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タコから学ぶ「なぜ写真を加工する時、眼を盛るのか」

今回のタイトルはタコから学ぶ「なぜ写真を加工する時、眼を盛るのか」だ。
なぜタコからこんなことが学べると言っているかというと、タコも人間のように自分の眼を実物よりも大きく見せる。つまり盛る習性があるからだ。
もちろんタコはSNSに自撮りを投稿するわけでもなければダンスを投稿するわけでもない。
だが、タコが眼を大きく見せる理由には人間のそれと似たものがあった。

今回は自然界に存在するタコが「盛る」理由から、人間が「盛る」時に眼を重視するのかを考える。

参考文献

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B00UV5GO1S/ref=redir_mdp_mobile_siteViewPreference?bsppEnabled=false&bsppEnabled=false&pc_redir=T1&ref_=nodl_

この本について何個か記事書いてるので良ければご一緒に

https://note.com/mikawa_chan/n/na95f4133a1bb

https://note.com/mikawa_chan/n/n0573e7b961c9

・タコの擬態能力

タコの擬態する能力の凄さを知っているだろうか。
タコは海にいる無数の天敵の目から逃れるため、皮膚の色や質感を変え、擬態する能力を持っているのだが、この能力は多くの専門家を虜にする高度な仕組みなのだという。

タコの擬態のために皮膚を変化させる性能は、液晶ディスプレイのそれに近い仕組みだ。

体内にある何百万もの色素(正確には色素胞というらしい)を駆使して色を変化させたり、光の加減を調節することでメタリックな質感に見せたりることができるらしい。
人間がここ100年くらいでようやく手に入れた、「出したい色を瞬時に表示させる」という技術をタコは何千年も前から、しかも自分の体の細胞だけで可能にしている。
そして光などを駆使して人間には視認できない変化をも可能にするタコは、4kだ8kだと言っている人間ではたどり着けない次元にいる。タコがスーパーではなくビックカメラに陳列されたらその価格は数千倍になるだろう。

擬態の方法はとても多彩で、岩そっくりに化けたかと思えば、次の瞬間には昆布などの海藻そっくりに化けたりすることが可能だ。他にもタコの擬態には多彩な方法があるが、それはぜひ参考図書を読んで直接知ってほしい。

その中でも今回僕の目を引いたのは、「目玉を浮かび上がらせる」という擬態方法だ。
ある種のタコは天敵が近づいてきたことを察知すると、色素を駆使して途端に大きな目玉模様を浮かび上がらせ、大きな動物であるとハッタリをかけるのだという。

つまりタコも加工アプリを使う人間のように自分の眼を「盛る」らしい。実物よりも大きい眼を持っているとアピールするのだ。

また、この眼を使った擬態にも様々な方法があり、大きな偽の眼を映し出すだけでなく、本物の目にアイラインを入れる機能やアイプチのように眼の上の皮膚を自由に動かす機能までタコには備わっている。IKKOさんもびっくりの美容家生物だ。

それだけタコにとって眼は重要な要素なのだろう。

人間は「自身の美化」、タコは天敵から「身を守ること」と、直接的な目的は違えど、タコは人間と同じように「眼を大きく見せる」ことに一定の価値を感じているのである。

そしてこのタコと人間が眼を大きく見せる理由には、ある共通点が見られたのである。

・動物界における眼の重要性

数ある身体のパーツの中でも眼を重視して擬態を行うタコが存在するのは、自然界・動物界において眼というのは、「その動物を表すシンボルだから」だそうだ。
捕食者側の動物は自分の餌となる動物を判別するためにその動物の眼を見て判断するため、擬態するなら眼を大きく見せるのはとても理に適っているのだという。
小学校で教わる「眼を見てお話ししなさい!」という教育は動物界においては「獲物を見定めなさい!」と同義になると考えると恐ろしいが。

また、前述したようにタコは天敵が近づいてきたことを察知すると、色素を駆使して途端に大きな目玉模様を浮かび上がらせ、大きな動物であるとハッタリをかける。
これは大きな動物は大きな眼を持っていることが多いという傾向があることを自然界の動物たちは知っているからだ。

そして、「ではなぜ大きな動物であるというハッタリをかけるのか」ということまで深掘りをしていくとその答えは「大きな動物は強い(強そうな)動物が多い。」からだ。自然界の動物だけでなく人間もこのことには幼稚園生の頃から気づくことができるくらい明確なものだろう。

まとめるとタコは「眼を大きく見せることで強い存在であることを(ハッタリではあるが)アピールする」生き物であるということになる。

・眼を盛ることの合理性

「眼を大きく見せることで強い存在であることを(ハッタリではあるが)アピールする」

これはまさしく現代僕たちが行っている「盛る」行為の目的の根源と同じではないだろうか。
僕たち人間も自分の写真を加工して他者に見せることで「眼を大きく見せることで強い存在であることを(ハッタリではあるが)アピールする」をやっているのではないだろうか。と僕は思う。

その話をするために、まずは現代の人間界における「強い存在」とは何かと言う話からだ。

僕は現代において「容姿が整っている=強い」は概ね間違った解釈ではないと思っている。
容姿が整っていればそれを武器に仕事を見つけて収入の基盤を作ったり、SNSのフォロワーを増やして交友関係を広げりたりと、現代社会で多くの人間が抱く願望や欲望を叶えるために大いに役立ってくれる。
これは明確な「強さ」の一種だろう。(もちろん容姿が優れている人の努力を無視したり、「容姿が整っていない=弱い」などと言うつもりはない)

そしてその強さの根源である「容姿」を整えるために重要なのが眼の大きさだ。
僕が言うまでもないが、少なくとも日本においては「容姿が整っている」の条件には「眼が大きい」が含まれることがほとんどだ。
だからみんな眼を大きくするような加工をするのだろう。

この、「なぜ眼を大きくすることが『容姿が整っている』につながるのか」の答えがタコ、並びに動物界の「眼はその動物のシンボルだから」と言えるのではないかと僕は思う。

動物は他の動物を見る時、シンボルである眼を見るようになっている。見るようになっているというか、視線が吸い込まれるようにできているのだ。
つまり、人の顔の中で最も見られるパーツなのである。

この「最も見られるパーツ」を「強い(容姿の整った)人間」に近づけるのが人間が眼を「盛る」理由なのだ。

タコと同じように、「こんなに大きな眼をしてるんだから、私は強い生物だぞ」というアピールを可能にするのが眼を「盛る」行為だ。
こう考えると動物的な理由でありながらとても合理的だ。これを無意識にやっているタコも全国の女性も凄すぎる。その生きていく力を見習いたい。

「強い生物に見られる」ことはどこのどんな生物においても重要なことだ。タコはこれによって命を守ることが出来ているし、現代人は社会生活が有利に進められる。
だからタコが「盛る」のも人間が「盛る」のも考えてみるととても合理的だったとわかった。
処世術まで教えてくれるなんてタコは偉大な生物だ。

今回の話は「え?眼を大きくする理由?その方が可愛いからっしょw」と言われてしまえばそこまでの話だ。
しかしこうやって世の中の物事に対して妄想を膨らませると、自分の力で理解した気になることができるので楽しい。
そしてこういった妄想を人に見えるところに投稿するのも、僕の容姿とは違う面で「強い生物だと思われたい気持ち」の現れかもしれない。
でもこれからも自由にやっていこうと思う。タコだって同じようなことをやってるんだから。

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