってしまう…」というような話をしていた。(うろ覚えなので細部間違ってる可能性あり)
……いや、いい人だな???
幽霊を見た時に成仏させてあげようと考えるってメンタルが僧侶じゃん…
いや…その発想はなかったわ…
彼女の話を聞いていると所々でこのような「とんでもなく善人」を感じる答えが出てくることがあり、己の意地汚さを自覚してはこっそりと恥じ入るのだ。
まとめ
思っていたより長々と書いてしまったが、なぜ自分がこのような怪文書を書き上げるに至ったかということを考えると、「何が何でも勝ち抜いてほしいので力を貸してくれ」というよりは「終わってしまう前にリアルタイムでこの現象を目撃してくれないか!?」という気持ちの方が大きい。
予選終了時の段階では正直予想よりも得点の伸びが鈍く30万ptあれば勝てるかな…という予測を立てていたのだが、各ルームとも本戦が始まってからの成長が凄まじく、週末のラスト2日間を残した8/8午前4時時点で1位が53万pt、最下位4位が41万ptとなっている。ラス枠ブーストを入れると最終的に100万ptに達するルームもあるかもしれない。
「終わってしまう前にリアルタイムでこの現象を目撃してくれないか!?」
推さなくてもいいのでお時間あったら覗いてみてください(推してくれたらうれしい)
本戦は明日8月9日(日)まで!
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