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トランスジェンダーを家族に持つ方へ。自己紹介です。

はじめまして!みかたと申します。
40代の女性です。
夫がトランスジェンダーになり、紆余曲折の後2020年に離婚をしました。

トランスジェンダーの当事者の方からの発信や、当事者を応援していこうとする発信は見かけますが、その当事者の家族を、同じ立場から支援しようという媒体がなかなか見つからない。家族にトランスジェンダーがいて悩んでいる方へ何か発信したい、コンタクトが取れる場所をつくりたい。

そう思ってこのnoteを立ち上げました。

これまでのいきさつなど


1)突然の出来事

私の元夫は2018年、突然トランスジェンダーになりました。
それまでの元夫は40代の普通のおじさんで、女性らしさを感じることは何ひとつなく、まさしく私にとっては青天の霹靂でした。
本人の中では、若い頃から男性であることへの違和感に悩んでいたとのことですが、私だけでなく、元夫の友人や兄弟、両親でさえも、誰ひとり感づく人はいませんでした。
むしろ男性の中でもかなりガサツな部類に入り、身なりも気にしない人でした。

私は結婚を機に仕事を退職し、ずっと専業主婦生活を送っていました。
子供はいませんでしたが、愛犬1匹と共に、しごく平和な日々。
旅行が夫婦共通の趣味で、頻繁に二人で出掛けていました。
会話も多く、何でも話せている。
このまま当たり前のようにずっと夫婦関係は続いていく。
私はそう信じきっていて、その関係性を何も疑ってはいませんでした。
何でも話せる間柄ではなかったのだと、強烈なショックを受けました。

元夫曰く、
若い頃から体への違和を感じて悩んでいたが、それ以外は他の男性と変わらず、また恋愛対象も女性だったので、男性として過ごす。
たまに家の中でスカートをはいてみたり、化粧をしてみたりすると幸福感に包まれる。
20代半ばに、これからの将来を考え、完全な男性として生きていくことを決め、女性の衣服や化粧品を全て捨てる。
結婚後は平穏で、体への違和感もほとんど忘れかけていたが、30代後半になると男性特有の薄毛、加齢臭などの症状が強くなってきて、再び男性の体でいることに耐えられなくなってくる。
40歳の誕生日を迎えた時に、
「これで人生の半分が終わった。残り半分の人生を、さらに中年化していく男性として過ごすのは耐えられない。ならば残りの半分の人生は女性として生きたい」
と決意したとのこと。

もう私の頭の中は真っ白でした。
LGBTQという言葉だけは知ってるけど…トランスジェンダーって、MTFって何?
さらに、もうすでに自己判断で女性ホルモン剤を服用してると言うのです。
服用し始めてから3ケ月ほどたっているので、もう体が男性ホルモンをつくらなくなっていて、元の体には戻れないとのこと。

「元夫がトランスジェンダーだと知った時には、もうすでに男性には戻れない体になっていた」
この事実を受け止めきれませんでした。

どうしてよいか分からず、とにかく専門医療機関に受診することをお願いしました。そんな重大な体の変化が起こっているのに、自己判断での投薬は危険だと思ったからです。
専門医だったらきっと何とかしてくれる、今からでも思いとどまらせてくれるかもしれない、という期待もありました。

ですが、医師の判断は「このままクリニックの下でホルモン治療をしながら、同時にカウンセリング治療も行っていく」というものでした。
通常は半年~1年間、カウンセリング治療を行って「性同一性障害の確定診断書」が出た後にホルモン治療が始まりますが、すでにフライングホルモンをしている患者は、自身でホルモンを作り出す能力が失われていて、ホルモン治療を行わないと、自身の体内に何のホルモンも存在しないことになり危険であることへの対処、とのこと。

「それはそうなのかもしれない。でも違う性別のホルモン剤を体内に入れている状態で、正常なカウンセリングができるの…?」
私の期待は打ち砕かれ、どこか納得いかないまま治療が始まっていきました。

2)私がやっていったこと

それからしばらくは何もやる気がおきず、またこんなことは誰にも言えないと、塞ぎ込んでいました。なるべく人とも会わず、必要最低限の家事と愛犬の散歩だけを何とかこなし、ただ早く1日が終わるのを待つ日々。
ですが同時に1日たつごとに1日分、元夫が女性に近づいていくことへの焦り。

そんな中、私の実家にいる母親と会う機会があり、このままの生活ではいけないと、意を決して相談してみることにしました。
とても驚いていて、心配もしてくれましたが、どこか実感がない様子。
「旦那さん、オカマになっちゃったの?気のせいじゃない?」
という感じでした。
まあ…無理もないと思います。この2018年当時、私の世代でも「LGBTQという名前くらいは分かる」くらいだったのに、ましてや親の世代からしたら、完全にこれまでの人生の範囲外の出来事でしょう。

そういう感じでしたので、残念ながら母に相談する段階までいきませんでしたが、このことをきっかけに、他の何人かの人に相談することを始めていきました。
友人や知人、人生の先輩や元夫の主治医にも会いにいきました。
皆さん総じて同じ意見でした。
それは「今は個性を大事にする時代なんだし、相手を尊重すべきでは。外見は変わっていっても中身は旦那さんなんだから、私なら受け入れてあげる」というもの。
男性の知人に「もし自分だったら、ホルモン剤に手を出す前に、必ず奥さんに相談するはず。そうされなかった、あなたにも問題があるのでは」
と言われたこともあります。

相談した人たちは、もちろん私の知り合いであり、私のためを思って言ってくれたことです。誰も悪意などひとつもありません。
これらは情報が少ないこともあり、「外見を変えたいと願う個性を尊重すべき」と思っているからの発言です。
ですが「外見も変わるが、外見よりも中身こそ変わる」のです。
今までと同じ関係性ではいられなくなります。性格も人それぞれですが、大きく変化していきます。
これがまだまだ知られていないことであり、この世間の風潮に、当事者の家族は追いつめられていくのだ、と認識した出来事でした。

3)このお二人に助けられた

そんな、誰にも分かってもらえないと悩んでいた初期の頃、本当に助けられた方がいました。Twitter上で知り合った、同じ「当事者の奥さん」という立場の方です。仮にその方をAさんと呼びます。
Aさんも、ご結婚後に配偶者がトランスジェンダーだと知りました。
ですが私の場合と違うのは、その配偶者さんはまずAさんに打ち明けてくれ、その後ジェンダークリニックを受診し、正規の手順でカウンセリング治療の後にホルモン治療に移りました。
それでもAさんはなかなか受け入れられなく、とても辛い思いをされたそうです。
配偶者さんは、それは当然のことだと、Aさんの気持ちがついていけるよう、何年でも女性化していくペースを遅らせて待ってくれたり、Aさんが吐き出す思いをすべて受け止めてくれたことで、このAさん夫婦は乗り越えていくことができた、とのことでした。

そのAさんとTwitter上で知り合い、本当に多くの相談にのっていただきました。特にホルモン治療開始から1,2年は元夫の体も心も変化が凄まじく、数日に1回は新たな事態が起こり、その度にAさんは話を聞いてくれ、アドバイスしてくれました。
同じ経験をしてる人にしか分からない出来事や気持ちがたくさんあり、ほんとにAさんが居なければ、私は初期の辛かった時期を乗り越えられなかったと思います。今でも本当に感謝しています。

もう一人、私に問題が起こった中期から現在まで、ずっと相談にのってくださっている、仮にBさんという方がいます。

突然ですが、私は幼いころより神さまはいると自然に信じていて、高校生の頃から、幸福の科学に入会しています。
その教団の部門のひとつとして、悩んでいる人たちを救済していこうと活動している機関があるのですが、ちょうど元夫がトランスジェンダーになった2018年に、LGBTQで悩んでいる人たちを救おうと新しく「LGBTQの集い」が発足され、その代表の方がBさんでした。

Bさんは悩み相談のエキスパートで、これまでの多くの人の相談にのり、解決されてきた実績のある方です。そのBさんから
「LGBTQはまだ未知数の問題で分からないところも多いけど、今までに多くの人のさまざまな悩みを聞いてきた経験から、人の悩みの根っこは同じで、それがどう具現化したかの違いだけの印象を持ってるんです。一緒に伴走しますので、共にこの問題に取り組んでいきましょう」
と言っていただき、初めて「経験者でない人から分かってもらえた。受け入れてもらえた」と感じたのです。
「他人事としてとらえていない」という感じでしょうか。とても安心したのを今でも覚えています。

その言葉通り、ずっとBさんは共に起こった事象をとらえ、一緒に考えていってくれました。
時を同じくして、教団からもLGBTQについての教えが新しく説かれるようになり、その教えと私自身に起こっていることを照らし合わせながら、どう捉えていくか、どう解決していくべきかを思案していきました。

そしてこれは「元夫だけに起こった出来事で私は巻き込まれただけ」なのではなく、私自身にも訪れた大きな人生の転機であり、意味のあることであり、私自身を磨かせてくれた人生の砥石なのだと考えることで、辛い気持ちを乗り越えていくことができました。

これまで夫婦関係を続けていくことをずっと視野に考えてきましたが、その選択は私にとっては、納得できないのに生活のために元夫にすがって、ぶら下がって生きていくだけの、決してお互いにとって最善ではない道のように思えてきていました。

それでもなかなか決断できずにいましたが、そんな時に元夫が突然、「もう我慢できない」とまたもや相談なしに性別適合手術の日程を決めてしまいました。それは夫婦で話し合って決めていたはずの予定日よりも一年以上前倒しでした。
それが「もうここが決断する時だろう」と踏ん切りがつくきっかけとなり、私から離婚することを決めました。

他にも元夫の恋愛対象が女性ホルモン接種後、女性から男性に変わっており、男性とお付き合いしたい気持ちと夫婦関係を続ける気持ちの狭間で悩んでいるのが見てとれたことや、
夫婦で話し合って決めた期日よりも大幅に早く女性化を進ませていくことに、私の心情がついていけなかったこと、
また元夫は戸籍上も女性になることを望んでいたので、そのためには離婚しないと戸籍を変えることができず、共にずっと生きていくとしても法的には離婚という形になったこと。

こういった理由がいくつかありますが、
何より、もうこれ以上私が元夫に頼る人生は終わりにして、新しい人生を切り拓いていこうと決断したからでした。

というのが私のざっくりとした、いきさつです。

改めて、このnoteの主旨


改めて振り返ってみると、これまで多くの方に助けられたなぁと感じます。
特にこのAさんとBさんに出会わなければ、私は決して乗り越えることが出来なかったと断言できます。本当に本当に感謝しています。

このLGBTQ問題は、ここ数年変化がすざましく、話題にあがることも多いです。当事者を配慮しようとする動きや声はよく聞かれますが、その当事者と同じ数だけ家族も存在しているのに、ほとんど話題には上がりません。
家族は、身近にいる当事者の切実な思いや行動と、社会の風潮のはざまで、自分だけが取り残されたような孤独を感じることもあると思います。

私は、自分事として受け止めてもらえる方と2人も出会えて、とても幸運でした。
Aさんは配偶者さんと共に歩んでいくためにLGBTQのことをとても詳しく勉強されている、LGBTQについてのエキスパートです。
Bさんはこれまで10年以上にわたって、日々多くの方の悩み相談を重ねてこられた、悩み相談のエキスパートです。

私はこのお二人の精通さには、どちらも遠く及ばない身です。
そのかわりといってはなんですが、お二人の知識と経験を両方、少しずつ兼ね備えることはできると思います。
多くの方に助けていただいた、その代わりとして今度は私が、どこかで悩んでいる当事者の家族の方とつながり、お話を聞きたい、少しでも力になれないかと考えています。

私の場合は離婚という形になりましたが、それぞれの人に最善なそれぞれの形があると思いますので、決して離婚を勧めるものではありません笑
ちなみに元夫とは、現在は友達以上家族未満な関係性で、普通に連絡し合ったり、たまに会ったりする間柄です。
また、当事者との間柄が「配偶者」の方だけでなく、親御さんや兄弟、身近な知り合いの方ともお話しさせてもらえたらと思っています🤗

もしご縁があって、このnoteを見てくださった方で、悩んでいるけど周りに話せる人がいないよ、という方がいらっしゃいましたら、良かったらコメントください🥰私の経験からも、誰かに話を聞いてもらうだけでも、だいぶ気持ちが軽くなることもあります。
ページ下にある「クリエイターへの問い合わせ」からでもOKです。

これからも、定期的に発信していく予定です。
ここでは書ききれなかった、その他の経緯なども書いていこうと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。










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