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2023/8/5 の日記

 第二言語のフランス語の授業で映画を見せていただいた。「奇人の晩餐会」というフランス映画だ。奇人、言い換えればバカを集めて晩餐会を開きバカのMVPを決めることが趣味の主人公と、バカが彼の身にもたらすいざこざを描くコメディ作品だった。紳士的な皮肉の応酬が癖になってたまらなかった。そのおかげで全く抵抗なく「そうだ、フランス映画を観よう」と思ったわけだ。フランス映画と検索すると人気の20作品がまず提示されて、そのひとつが「最強のふたり」だった。
 貧しいが陽気な黒人青年のドリスが首から下に麻痺を持つ大富豪のフィリップの介護係として任命され、徐々に仲を深め互いに一番の理解者になるまでを描いた実話のコメディ映画。重度身体障害者のフィリップに対して、みんなが腫れ物に触るように接していた。腫れ物に触るというのは、丁重に接していた、と言い換えることもできる。現代社会でも同じフィリップ邸で起こっていたのと同じ現象を感じる。重度身体障害者に対して健常者が持つべきモラルがあって、外れたことをすると目に留まってしまう。ドリスのフィリップに対する行動はどれもそのモラルを大きく逸脱したものだった。私が気が気でなかったドリスの発言の一つが「俺だったら自殺する」午前4時、幻想痛に苦しむフィリップを連れ出して向かったカフェでの一言。この言葉を面と向かってフィリップにぶつけたドリスは屈託なく笑う。この発言を私はどのように捉えればよいのだろうか。それが未だにわからない。
 こころのままに行われた正直な行動は人々によい影響をもたらしていく。しかし本人にはいくつもの非難が向けられるだろう。それは社会からの拒絶かもしれない。自身が否定されることに耐えられる人間はどれくらいいるだろう。気づかずにやりすごすにはどうすればいいだろう。人と真に心を通わせることが難しくなってきている現代で、どのようなラベリングをもぶち破って親友となった二人のような仲を結ぶためには、もっと心のままに生きるべきなのかもしれない。たとえどんな非難にあったとしても、理解者となるただ一人と出会うために、私はもっと鈍感になろう。そう思いました。
 誰か「奇人の晩餐会」「最強のふたり」観た方がいらっしゃったら、語りたいです。ん?と引っかかっているところが結構ある……


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